■講師　高橋良 先生（昭和大学医学部附属東病院リウマチ・膠原病内科　助教）
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【セミナー概要】
2010年、米国/欧州リウマチ学会による関節リウマチの分類基準が改定され、早12年が経ちました。そして、この分類基準の見直し以降、生物学的製剤を中心に、新規薬剤が次々と誕生し、これまで寛解が得られなかった多くの難治性ＲＡの患者さんたちが救われてきました。Windows of opportunity（治療機会の窓）の考えのもと、ＲＡをより早期に診断し、可能な限り迅速に十分な治療を導入することが、リウマチ学会では確立された診療の基本理念となっています。
しかし、このwindows of opportunity、言うは易し、行うは難し。。。実際の関節炎の診療は、診療所はもとより、たとえ大学病院のRA専門外来であっても診断が困難なケースも多く、そんなに簡単に、一筋縄ではいかない、のもリウマチ診療の特徴です。
今回の医療技術セミナーでは、2010年に改訂された“リウマチの分類基準改定”に改めて触れながら、その真の意義やピットフォールに迫れたら、と思っています。特に、十分な検査設備がない非専門施設においては、病歴と身体所見が最大のカギになることは言うまでもありません。
関節MRIや関節エコー検査のその前に、まずどんな狙いをもって、何を聴くべきか。目の前の関節をどう評価していくか。病態生理から理解する関節診療。明日から使える“関節診療の臨床アタマ”を一緒に学ぶ機会にできたら幸いに思います。□関節リウマチの分類基準とそのピットフォール
 
□関節痛に必要不可欠な病歴と、それを裏付ける病態生理
 
□痛みの問診 OPQRST　関節痛ならどう使う
 
□関節フィジカルベーシック

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■12月4日(日)に開催しました第709回医療技術セミナー『リウマチ・膠原病シリーズ2　臨床推論の舞台裏　実地医家のための　これってリウマチ！　関節診察のロジックとピットフォール』は盛会裏に終了しました。
　講師には、昭和大学医学部附属東病院リウマチ膠原病内科助教高橋良先生をお招きしました。今年の3月27日の『血管炎』に継いで2回目です。なお、今回のセミナーは、当初8月7日に予定されておりましたが、直前になって講師の身内にコロナ感染者が出られたことで、いったんは9月18日に延期になり、その後九州から上陸した台風が日本を縦断して関東圏に近づいた事で、再々延期になっておった事情です。
　
　今回のセミナーの講義の組立ては以下の通りでした。
午前の部
１．関節リウマチとは　〜SQ（Semantic Qualify）の解釈〜
　　罹患分類基準
２．ＲＡ分類基準を解剖する〜そのポイントと最大の難題〜
午後の部
カギを握る！Differential Diagnosis
　〜SpAからPMR、感染症までいっきに考える〜

　SQ（Semantic Qualify）とは「意味を持たせた修飾」と説明されております。講義は、論理的な”推論”の蓄積と思われますが、症例として、「43歳女性　半年前からの両手のこわばり」「76歳男性　2週間ほど前からの両膝と右足関節の腫れと痛み」を題材に、リウマチ診断基準の時代的推移を軸に、繰り返しの推論のなかで絞り込んでいく・・・という手法です。
　免疫学−抗ＣＣＰ抗体検査、免疫システム、関節−生体膜、3種類の毛細血管、軟骨、関節の腱、腱付着部、滑液包、「痛みのＯＰＱＲＳＴ」、発症様式、付着部炎、指炎の解説。
　若者の「全身だるい」、膝関節への石灰沈着、リウマチ性多発筋痛症＝高齢者の急性多発滑液包炎、76歳男性の肩関節の腫れと痛み→尿管癌の診断例、81歳女性の頚部全体の痛み→巨細胞性動脈炎、等の症例。

　見事なくらいの臨床推論、関節診察のロジックとピットフォールというタイトルにふさわしい、お話でした。

　次回の”３”は、「ステロイドの使用」を中心に、来年4月２日の開催予定です。

■講師　高橋良 先生（昭和大学医学部附属東病院リウマチ・膠原病内科　助教）
＜略歴＞
05年　昭和大学初期臨床研修医
07年　昭和大学救急医化学科
09年　昭和大学リウマチ膠原病内科
13年　日赤医療センター　アレルギー・リウマチ科
14年　昭和大学リウマチ膠原病内科　助教
　　（現職）
＜著書＞
『本当に使える症候学の話をしよう〜とことんわかる病態のクリニカルロジック〜』（2020年、じほう社）