高齢者の健康診断で見過ごしがちな異常所見へのアプローチ
心不全を念頭に
■講師 長嶋道貴 先生(湘南第一病院 副院長/循環器内科 部長)
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【セミナー概要】
皆様は、日頃なんらかの形で関わっている、診療機能の一つである健康診断をどのようにとらえ、どのように実践しているでしょうか。あくまでも私見ですが、健康診断の主目的は健康維持であり、すなわち若年者においてのそれは病気の予防、より高齢の受診者においてのそれは病気の発見、そしてさらなる老齢者においては病気の管理と言えます。かく言う私が、“健診でひっかかった”高齢者に「加齢によるもの、仕方ないですよ。」とか「大丈夫、様子みましょう。」とか簡単に説明したシーンは、恥ずかしながら昔のことではありません。ともすると、健康診断を受けた事実が受診者それぞれの立場で単なる“免罪符”となっている現実も目にします。貴重な診療機会である健康診断には、プライマリケア医がもっと活用できる、介入できる余地があると、いま私は実感しています。
今回の医療技術セミナーでは、高齢者の心臓疾患の発症や進展を念頭に、前半にさまざまなタイプの健康診断に共通する診察・検査項目について意義をできる限りsimpleに解説し、異常所見に対する追加検査や最新の治療にも言及します。後半には、高齢者施設に入居している要介護高齢者を対象とした健康診断の実際を紹介します。ケーススタディを通して、否が応でもすべての医師が要介護高齢者を診る時代を先取りしてもらいます。
皆様の日常診療に余すことなく生かしてもらえるよう、closeかつpracticalなコンテンツを準備しています。どうぞ診療科を超えてご参加ください。
進行プログラム
10:00-12:00
①心臓疾患の発症や進展に関与する異常の検出
Ⅰ身体所見
②胸部X線写真と心電図
③尿蛋白とクレアチニン
④ヘモグロビン
⑤LDLコレステロールとヘモグロビンA1c
12:30-14:30
Ⅱ要介護高齢者を対象とした健康診断の実際
医療機関の受診に少なからず制約のある要介護高齢者にとって、健康診断は環境の整った貴重な診療機会でもある。健康診断によって得られる検査・治療の強化のタイミングや予後を占うヒントを実際のケース(自験例)に学び、人生の最終段階の医療介入の是非まで共に考える。
セミナー要綱
セミナーNO. | 718 |
開催日 | 2023年2月19日 10:00〜14:30 |
講師 | ■長嶋道貴 先生(湘南第一病院 副院長/循環器内科 部長) |
診療科目 | 老年・高齢者医療 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■第718回セミナー『見過ごしがちな異常所見-心不全』は盛会裏に終了しました。
2月19日(日)に開催しました第718回医療技術セミナー『高齢者の健康診断で見過ごしがちな異常所見へのアプローチ-心不全を念頭に-超高齢社会のリアリティを共有する』は盛会裏に終了しました。
講師には、湘南第一病院副院長で循環器内科部長であります長嶋道貴先生をお招きしました。昨年6日19日にお願いしました『抗血小板剤と抗凝固薬の使い分け、要介護高齢者の抗血栓療法』(#693)に次いで2回目のご出演になりました。
当日の講義の組立ては以下の通りでした。
午前の部「健康診断での心疾患の発症や進展に関与する異常の検出」
⓪心不全の現況
パンデミック、多様化、治療の4薬剤、藤沢市の現況
①身体所見
高血圧 診療ガイドラインと症例2件
脈不正、心雑音、大動脈勉狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症
②心電図と胸部X線写真
心房細動、完全左脚ブロック、心拡大、心エコー
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
③クレアチニンと尿蛋白
慢性腎臓病(CKD)と症例3例
④ヘモグロビン
貧血、心房細動、腎性貧血、
⑤LDLコレステロールとヘモグロビンA1c
虚血性心疾患、スタチン、糖尿病患者の心筋梗塞発症率、
急性心筋梗塞症患者の潜在的糖代謝異常、
脂質管理目標設定と症例2例
午後の部「要介護高齢者を対象とした健康診断の実際」
⓪超高齢社会-人口および超高齢者の推移
主な死因の構成割合、65歳以上の人口増加率、
人口10万人あたりの一般病床数
①医療機関の受診に制約がある環境
検診レポートと症例3例
②貴重な診療機会
eGFRとCCr,脳性ナトリウム利尿ペプチド,糖尿病の治療
薬剤-ビグアナイド薬とSGLT2阻害薬、スタチン、
一般急性期病院における急性心不全患者の生命予後
③人生の最終段階における節度ある医療介入
質疑は会場受講者からもネット受講者からも質問が続出した。
長嶋先生は、昨年の夏と違い、髪を伸ばされ、分陰期が一変されておりました。
■講師 長嶋道貴 先生(湘南第一病院 副院長/循環器内科 部長)
<学歴および職歴>
1993年 国立山形大学医学部卒業
1993年 東京女子医科大学循環器内科入局
1996年 仙台循環器病センター出向
1998年 済生会栗橋病院循環器科出向
1999年 大阪市立総合医療センター循環器内科出向
2002年 東京女子医科大学病院心血管カテーテル検査室・CCU室長
2006年 東京女子医科大学医学博士号取得
2009年 湘南第一病院 内科・循環器内科部長
2013年 同院 副院長(現職)
<学会活動および個人活動>
日本内科学会(認定内科医)
日本循環器学会(循環器専門医)
日本プライマリ・ケア連合学会(認定指導医)
日本フットケア・足病医学会(フットケア指導士)
クローバーホスピタル非常勤医師
湘南看護専門学校非常勤講師