■講師　粟屋徹 先生（東邦大学医療センター大橋病院循環器内科）
>講師詳細はこちら 
 

【セミナー概要】
mRNAワクチン接種後の副反応に関して、診断や治療に苦慮 されている先生方が多いと思います。副反応のメカニズムとして①炎症性サイトカイン②自己免疫③アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)のダウンレギュレーションなどが報告されています。
ワクチン接種直後はmRNAワクチンに含まれる脂質ナノ粒子(LNP)によって炎症性サイトカイン放出が生じることがある為、サイトカイン放出を更に助長する過度な運動、飲酒、喫煙、入浴は避けるべきと考えます。
私が作成したワクチン後副反応のReview論文やワクチン後心筋炎の論文、また実際に診察したワクチン後狭心症やバセドウ病などの症例も踏まえ、今後ワクチン後副反応の治療と予防で期待される薬剤についてもお話できればと思います。

午前　10:00～12:00　
ワクチン後副反応のメカニズムとその関連疾患

午後　12:30～14:30
ワクチン後心筋炎含む循環器疾患の診断と治療方法

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■11月20日(日)に開催しました第725回医療技術セミナー『コロナワクチン後関連疾患のメカニズムから考える予防法とワクチン後心筋炎の診断・治療』は盛会裡に終了しました。
講師には、東邦大学医学部附属医療センター大橋病院循環器内科の粟屋徹先生をお招きしました。初めての出演です。とある新聞の同タイトルの記事に気がつきまして、これは大事な話だと思いご依頼した次第でしたが、粟屋先生も「よくあの記事に気がつかれましたね。あの記事は患者さんからの質問が切っ掛けでした」とのことでした。スキルアップセミナーは、これまでワクチン接種に慎重な意見の方もおいでいただいてきましたが、今回はワクチンしかない現状では、その意義を根底からは問わない立場でのご登場です。当日、現れられた方は、長身で細身のイケメンの医師でした。

講義の組立てですが、以下の通りでした。
●イントロ　最近の話題から：アナフィラキシー
　　　　　　皆さんが、現場におられたらどう対処されますか？
　　　　　　恐らくKounis症候群が生じたと考えられます
●午前の部　「ワクチン後副反応のメカニズムとその関連疾患」
　ワクチン後副反応の原因
　副反応メカニズム　①炎症性サイトカインの増加　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　②脂質ナノ粒子（LNP）
　　　　　　　　　　③アンジオテンシン変換酵素（ACE）２
　　　　　　　　　　④好酸球増多
　　　　　　　　　　⑤自己免疫疾患
　　　　　　　　　　⑥免疫抑制
　治療と予防　運動、飲酒と喫煙、入浴等についての注意、
　急性期の副反応治療　過剰なIL-1β、IL-6、ヒスタミンを抑る
　亜急性期の炎症　　IL-１β、IL６、AngⅡを押さえる薬剤
　　　→　コルヒチン、ステロイド、アクテムラ、イラリス、他
　インフルエンザワクチンとの比較　　
●午後の部「ワクチン後心筋炎含む循環器疾患の診断治療方法」
　心血管イベント　心筋炎、急性冠症候群、冠攣縮性狭心症
　脳血管イベント　
　ワクチン後副反応　心筋炎、狭心症、バセドウ病、心不全、
　　帯状疱疹
　薬物療法
最後に非公式？の講師自身の疑問を整理された当日用のスライドを使われて、大変興味深い重要な講義も行われました。実際に臨床の現場におられる方故の姿勢、考え方や感じ方に感心させられました。
耳に残った見解としては、デルタ株までのステージと違い、オミクロン株以降は重症化する患者への対応は重要ですが、考え方によっては感染が広がった反面、集団免疫の形成も進んでいると考えることも出来るとの事でした。

イントロとして、最近の事故・死亡例をいくつか挙げられましたが、「自分ならどうしただろう？」と疑問を実感されたのか、会場からも、ネット受講者からもたくさん質問が出ました。

■講師　粟屋徹 先生（東邦大学医療センター大橋病院循環器内科）
＜略歴＞
08年3月　東京医科大学医学部卒業、
08年4月　東京医科大学茨城医療センター前期研修
10年　東京都立多摩総合医療センター後期研修
12年　東邦大学医療センター大橋病院循環器内科
14年　国立研究開発法人国立国際医療研究センター循環器内科
19年　東邦大学医療センター大橋病院循環器内科

所属学会：
循環器学会専門医、総合内科専門医取得