日常診療で遭遇する 長引く咳の診断と治療
病態を理解し、咳を止める
■講師 関谷潔史 先生(国立病院機構相模原病院呼吸器内科 部長)
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【セミナー概要】
日常診療においては、遭遇する機会の多い長引く咳は、遷延性/慢性咳嗽と称され、いわゆる「common disease」であります。多くの患者さんが、呼吸器内科以外の一般内科で診療されていますが、いわゆる「咳止め」と言われる薬剤を処方するだけの対症療法が中心となってしまいがちです。
長引く咳にも当然のごとく、主体となる原因疾患が存在するため、原因を正確に見極めることが長引く咳を止める最適の方法となります。長引く咳の病態と主な原因疾患を知っているだけで、患者さんにとってツラい咳を止めることができます。いわゆる「咳止め」で止まらない長引く咳の診療において、専門医でなくてもできることがあります。「common disease」である長引く咳の理解を深め、日常診療に生かしてみましょう。
皆さま、奮ってご参加ください。
10:00~12:00
第1部 長引く咳の基礎知識
〇 咳嗽総論
〇 急性の咳嗽
〇 遷延性または慢性の咳嗽
・総論
・代表的な疾患①
12:30~14:30
第 2 部 長引く咳の新たな疾患概念と新規治療薬の能性
〇 遷延性または慢性の咳嗽
・代表的な疾患②
〇 新たな咳嗽の疾患概念
〇 新たな治療薬選択的 P2X3 受容体拮抗薬
セミナー要綱
セミナーNO. | 734 |
開催日 | 2023年8月27日 10:00〜15:00 |
講師 | ■関谷潔史 先生(国立病院機構相模原病院呼吸器内科 部長) |
診療科目 | アレルギー疾患全般・呼吸器疾患全般 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■8月27日(日)に開催しました第734回医療技術セミナー『日常診療で遭遇する 長引く咳の診断と治療-病態を理解し、咳を止める』は盛会裡に終了しました。
講師には、独立行政法人国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科 部長 関谷潔史先生をお迎えしました。評判を呼んだ昨年5月22日に『喘息の難治化因子―アレルゲンの重要性も含めて』(#698)以来の、2回目のご出演です。相模原病院のアレルギー・呼吸器科は、前任部長の谷口正美先生(現 湘南鎌倉病院)以来、伝統的にこの領域で実績を持つ病院です。なお、この領域のセミナーでは、大評判だった2018年3月に開催しました『プライマリ・ケアでの長く続く止まらない“せき”の診かた』(札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター 田中裕士先生;#480)、昨年2月6日の『実臨床での気管支喘息吸入療法 Up-date EvidenceとExperienceから考察するBest Practice』(大阪・北野病院呼吸器・感染症科 丸毛聡先生;#684)があります。
さて、今回のセミナーの講義の組立ては以下の通りでした。
午前の部
・咳嗽概論
咳受容体の位置 咳の反射経路 国際的な疫学 咳感受性に性差
性状による咳の分類――湿性咳嗽-喀痰を伴う咳 乾性咳嗽―喀痰無しか少量の咳
期間による咳の分類――急性-3週間未満 遷延性-3週間以上8週間未満 慢性-8週間以上
・急性の咳嗽
・遷延性または慢性の咳嗽
総論 副鼻腔気管支症候群 感染性あるいは感染後咳嗽-百日咳、肺炎マイコプラズマ等
咳喘息 アトピー性咳嗽 胃食道逆流にともなう咳嗽
喉頭アレルギー―通年性喉頭アレルギー;アレルゲン(ダニ、花粉、真菌、ペット、昆虫)、食物アレルギー
その他-心因性咳嗽、薬剤性咳嗽、心不全、間質性肺炎、肺や気管支の腫瘍、自己免疫性、外耳異物
午前の部
・新たな咳嗽の概念としてのCough hypersensitivity syndromeとUnexplained chronic cough
・新たな治療薬 選択的P2X3受容体拮抗薬
質疑では以下の質疑が行われましたが、ここでは質問のみを記し、回答を希望される方はDVDないし動画をお買い求めいただきご確認下さい。
質疑:Q1.百日咳やマイコプラズマで、マクロライドをいつから開始するのか? やり過ぎると耐性ができていけない、と言われるのですが。Q2.アトピー性咳嗽の鑑別で、呼気のNOの数値は上昇しないと言われていますが?Q3.アトピー性咳嗽には抗ヒスタミン薬が効くと思いますが、花粉症やアレルギー性鼻炎で日常的に飲んでいる患者さんは、否定しても宜しいですね?Q4.ステロイド薬の使用で、アトピー性咳嗽で、気道過敏性の狭窄による症状には効きますか?中枢性抗酸球菌性の気道過敏症にはいかがですか?Q5.咳喘息とアレルギー性咳嗽との鑑別で、抗ヒスタミン剤を出して咳が止まるかを見るのが初期の対処にならざるを得ないということですね?Q6.抗ヒスタミン剤の使い方ですが、眠気を伴うというポララミン剤はいかがですか?第2世代といわれる抗ヒスタミンを使用するのが良いのですか?Q7.開業医でも出来る外来での呼吸機能検査(スパイロメーター)の具体的基本的使い方?高齢者にスパイロメーター検査をした場合、呼気が続けられず、検査にならない場合が多いのです。他に変わりの検査はありませんか?セミナーでスパイロメーターの使い方を教えて下さい。Q8.上気道炎の咳に麦門冬湯とホクナリンテープを使うことがあります。漢方について教えて下さい。Q9.アトピー咳嗽に最初に使用するお勧めの抗ヒスタミン薬は?Q10.胃食道逆流性喘息の重症タイプで、経口ステロイドを3~5日、20mg使うのが一般的ではないかと思いますが、2週間20mgで連投し、テーパリングせず、スパッと切るのは良くないでしょうか?Q11.アレルギーの舌下免疫療法についてお教え下さい。
講義は非常に幅広い、全面的な内容であり、小さな問題もおろそかにされない細かい点についても詳細な解説でしたし、質疑は、咳喘息、アトピー性咳嗽、喉頭アレルギーの薬物療法等に集中した観がありました。
■講師 関谷潔史 先生(国立病院機構相模原病院呼吸器内科 部長)
<略歴>
01年3月 東邦大学医学部卒業
01年4月〜東邦大学附属大森病院第1内科研修医
03年4月〜東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
04年4月〜労働者福祉健康機構東京労災病院呼吸器内科
05年4月〜東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科
06年4月〜国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科ならびに臨床研究センター
<資格>
医学博士
日本アレルギー学会 専門医・指導医
日本呼吸器学会 専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医・指導医
インフェクションコントロールドクター
<所属学会>
国際喘息学会日本・北アジア部会 評議員
日本アレルギー学会 代議員ならびに専門医制度委員
日本喘息学会 代議員ならびに専門医制度委員
<ガイドライン作成>
・難治性血管炎調査研究班「抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020」作成メンバー
・日本喘息学会「喘息診療実践ガイドライン2021」作成メンバー