総合診療系

サイエンス漢方処方セミナーⅡ-11 外科、耳鼻咽喉科、頭痛、喀痰・咳嗽

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東洋医学とは本質的に異なる斬新な運用法

■講師 井齋 偉矢 先生(サイエンス漢方研究会 理事長,日高徳州会病院 院長)
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【セミナー概要】
漢方薬を診療に使いたい医師は多いのであるが、実際に使おうとしたときには、サイエンスに基づかない理解しにくい古典的運用法がネックとなる。歴史的にみると試行錯誤で出来上がった漢方薬が先で、古典的運用法は後付けに過ぎない。古典的運用法によらないで漢方薬を処方することを邪道と非難し認めない漢方の専門家も多い。
しかし漢方薬は最近の研究で、薬理学が従来想定していなかった、超多成分の
全く新しいタイプの薬剤であると考えないと、漢方薬を服用したあとに患者の中で起こることを説明できないことが明らかになりつつある。
これを踏まえて、今回の医療技術セミナー(シリーズ 1~99)では、サイエンス漢方処方という新しい切り口で漢方薬を認識し、新しい運用法によって全ての医師が漢方薬を的確に処方できるようにしたい。 皆さま、奮ってご参加ください。

10:00-10:55 外科領域で役立つ漢方薬〜外科医からのお悩みに答えて
第一問はこんな感じです。Q1. 肝切除の際にプリングル法で血行遮断を行ったとき、遮断時間を守っていても肝酵素が著しく上昇し、その後遷延することが多いです。肝細胞傷害性だと思うのですが、妙案は 【回答】肝の阻血再還流時の肝細胞障害には血管内皮細胞安定化作用のあるアルプロスタジルが奏効する。お助けマンとしては、茵蔯蒿湯(インチンコウトウ) ・桂枝茯苓丸が使える。

11:00-11:55 耳鼻咽喉科領域で役立つ漢方薬〜耳鼻咽喉科医からのお悩みに答えて
第二問はこんな感じです。Q2. 外耳炎の原因は多くは耳掃除習慣例であり、しばしば対策に苦慮します。
ステロイド点耳薬、ステロイド軟膏、抗ヒスタミン薬などが用いられます。しかし、難治例が多く、漢方を
活用したい疾患です。【回答】かゆみ対策であれば、黄連解毒湯や梔子柏皮湯 シシハクヒトウ 、外耳
道の炎症対策であれば、葛根湯や十味敗毒湯 ジュウミハイドクトウ であろう。

12:30-13:25 頭痛の診療ガイドライン2021 における漢方薬の役割
例えば片頭痛については『片頭痛に使われる漢方薬の第一選択は呉茱萸湯 ゴシュユトウ 。発作が起
こってからでも効果がある。月経片頭痛 月経関連片頭痛には川芎茶調散 センキュウチャチョウサン
が選択される。』 また、緊張型頭痛については『僧帽筋領域の筋肉のこわばりに対しては、葛根湯が
第一選択。エフェドリンに敏感な症例や冠動脈に不安がある症例には麻黄抜きの葛根湯である桂枝加
葛根湯が推奨される』

13:30-14:25 咳嗽・喀痰の診療ガイドラインにおける漢方薬の役割
乾性咳嗽によく使われる麦門冬湯 バクモンドウトウ についての説明。感染後咳嗽を対象としたDB RCT
で、麦門冬湯は中枢性鎮咳薬:デキストロメトルファンに比し、有意に早い鎮咳効果を示した。
9つのDB RCT のメタ解析では、麦門冬湯は感染後咳嗽には古典的鎮咳薬に比し有効性が認められた。
麦門冬湯には、C 線維の抑制を介する機序などが想定されている。

セミナー要綱

セミナーNO. 761
開催日 2023年12月17日 10:00〜14:30
講師 ■井齋 偉矢 先生(サイエンス漢方研究会理事長 ,日高徳州会病院 院長)
診療科目 総合診療系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■12月17日(日)に開催しました第761回医療技術セミナー『サイエンス漢方処方Ⅱ-11 外科、耳鼻咽喉科、頭痛、喀痰・咳嗽-漢方薬の作用機序を数理で解明;東洋医学とは本質的に異なってくる新たな運用法』は盛会裡に終了しました。
講師には、日高徳州会病院 院長、サイエンス漢方処方研究会 理事長であります井齋偉矢先生をお招きしました。2019年4月から始まったこのシリーズも今回で13回目を迎えました。このシリーズの始まりは、まず身近でめぼしいテーマをピックアップして作ったシリーズⅠが2回(#547;漢方処方概論、速効性の漢方、多愁訴の漢方、#563;かぜ・インフルエンザ、老年症候群、common disease)開催した後に本格的に取り組んで、途中からは「お悩みに答えて」シリーズを加えて開催してきた分がこれまで全部で10回分(#609、#614、#622、#651、#664、#682、#692、#702、#722、#753)です。一方で、井齋先生が独自に提唱されている「新 サイエンス漢方」シリーズが約51編まで執筆を終了されており、だいたい一通りの取り上げが済んだ・・・という状況ですが、まだまだ続けていただけそうです。
通算13回目にあたる今回は、前半が「お悩みに答えてシリーズ」で、前回の内容に続いたモノです。そして後半は、世に各領域であまた存在する「診療ガイドライン」は 全てが、いわば“西洋医学”を軸にした薬剤処方ですが、これに対して色々な“診療ガイドライン”ごとの漢方処方を取り上げていく、漢方処方シリーズの始まりです。今回は「頭痛」と「喀痰・咳嗽」。ともにcommon diseaseです。

