循環器科系

災害時に必要なエコー検査と POCT(point of care testing)

s00771
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下肢の静脈エコーおよびポータブルD ダイマー測定の実際など

■講師 榛沢和彦 先生(新潟大学医歯学総合研究科先進血管病・塞栓症治療・予防講座特任教授、医学博士)
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【セミナー概要】
能登半島地震の避難所では環境の厳しい避難生活による下肢の深部静脈血栓が多発していました。そこで災害後に実際に行なっているエコー検査と採血によるD ダイマー値による対応などを、弾性ストッキング着用方法を含めてご説明します。災害時の下肢静脈エコーは避難所などオープンスペースで行うため、ズボンを下ろしての検査は難しいため下腿の深部静脈を主に検査します。また携帯型エコーを使用するため検査にはコツがありますのでご説明します。もしも静脈内に血栓が見つかった場合は携帯型測定装置によるD ダイマー測定を採血で行います。その値によって救急搬送が必要かなどを判断しますのでご説明します。またヒラメ筋静脈拡張があった場合は弾性ストッキング着用が必要なので、その着用方法も実習します。また災害後では脱水になりやすく閉塞性動脈硬化症(ASO)が悪化しやすいことから検査が必要になることがあり、簡便なABI 測定方法、避難所で可能な下肢動脈エコー検査法をご説明します。
首都直下地震、南海トラフ地震などに備えるためにも是非参加をお願いいたします。皆様、奮ってご参加ください。

■午前の部(10:00~12:00)
災害後のエコノミークラス症候群の実際(講義)
災害後の静脈エコー検査の実際(実習)
災害後のD ダイマー値測定の実際とそれによるDVT への
対応の仕方(講義と実習)
■午前の部(12:30~14:30)
弾性ストッキングの基礎と着用方法(講義と実習)
災害後のASO 検査(講義と実習)
下肢動脈エコーと下肢静脈エコー(説明と実技)

セミナー要綱

セミナーNO. 771
開催日 2024年3月17日 10:00〜15:00
講師 ■榛沢和彦 先生(新潟大学医歯学総合研究科呼吸循環外科 講師)
診療科目 循環器科系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■3月17日に開催しました第771回医療技術セミナー『災害時に必要なエコー検査とPOCT(point of care testing)-下肢の静脈エコーおよびポータブルDダイマ-測定の実際、など』は盛会成功裡に終了しました。
講師には、新潟大学大学院先進血管病・塞栓症治療・予防講座 特任教授 榛沢和彦先生をお招きしました。榛沢先生と言えば、日本で起きる震災の被災地の避難所で死者が相次いだため、被災者の方々の下肢のエコー検査(深部静脈血栓症;DVT)検査、いわゆる「エコノミークラス症候群」の検査を行われ、血栓の発見とその後の収容・治療に当たられて、“被災地の避難所に榛沢あり”と、すっかりご高名になられた研究者・医師です。今回のセミナーはそもそも『血管疾患』一般として企画されたのですが、1月1日に『能登半島地震』が発生し、2月の段階で実際の内容は同じことなので・・・と『災害時に必要なエコー検査』と名称を変えて、内容を災害にシフトし直してのセミナーです。今回は6年振りの13回目のセミナーです。榛沢先生の、これまでの活躍の場は、新潟中越地震(2004)、能登半島地震(2007)、東日本大震災(2011)、広島土砂災害(2014)、熊本地震(2016)、九州北部豪雨災害(2017)、北海道胆振東部地震(2019)、そして今回の能登半島地震(2024)です。なぜ、避難所でエコノミークラス症候群が問題になるかと言えば、要するに、日本の避難所の貧困さから来る環境によります。寒いあるいは暑いままの体育館等の広い場所に所狭しと敷かれた布団での“雑魚寝”に象徴されます。雑魚寝といえば、手足を伸ばして伸び伸びと寝れないのが通常で、それを嫌って自分の車の中で暮らす方も出られ、こちらも大型車であれば手足を伸ばして寝れないわけではないのですが、軽自動車等ではそうも行かず時折下肢に血栓(DVT)が生じ、それが肺に飛べば「肺塞栓」、脳に飛べば「脳血栓」、血栓が堰になって先に血液が通わないことになれば「脳梗塞」を生じさせ、死亡者が出ます。いつだったか、雑魚寝を止めて、一人一人のスペースを確保できる一畳の広さの“段ボールベッド”の普及を提唱され、自治体でも備蓄の動きがあり、一度はそれを組立てたりするセミナーも開催したこともある(#463;2017年12月)のですが、なぜか普及せずそのままになっているようです。次に、Dダイマーとは、血栓(けっせん;血液の塊)中のフィブリンという物質が溶解された際に生じる物質の一つです。血液中に含まれるこの物質の量を調べることによって、体内で血栓が形成されている、または形成された可能性の有無を推し量ることができます。計測にはラテックス凝集法とエライザ免疫抗体法の2種類が用いられているのですが、検査の基準値は1.0μg/mL未満が一般的です。で、最後の「など」の学習テーマは、弾性ストッキングの解説と着用指導でした。

