実地医家のための 外来診療をあと一歩向上させるために
■講師 國松淳和 先生(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科 部長)
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【セミナー概要】
外来診療と聞くと、「治療は入院で、外来では診断が重要」のように考えがちです。しかしながら、患者さんにとっては入院のほうが例外であり、患者は基本的に自宅を中心に生活しています。外来診療が、 ”検査の提供の場”あるいは”do処方の場”になっていませんか? 患者さんの困りごとや相談に、答えられていますか? 例外に対応できていますか?
今回の講義では、普段やられている外来診療にあと一歩の向上を図る工夫やヒントを提供したいと思います。お話することのうち、すべてではなくても、少しでもハッとしていただき今後の外来診療にお役に立てれば幸いです。
皆さま、奮ってご参加ください。
午前の部(10:00~12:00)
外来診療をあと一歩向上させるために(前半)
・外来は治療するところ
・外来がつらい理由
・「みたて 行動不一致」の原則
・心因というロジック〜器質か心因か〜
午後の部(12:30~14:30)
外来診療をあと一歩向上させるために(後半)
・ケーススタディ(数例)
セミナー要綱
セミナーNO. | 763 |
開催日 | 2024年1月8日 10:00〜14:30 |
講師 | ■國松淳和 先生(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科 部長) |
診療科目 | 総合診療系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■1月8日(日)に開催しました第763回医療技術セミナー『外来診療を あと一歩 向上させるために-外来で治していこう』は盛会裡に終了しました。
講師には、医療法人社団永生会南多摩病院総合内科・膠原病内科部長 國松淳和先生をお招きしました。今回は10回目です。
まず、これまで國松淳和先生にお願いして参りましたセミナーをまとめですが、まず”不定愁訴”について挙げれば、国立国際医療研究センター在職時代の2015年6月、9月、12月に『内科で診る不定愁訴−診断マトリックスでよくわかる不定愁訴の診かた』3回シリーズ(#309、#326、#340)をお願いしました。次に2019年9月に『再び不定愁訴を考える−不定愁訴を見分ける臨床検査/不定愁訴を治療する』(講師:國松先生+尾久守侑先生;#587)に、お願いしました。また2016年10月に神戸大学感染症治療科の大路剛先生と共同で『内科外来で診る”不明熱”へのアプローチ』(#391)と、2018年7月『あなたも名医!日常診療で遭遇するよくわからない発熱』(2回シリーズ;#490、#499)をお願いしました。さらに、2019年2月『免疫疾患・膠原病の見つけ方』(#528)、2020年7月に『コロナで具合が悪くなる』(#528)と、いくつかのシリーズでお話をいただいて参りましたが、今まで『不定愁訴』、『仮病』、『不明熱』といった“不定”“不明”なるものに果敢に挑戦され、うまく整理されて お話になられた國松先生のご功績もだんだんと定着し、評価も高まりファンの方も増えてきたようです。今回は3年半ぶりの総計10回目の、かつ 外観では少しイメージを変えられてのご出演ですが、2024年新春記念セミナーとして相応しい内容になりました。今回の受講者は、質問の際に“ファン”であることをまず表明されたり、「有名な方なのでお顔を見 旁々 お話しを聞きに来た方」もおられました。
当日の講演の組立ては以下の通りでした。
午前の部 総論
・外来で患者を治す これが目標
・症例から学ぶ 学ぶ人と学べない人がいる
・ゲシュタルト 部分の総和を超えた全体像-臨床ではここの症候の総和で、俯瞰することで見える
・外来振り返りの実際 技術向上のために(将棋の“感想戦”のようなもの)
