消化器科系

明日から役立つ 上部・下部消化管の内視鏡検査の最新潮流

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挿入法、基本的検査と診断、治療手技を up date しよう

■講師 港 洋平 先生(NTT 東日本関東病院 消化管内科)
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【セミナー概要】
大腸癌の増加に伴い、今後も大腸内視鏡検査のニーズはますます増加することが予想される。大腸内視鏡検査は、大腸癌や大腸ポリープの早期発見、リアルタイムでの診断、治療方針の決定、またその場での治療などや予防に有用な検査であるが、挿入技術、ポリープの検出技術等の面で難易度が高い。さらに、病変を発見した際、リアルタイムでの的確な診断、治療方針の決定、更には安全な治療が求められる。
内視鏡挿入は、痛みの少ない挿入がベストであり、我々は軸保持短縮法を基本に挿入している。内視鏡診断においては、画像の高解像度化、拡大内視鏡や画像強調観察等の機器開発に伴い劇的に向上し、病変発見から質的診断までは、画像強調観察にて診断をし、深達度診断は更に色素拡大内視鏡観察による pit pattern 診断にて治療方針を決定している。また、治療においても術後出血も少ない Cold polypectomy の手技が登場し、小さな腺腫性腫瘍に関しては外来でも安全に切除できるようになった。
今回の医療技術セミナーでは、挿入法、診断、治療を中心に大腸内視鏡検査法について解説します。
皆さま、奮ってご参加ください。

午前の部(10:00~12:00)
1. 大腸内視鏡検査の前処置、挿入
午後の部(12:30~14:30)
2. 大腸内視鏡の診断、治療

セミナー要綱

セミナーNO. 769
開催日 2024年2月18日 10:00〜14:30
講師 ■港 洋平 先生(NTT 東日本関東病院 消化管内科)
診療科目 内科、消化器内科
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■2月18日(日)に開催しました第769回医療技術セミナー『明日から役立つ 下部消化管の内視鏡検査の最新潮流-挿入法、基本的検査と診断、治療手技をup dateしよう』は盛会裡に終了しました。
講師には、NTT東日本関東病院消化器内科の港洋平先生をお招きしました。前回8月6日以来(#749;『上部・下部消化管の内視鏡検査』:外山雄三先生、港洋平先生)、2回目のご出演です。
内視鏡検査、特に下部消化管の1つである大腸については、解剖的には肛門から直腸が伸び、S状結腸が存在し、Sの字にかつ左巻にねじれて下行結腸→脾湾曲→横行結腸→肝湾曲→上行結腸→盲腸、小腸開門部(本当は小腸の方から順番を解説すべきで、逆なのですが)と続く臓器を対象に内視鏡を挿入しての検査です。小腸の疾患は少ないのですが、大腸になると憩室を始めポリープや癌が発生し、近年「大腸癌」による死因は男性で13%(肺癌の24%に次いで2位)、女性では16%で1位(2位は14%の肺癌)と増えており重要な検査となっております。問題は下部内視鏡による検査は挿入が出来てナンボの世界であり、直腸からS状結腸を越えていく挿入技術が困難で、水や空気を使ったりの工夫が必要でいろいろと流派が生じて来ることになります。スキルアップでは、かつては徳州会病院を舞台にされた後藤利夫先生の
『水浸法』を紹介して参りましたが、ここ数年は北里大学の工藤進英先生の『軸保持短縮挿入法』の流れを受け継がれる講師のご出演が続いており、今回の港先生もその手法での講演です。なお、『水浸法』にも講演の中で理解を示されました。他に「Push法」があります。
次に、内視鏡の本体についても触れておきますと、かつてはオリンパス社の独走でしたが、富士写真のフジノンという会社の製品も追いついてきており、最近では各々の特徴、特長もある状況です。導入される開業医さんにすれば、使用経験や年数、価格等により決められている例が多いのではないでしょうか?
なお、世界的にみても内視鏡のメーカーはなかったのですが、近年は中国による開発が進んでおり製品としても世に出ているとのことです。
当日の講義の組立ては以下の通りでした。動画での解説が素晴らしかったです。

0. 大腸癌死亡がどれくらい多いか!
1. 正しく挿入しよう  検査の準備、先端アタッチメント、ジメチコン水による洗浄、
インジゴカルミン散布液、なんとなく3Dを2Dに置換えて考える、体外ループ、
スコープの出し入れ、スコープのトルク、空気の出し入れ、患者の体位変換、呼吸
2. ポリープを見逃さない 見逃し率、5mm以下の腺腫、6-9mmの腺腫、10mm以上の腺腫、
  体位変換、測光モード、画像強調、粘液付着の箇所に病変、盲腸の写真=盲腸到達の証拠、 
3. ポリープの診断・治療方針の決定
よく遭遇する非腫瘍性ポリープ、SM高度浸潤癌の特徴、腺腫の血管構築、JNET分類
4. ポリープの治療
  内視鏡切除の適応、過形成ポリープ、大腸鋸歯状病変、cold snare polypectomy、局注液、
  tip in EMR 、Underwater EMR、Gel immersion EMR、後出血と処置

質疑では以下の質疑が行われましたが、ここでは一部の質問のみを記し、回答を希望される方、興味ある方はDVDないし動画をお買い求めいただきまして、ご確認下さい。
Q1.恥骨上で軽く指で圧迫する目的ですが、S-topが上に上がってくるのを抑える事ですか? Q2.肝湾曲から先に曲がる際にγループが出来ないようにするコツはありますか? Q3.S状結腸を越える際にトルクを使うのですか? Q4.先端アタッチメントの具体的な商品名を教えてください。使い方は先端にはめるだけですか? Q5.酢酸の代わりの酢は液ですか? 濃度は? Q6.手が小さくて(内視鏡の)左右アングルに指が届きません。打開策をお教えください。 Q7.巨大S状結腸の茎捻転の内視鏡による整復方法の要点とコツをお教えください。 Q8.鋸歯状腺腫と過形成はクリスタルバイオレット(あるいは他の色素)の拡大観察で鑑別できますか? Q9.午前の講義の挿入時の写真で、患者さんは大の字になっての開脚位ですが、膝を曲げて脚を組むのと比べて、利点・欠点などいかがですか? Q10.横行結腸でループを形成した場合、①そのまま、γループのまま盲腸まで入れる、②上行結腸まで入ってから解除、③横行結腸のまま解除、④左結腸まで引いて、ループを作らないように慎重に入れ直すなど、どの位の割合になることが多いですか? Q11.スネアの先端での凝固は穿孔のリスクを増大させませんか? Q12.プランBの場合、スネアが圧迫圧に負けて、スネアが浮いてこないですか? 空気を抜くなどのコツがありますか? 奥を合せて全体そこに下げるイメージですか?

■講師 港 洋平 先生(NTT 東日本関東病院 消化管内科)
<略歴>
07年3月 鹿児島大学医学部卒業
  4月 板橋中央総合病院 初期研修
09年 都立墨東病院 後期研修
13年 NTT 東日本関東病院 消化器内科
16年 カロリンスカ医大ダントリート病院消化器外科
18年 NTT 東日本関東病院消化器内科
<共著>
『大圃流 ESDセミナー』(洋土社;2016)
『大圃組はやっている 消化器内視鏡の機器・器具・デバイスはこう使え!』(金芳堂;2017)
『大圃流 消化器内視鏡の介助・ケア』(羊土社;2018)
『The TEXT Ver.Colon』(金芳堂;2018)
『The TEXT Ver Esophagus, Stomach and Duodenum 』(金芳堂;2021)
『消化器内視鏡 大圃流の基本手技』(洋土社;2021)

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