今回のサイエンス漢方Ⅱ-11の講義の組立ては以下の通りでした。
お悩みに答えてシリーズ
1. 「外科」のサイエンス漢方
肝切除後の肝酵素の上昇、乳がんの術前のタキサン系化学療法でのしびれ、腹部消化管術後の難治性逆流性食道炎・心窩部疼痛発作、乳がんのホルモン療法中の更年期様症状、大腸切除後の排便困難・腹部膨満感、幽門側胃切除後の残胃排出遅延による経口摂取の遅滞、胆管手術後の胆汁鬱滞、外科医の心と体のメンテナンスのための漢方、等。
2. 「耳鼻咽喉科」のサイエンス漢方
アレルギー性鼻炎、耳掃除後の外耳炎、急性低温障害型感音難聴、高齢者の持続性加齢性めまい、covid-19後の嗅覚障害と味覚障害、副鼻腔所見無しの後鼻漏感、好酸球性中耳炎・副鼻腔炎、耳鳴り診療で耳鳴り苦痛の軽減薬、しつこい咳への対応
西洋医学診療ガイドラインのサイエンス漢方シリーズ
1. 「頭痛」のサイエンス漢方
片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、低気圧による頭痛、
2. 「喀痰・咳嗽」のサイエンス漢方
   間接的治療薬の漢方、感染性咳嗽の漢方治療、慢性気道炎症の漢方治療、気管支喘息、アレルギ
ー関連疾患、その他の主要な原因疾患、等。
付録:大塚敬節著 『漢方診療三十年』咳嗽に関する記載から

拝聴していると、漢方処方の極意は、症状に合せて漢方薬を使ってみること・・・であり、効果が劇的に現れることもあるけれど、しばらく使ってみて効果が現れない場合は、潔く止めること・・だとも受け止めました。また、今回は頭痛の箇所で、「気象病」なり「低気圧頭痛」を正面から取り上げていただきました。

質疑では以下の質疑が行われましたが、ここでは一部の質問のみを記し、興味ある方、回答を希望される方は復習用DVDないし動画をお買い求めいただきまして、ご確認下さい。
Q1.陥入爪手術の後にも使えますか?桂枝茯苓丸を1時間毎に何回くらい内服しておられますか?
Q2.(柴苓湯のお話しと同様かもしれませんが)茯苓飲合半夏厚朴湯ですが、茯苓飲と半夏厚朴湯を合せて飲むのでも効果はありますか?あるいはやはり茯苓飲合半夏厚朴湯単独の方が効果はありますか?Q3.GERD等での茯苓飲の内服時期ですが、毎食前に内服するか、逆流症状発症時に屯用で服用するか、どちらの頻度が多いでしょうか?Q4.打撲、血腫、術後の漢方で、桂枝茯苓丸と通導散の使用法をお教えいただきましたが、治打撲一方との違いはどうでしょうか?Q5.ししはくひ湯ですが、目の周りの湿疹のかゆみによく効くと聞きましたが、本当でしょうか?Q6.緑内障の急性発作にも、五苓散は有効でしょうか?Q7.緊張型頭痛に歯の食いしばりはありませんか?食いしばりを取るような漢方はないですか?Q8.色んな愁訴で漢方を使用したい時もあるのですが、高齢者などで、①下腿浮腫や低K血症が悪化する場合などはやはり使用しないのでしょうか?②同様に前立腺肥大が疑われる場合の風邪の漢方などで、麻黄が含まれる場合、注意しながら使用可能でしょうか?Q9.甘草を含まない漢方なら、浮腫やK低下を気にせず処方できるのですが。Q10.結膜炎に対して、黄連解毒湯と葛根湯の使い分けは、どう考えたら良いでしょうか?

■講師 井齋 偉矢 先生(サイエンス漢方研究会理事長 ,日高徳州会病院 院長)
<略歴>
75年北海道大学医学部卒業。
同年北海道大学第一外科に入局し現在同門。医学博士。専門は消化器・一般外科、肝臓移植外科。
88年から3 年間、オーストラリア・シドニー大学オーストラ肝移植の臨床および実験に従事。帰国後、独学で漢方治療を本格的に開始。12年にサイエンス漢方処方研究会を設立し、現代医学にのみ立脚した「サイエンス漢方処方」の普及に努めている。
07年より北海道日高郡・医療法人静仁会 静仁会静内病院院長。(18年9月1日病院名を医療法人徳洲会 日高徳洲会病院に変更。)

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