・外来診療:3つの技術 ①“みたて-行動不一致、②”つらさ-対処”投下の原則、③スプリッティング
・器質か心因か 症例 39歳女性
午後の部 ケース紹介
・症例5件(①23歳女性、②28歳女性、③47歳女性、④75歳男性、⑤70歳男性)
講義の最初のスライドで、病院だから患者の病気を診療し治すのは当たり前の話であるけれど、と話されながら示されたスライド「外来で患者を治すために・・・」が特徴的でした。①診断力、②治療力、③フォロー力、④自己制御力、⑤時間制御力、を挙げられて、①②は「臨床技能」であり、③④⑤は「外来技能」と呼ぶべきものであり、「臨床技能」は当然で当たり前であるけれど、「外来技能」というものも独自に必要で、常に心を注いでいなければならない・・・というのが主張のポイントであって、以下 その詳細について持論を展開されたように思います。
また、後半で、「機能性消化管障害(FGIDs)→「下部消化管の痛みメイン」を題材に、→結腸蠕動痛→宿便→便秘」の箇所で、4つの条件設定の下、漢方と新薬の組み合わせを基本とした『國松処方K1~K4』を披露されました。実際に使えそうな大変に興味ある内容でした。
質疑では以下の質疑が行われましたが、ここでは一部の質問のみを記し、興味ある方、回答を希望される方は復習用DVDないし動画をお買い求めいただきまして、ご確認下さい。
質疑は、Q1.面白くて楽しく聞かせていただきましたが、最近、コロナが2類から5類へ指定が変わり、検査を拒否されたりするのですが、その点についてご意見を。 Q2.風邪の治療に抗生剤を要求されるのですが、出すことについてご意見を。 Q3.テキスト5頁の「GCA(巨細胞性動脈炎?)」について、主訴と血液培養検査とCT等の画像検査・診断までしたら、生検まではしなくても良いのでは? また、ステロイド等を処方しても良いのですか? Q4.テキスト12頁の「スプリッテング」の解説の箇所の「みたて-行動不一致」で、できるだけ客観性を持って処置するのですが、患者さんからは誤解されることもあるのですが。 Q5.患者さんの予約に従って、外来を効率よく進めるために予習をするのですが、予習の精密さが必要であるとはどの程度でしょうか? Q6.例えば、健診でCXP/胃カメラ/便潜血も特に異常ないのですが、オプションの腫瘍マーカーが髙値で出て精密検査で来院されたりした時、どのように対処・説明されますか? Q7.メルカゾール中止のタイミングをお教えください。
■講師 國松淳和 先生(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科 部長)
<略歴>
2003年日本医科大学卒業。日本医科大学付属病院で 初期研修。
2005年国立国際医療センター膠原病科シニアレジデントとしてリウマチ・膠原病の専門研修。
2008年国立国際医療センター国府台病院内科 一般内科/リウマチ科 。
2011年国立国際医療研究センター総合診療科
2018年 医療法人社団永生会南多摩病院総合内科・膠原病内科へ(現職)
<所属学会・資格>
日本内科学会総合内科専門医,日本リウマチ学会リウマチ専門医,米国内科学会正会員
<主な著書>
・内科で診る不定愁訴(中山書店)
・Fever-発熱について我々が語るべき幾つかの事柄(金原出版)
・はじめての学会発表 症例報告(中山書店)
・ニッチなディジーズ(金原出版)
・外来で診る不明熱(中山書店)
・これって自己炎症性疾患?(金芳堂)
・外来でよく診るかぜ以外のウイルス性疾患(日本医事新報社)
・病名がなくてもできること(中外医学社)
・仮病の見抜きかた(金原出版)
・また来たくなる外来(金原出版)
・ブラック・ジャックの解釈学 内科医の視点(金芳堂)
・Kunimatsu’s Lists(中外医学社)
・不明熱・不明炎症レジデントマニュアル(医学書院)
・コロナのせいにしてみよう シャムズの話(金原出版)
・医者は患者の何をみているか(ちくま新書/筑摩書房)
・オニマツ現る!ぶった斬りダメ処方せん(金原出版)
・不明熱のエッセンス(中外医学社)
・思春期、内科外来に迷い込む(中外医学社)
・ステロイドの虎(金芳堂)