今回の講義の組立ては以下の通りでした。
・災害と深部静脈血栓症(DVT;講義)
・下肢静脈とエコー(講義)
・下肢静脈エコー(実習)
・下肢動脈エコー(講義)
・下肢動脈エコー(実技)
・災害時の下肢静脈エコー検査とPOCTによるDダイマー測定によるDVT診断と対処法について(講義)
・災害時の下肢静脈エコー検査とPOCTによるDダイマー測定によるDVT診断と対処法について(実習)
・災害時の避難所のイタリア、等の例(外国との対比)『体育館を避難所にする先進国なんて他に存在しない!人道的な避難所設営と運営を!』が持論です。

質疑では以下の質疑が行われましたが、ここでは一部の質問のみを記し、回答を希望される方、興味ある方はDVDないし動画をお買い求めいただきまして、ご確認下さい。
Q1.車中泊が悪い、ベッドで寝るのが良い・・ということですか? その理由を再度ご説明ください。   Q2.血栓があってDダイマー値が2か4の場合、後の治療の抗凝固療法はどうなりますか? Q3.血栓性の徐脈瘤があった場合の対応は?痛みがあった場合NSAIDSで良いですか? Q4.下肢のDVTですが、Dダイマー値が2以上、長さが50mm、太さが5mm以下の場合、DOACは不要ですか? Q5.弾性ストッキングは、昼間だけでも宜しいですか? 夜にも必要な場合はどういう時ですか? Q6.肺梗塞の場合、Dダイマー値は上がりますが、脳塞栓や眼動脈の閉塞の場合はDダイマー値はなぜ上がらないのですか? Q7.モヤモヤエコーは心房細動のモヤモヤエコーとは異なるのですか? 抗凝固剤は投与しなくて良いのですか? もし投薬するなら投薬剤は何を使われますか? Q8.轟さんの先刻見つかった唇状血栓の治療はどうするんですか? Q9.Dダイマーの測定器はどこのメーカーが良いですか? Q10.弾性ストッキングは立位は圧迫して良いと思いますが、横臥ではどうですか? Q11.肺塞栓症の患者にDOAC投薬する場合、一生投薬すると考えて宜しいですか? 中止できる状況ありますか?  Q12.精神科患者とDダイマー値の関連性を記述した文献を教えてください。  Q13.非災害患者(循環器疾患患者)対応マニュアルがあれば教えてください

■講師 榛沢和彦 先生(新潟大学医歯学総合研究科先進血管病・塞栓症治療・予防講座特任教授、医学博士)
<略歴>
89年3⽉ 新潟⼤学医学部卒業、
98年4⽉ 新潟⼤学第⼆外科助⼿
06年4⽉ 聖マリアンナ医科⼤学内科⾮常勤講師
13年2⽉ 新潟⼤学⼤学院呼吸循環外科講師
18年6⽉ 新潟⼤学⼤学院先進⾎管病・塞栓症治療・予防講座特任教授
<専門医等 学会活動・社会活動>
外科専⾨医、脳卒中専⾨医、⽇本⾎管外科学会認定医、脈管専⾨医、⽇本⾎栓⽌⾎学会認定医、脳神経超⾳波検査⼠、⽇本⼼臓⾎管内視鏡学会評議員、厚⽣労働省班研究難治疾患研究:肺・静脈⾎栓塞栓症班、⽇本循環器学会救急・災害対策委員、⽇本静脈学会災害対策委員、避難所・避難⽣活学会常任理事

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