症例で理解する血液疾患
クイズ形式で血液疾患に対する直感力・対応力を磨く
■講師 渡邉純一 先生(TMGあさか医療センター血液内科 部長)
>講師詳細はこちら
【セミナー概要】
血液疾患は頻度が少なく、難しいという印象をもたれることが多い。前回のセミナーで血液疾患の診断・治療と紹介タイミングについて解説を行い、症例を交えて理解を深めていただいた。今回は症例を中心に話を進め、データの解釈・検査・治療方針を理解するためにクイズ形式のセミナーを開催できればと考えている。貧血の診断や治療反応の見方、白血球増加症・骨髄増殖性腫瘍の診断と鑑別ポイント、悪性リンパ腫の診断や鑑別ポイント、多発性骨髄腫の診断などについて、非専門医で実施できる検査・治療の過程を症例中心に解説していく。典型的な症例、判断に迷う症例などを適切に対応するために非専門医でできる対応を学んでいただければと考えている。
皆様の血液疾患の理解を深め、患者のQOLや予後の改善に本セミナーが役に立てれば幸いである。
10:00-12:00 「貧血性疾患・出血性疾患の症例」
・鉄欠乏性貧血・ビタミンB12欠乏性貧血・溶血性貧血の症例の採血
結果、治療反応について
・造血不全(骨髄異形成症候群・再生不良性貧血)の症例、特に採血
で進める鑑別方法、対応について
・血小板減少をきたす疾患の症例の採血で鑑別を進める方法について
・APTT単独延長をきたす疾患の症例について
12:30-14:30「造血器腫瘍の症例と典型的な検査結果について」
・急性白血病の症例と着眼点
・骨髄増殖性腫瘍の症例と採血での鑑別ポイントについて
・悪性リンパ腫の検査結果及び鑑別ポイントについて
・多発性骨髄腫の症例パターンについて
セミナー要綱
セミナーNO. | 728 |
開催日 | 2023年6月11日 10:00〜14:30 |
講師 | ■渡邉純一 先生(TMGあさか医療センター血液内科 部長) |
診療科目 | 血液内科 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■6月11日(日)に開催しました、医療技術セミナー 『症例で理解する血液疾患-クイズ形式で血液疾患に対する直感力・対応力を磨く;血液疾患2』は盛会裡に終了しました。
講師には、TMG(Toda Medical Group)あさか医療センター血液内科 部長 渡邉純一先生をお招きしました。実は、昨年の10月9日に第一回目のセミナー『身体所見と血算・血液生化学・凝固検査で判断する血液疾患-専門医への紹介のタイミングを中心に』というタイトルでお話しをしていただき盛会裏に終了した際、受講者の方々を中心に、次回はクイズ形式で質問にお答えいただく形の受講者参加型のセミナーをお願いしたいとの要望が出され、今回の規格が実現して、渡邉先生には、すさまじい量の質問をご準備いただいた・・・という訳です。結果として、セミナーは終了までの時間、目一杯の時間まで熱心に質疑と解説が行われました。
今回の講義の組立ては以下の通りでした。
■午前の部 「貧血、出血性疾患 (25症例)」
・貧血性疾患の診断・対応
・白血球減少の診断・対応
・血小板減少・凝固異常の診断・対応
■午後の部 「造血器悪性腫瘍 (23症例)」
・急性白血病・骨髄増殖性腫瘍の診断・対応
・悪性リンパ腫の診断・対応
・多発性骨髄腫の診断・対応
時折設けました質疑の時間は、各々が大いに盛り上がり、会場の方々並びに、ネット受講者からも、下記のような質問が寄せられ(一部を抜き書きします)、渡邉先生も、律儀に一生懸命にお答えいただきました。
Q:腎性貧血はeGFRどれくらい以下で起こりますか?
Q:血液内科に紹介すべき多血症の検査所見の特徴は?
Q:血栓症を疑う状況でDDはどれくらい以上を有意と考えたら良いですか?
Q:ATPPが延びていないか、ループスアンチコアグラント、ジオリピンβ2グリコプロティンⅠ複合体抗体などで良いでしょうか?
Q:P51:APTT単独延長のスライドで、右のグラフにて、下のグラフは50%混合でも遅延反応が90秒と延長したままであるのが異常ということでよいでしょうか?APTTに遅延反応/測時反応とかがあるとは、どういうことでしょう?
Q:DVT等含め、血栓形成を起こした時にルーチンでチェックする項目などお教えいただけませんか?プロティンSC、等?APTTを測定するなど抗リン脂質抗体症候群など除外できますか?
Q:腎性貧血の診断について、腎機能低下の人で貧血があり、鉄欠乏がない場合、それが本当に腎性貧血かどうかの判断に迷うことがあります。EPの値は貧血の程度により変化するため、検査会社の正常値では判断出来ないように思います。貧血の程度に対応したEPの正常値のデータはありますか?
Q:薬剤(降圧剤やスタチン)で貧血やwbc低下する場合がありますか?その判断ほうほうはどうすれば良いですか?どのような薬剤が問題となりやすいですか?(一般的にクリニックで処方する例が多い範囲内の薬剤で)
Q:貧血で血清鉄とUIBCが低いのにフェリチンが300もある患者です。どういう検査をして、どういう疾患を考えたら良いですか?
一般に血液疾患は,そうそう件数が多いという疾患ではないものの、遭遇したらしたで深刻な事態・事情になることも多く在ることがある。身近な事例では、水泳女子のIさんの事例。女子水泳界に新星のごとく現れたエースが、在るときにから血液疾患により不調に陥り、日本中を暗澹たる空気に追い込んだものであったが、ようやく回復を見て、少しずつ記録も回復し始めている。彼女も日本の医学界の応援を得て,世界に羽ばたいていただきたいものである。
■講師 渡邉純一 先生(TMGあさか医療センター血液内科 部長)
<略歴>
04年3月 防衛医科大学校医学科卒業
防衛医科大学校病院初期臨床研修医
06年6月 陸上自衛隊北部方面衛生隊
08年8月 防衛医科大学校病院専門研修医
11年8月 陸上自衛隊中央即応集団付
12年10月 防衛医科大学校医学研究科
16年10月 陸上自衛隊第5旅団医務官
18年4月 埼玉医科大学総合医療センター 血液内科 助教
20年8月 TMGあさか医療センター 血液内科
21年8月 TMGあさか医療センター 血液内科 部長
<資格>
医師・医学博士
日本内科学会 内科認定医、総合内科専門医・指導医、JMECCインストラクター
日本血液学会 血液内科専門医、指導医
日本造血細胞治療学会認定医
日本輸血細胞治療学会認定医
Infection Control Doctor
<所属学会>
日本内科学会、日本血液学会、日本造血細胞治療学会、日本輸血細胞治療学会、日本感染症学会
<著書>
単著:
血液内科ただいま診断中!(中外医学社)
イラストで理解するみんなの血液内科学(中外医学社)
内科救急ただいま診断中!mini(中外医学社)
血液内科ただいま回診中!(中外医学社)
血液内科ナースのはじめかた(金芳堂)
共著:
EBM 血液疾患の治療 2019-2020(中外医学社)など