脳神経内科系(神経内科)

増加中のコモンな神経疾患5 内科疾患と関連の深い神経症状を学びましょう

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糖尿病(中枢神経障害)、ビタミン欠乏症、電解質異常、内分泌異常

■講師 福武敏夫 先生(亀田メディカルセンター脳神経内科 部長)
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【セミナー概要】
脳神経内科で扱う疾患は筋疾患から末梢神経や脊髄、そして脳の障害に至るまでとても幅広いです。
病理学的にも血行障害、炎症、外傷(神経系にとっては頚椎症も外傷性)、免疫性、代謝性、変性、腫瘍性と多様です。このうち、代謝性疾患は他の内科疾患との関連が深く、脳神経内科の知識は総合内科医や一般内科医などの日常診療にとっても共有すべき重要性を含んでいます。
今回の医療技術セミナーでは、?糖尿病の中枢神経障害(特に糖尿病性認知障害や危険な低血糖症)、?ビタミン欠乏症(特にB1とB12)、?電解質異常(チャネロパチーや脳性塩類喪失症候群など)、?内分泌異常(甲状腺では橋本脳症、副腎ではCushing症候群の精神症状など)を学んでいきましょう。■講演プログラムおよび要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断りします)
 
10:00−11:00糖尿病の中枢神経障害
糖尿病は小血管病により末梢神経や腎、網膜などが障害され、大血管病により脳梗塞や心筋梗塞をきたす。これらの複合により中枢神経系が障害されるが、最近では糖尿病自体による代謝障害と併せて認知障害が加速的に進行することが知られてきており、”Diabeticdementia(糖尿病性認知症)”が大きなテーマになっています。これにも関連しますが、低血糖による意識障害が失神の誤診されやすい原因として注目されます。
 
11:00−12:00ビタミン欠乏症による神経障害
ビタミンB12欠乏症は亜急性脊髄連合変性症をきたすことで有名ですが、完成後に診断しても仕方がなく、両手のしびれだけのような早期に診断することが望まれます。胃がん術後などの危険因子だけでなく、高齢者ではPPIなども危険因子になることを理解する必要があります。高齢者では失神や認知障害の原因にもなります。ビタミンB1では末梢ではギラン・バレー症候群様症状、中枢では食思不振からの意識障害で想起する必要があります。
 
12:00−12:30昼食
 
12:30−13:30電解質異常による神経障害
低NaではSIADHが想起されますが、髄膜炎やSAH、頭部外傷に伴って、脳性塩類喪失症候群(CSWS)が生じて低Naに至ることが知られています。SIADHとCSWSでは水分管理の方法が真逆ですので注意が必要です。CSWSの結果として低Kが生じることがあります。低Kは周期性四肢麻痺に関連する他に、漢方の芍薬甘草湯の長期投与で低Kからミオパチーをきたすことがあります。Mg入りの便秘薬による高Mg血症にも要注意です。
 
13:30−14:30内分泌異常による神経障害
内分泌疾患はしばしば神経筋疾患を伴います。甲状腺機能低下症は昏睡やけいれんをきたす脳症、うつ状態や双極性障害、睡眠障害や運動失調、ミオパチーやニューロパチーを合併することがあります。甲状腺機能亢進症も多くの免疫性神経筋疾患と関連します。Cushing病は多くの全身性症候と共に、心因性と誤診されるような多彩な精神症状をきたすことがあります。ACTH単独欠損症は原因不明と思われる時に常に想起すべきです

セミナー要綱

セミナーNO. 662
開催日 2021年8月29日 10:00〜14:30
講師 ■福武敏夫 先生(亀田メディカルセンター脳神経内科 部長)
診療科目 神経内科系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■8月28日(日)に開催しました第662回医療技術セミナー『増加中のコモンな神経疾患5糖尿病による中枢神経障害、ビタミン欠乏症、電解質由来の異常、内分泌由来の異常』は盛会裏に終了しました。
講師は、亀田メディカルセンター脳神経内科部長であります福武敏夫先生をお招きしました。福武先生のこのシリーズ、標記の通り5回目の開催です(#542、#575、#621、#639)。これまで、頭痛・めまい・しびれ・非定型的脳梗塞(1回目)、ディメンチア(認知症)・パーキンソン病・心因性神経症状(2回目)、ふるえ・けいれん・せん妄と精神症状・意識障害(3回目)、てんかん・肩こり・金属由来の神経症状・糖尿病による神経症状(4回目)と、取り上げていただいて来ました。
今回の講義の組立は以下の通りでした。
午前の部
1.日常診療に潜む「糖尿病」由来のCNS神経症状
糖尿病の復習、低血糖による一過性意識障害、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、非ケトン性高浸透圧症候群と片側舞踏運動、認知障害(Alzheimer、血管性、代謝性脳症、低血糖・血糖変動)GAD抗体感染症候群、Stiffperson症候群、外転神経麻痺、他。
2.日常診療に潜む「ビタミン」由来の神経症状
ビタミンB12欠乏症の病型とその原因、ビタミンB1欠乏症の病型と原因、Wernicke脳症の診断、葉酸欠乏症、ビタミンE欠乏症、ビタミンB6欠乏症、ビタミンA毒性、他。
午後の部
3.日常診療に潜む「電解質」由来の神経症状
低Naの症状と病歴・原因、水中毒、SIADH、脳性塩類喪失症候群(CSWS)、高Naの原因と症候、低カリウムK血症の原因と影響、こむら返り、里吉病、高K血症の原因と影響、高Ca血症の原因と症状、低Ca血症の原因と症状Fahr病、Mg、他。
4.日常診療に潜む「内分泌」由来の神経症状
甲状腺機能低下症、橋本脳症の病型とd/d、甲状腺機能亢進症、嗄声、尿崩症Cushing症候群、トルコ鞍空虚(EmptySella)ACTH単独欠損症、高Ca血症の原因と症状、低Ca血症の原因と症状、他
 
他に、興味深い研究秘話として、「インスリン発見100年」、トロントの軌跡、ビタミンの命名、江戸煩い=脚気、日露戦争における日本陸軍と露西亜海軍の軍隊の栄養事情、など。
 
質疑においては、ネット受講者から質問が相次いで、盛り上がりました。

■講師 福武敏夫 先生(亀田メディカルセンター脳神経内科 部長)
<略歴>
東京大学理学部数学科中退、医学系予備校講師を経て、
1981年3月、千葉大学医学部卒業
同年5月、千葉大学神経内科に入局
千葉県救急医療センター、鹿島労災病院勤務の後、
2000年6月、千葉大学神経内科助教授
2003年4月、亀田メディカルセンター神経内科(2018年10月脳神経内科に改称)部長、現在に至る(内科チェアマン兼任)。
この間千葉大学・徳島大学・福島県医大・亀田医療大学非常勤講師なども歴任
 
<著書>
単著「神経症状の診かた・考えかた−GeneralNeurologyのすすめ−、第2版」(医学書院)、「脊髄臨床神経学ノート」(三輪書店)
編著「Dynamicdiagnosisに必要な脊椎脊髄の神経症候学」(三輪書店)、「しびれ感」(日本神経治療学会;医学書院)

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