患者さんのベストライフサポーターを目指す！ ＜リウマチ/膠原病シリーズ3＞

■講師　高橋良 先生（昭和大学医学部東病院リウマチ膠原病内科　助教）
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【セミナー概要】
ステロイド剤は科を問わず広く使用される薬剤であるだけでなく、長期にわたり、使用を継続せざるを得ない状況も多々あります。臨床医にとって、初めて使用する薬剤には多かれ少なかれ“抵抗”があるものですが、一般的には薬剤のことを熟知し、とくに可能性のある副作用に対する備えをして、そのうえで慎重に使用していけば、その抵抗を乗り越えることができます。しかし、多くの生理活性、身体の中で様々な役割をもつ“ステロイド”に至っては、その副作用について、学べば学ぶだけ、使用すればするだけ、その抵抗感がただただ増していく薬剤です。それでも臨床的に他の選択肢がないのであれば、使用を躊躇してはいけない薬剤の一つです。 今回の医療技術セミナーでは、身体におけるステロイドの役割を考えながら、その“怖さ”をしっかり学び、薬剤に対する“抵抗感・拒絶感をさらに高める”こと、そこから100％やってくるであろう副作用を具体的に考え、しかるべき時期に、しかるべき評価・備えができるようになることを目標にしています。 皆様、奮ってご参加ください。

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■4月2日(日)に開催しました第735回医療技術セミナー『ステロイド薬　－使用のコツとピットフォール：怖さを知り,そして克服する。ステロイド使用、医師に課せられること－学べば学んだ分だけ怖くなる！？患者さんのベストライフサポーターを目指す』は盛会裡に終了しました。
講師には、昭和大学医学部附属東病院リウマチ・膠原病科　助教　高橋良先生をお招きしました。これまでのご出演は、①『血管炎の病態推論　臨床アタマの鍛え方 いわゆる診断基準を斬る』（#685；2022年3月27日）、②『これってリウマチ？！関節診察のロジックとピットフォール』（#709；2022年12月4日）、の2回の開催で、今回で3回目です。なかなか、ユニークで斬新な着想による“臨床推論”の展開です。

今回の講義の組立ては以下の通りでした。
午前の部
●ステロイドの副作用の病態生理
１．ステロイドとは何か？　
　　生体におけるステロイドホルモンの使命を考え、来るべき副作用への備えをまとめる
２．なにに、どう、使う？
　　抗炎症、免疫抑制の機序を知り、適切な使用ができるようになる　
●レニン-アンギオテンシン-アルドストロン系：ＲＡＳＳ系
午後の部
●ステロイド薬　使用のコツとピットフォール
１．ステロイドの抗炎症作用　
　　副腎の機能不全、副腎皮質ホルモン、アジソン病
2．苦手克服－診断推論からリウマチ治療まで広く生かせる免疫学の整理術

ステロイドホルモンは、人体に天然に存在し産生される脂溶性有機化合物であり、副腎からつくられる副腎皮質ホルモンの一種であるとの概説でした。一般的に患者さんに対する薬の処方にあたっては注意が必要であることは当然ですが、炎症性疾患、免疫抑制・・・等にステロイドを使用せざるを得ない場合、腎機能は？胃潰瘍は？アレルギーは？緑内障は？甲状腺疾患は？心不全は？糖尿病は？ということを検討した上で、使用することになります。そうしないと、副作用の蓄積により時には骨粗鬆症を一例として、その患者さんの1年後、5年後、10年後、それ以降にわたり思わぬ悪い結果を招くことになることが考えられます。その点では悪い結果を出なくする、遅らせたり回避したりすることを何とか考えなければなりません。患者さんの人生が掛かっているといっても過言ではない程、ステロイドの使用は重要なことであるいう点が強調され、詳細な解説が行われました。

今回のテーマは、領域は問わず診療者の誰もが興味を持っている重要なテーマであるのか、質問は会場からもネット受講者からも相次ぎました。ただし、会場からの質問は音声がフォローされていないのが、ちょっと残炎ですが。

■講師　高橋良 先生（昭和大学医学部東病院リウマチ膠原病内科　助教）
＜略歴＞
05年　昭和大学初期臨床研修医
07年　昭和大学救急医化学科
09年　昭和大学リウマチ膠原病内科
13年　日赤医療センター　アレルギー・リウマチ科
14年　昭和大学リウマチ膠原病内科　助教
　　（現職）
＜著書＞
『本当に使える症候学の話をしよう〜とことんわかる病態のクリニカルロジック〜』（2020年、じほう社）