やはり安全!ボツリヌスによる片頭痛治療
行き詰まってきた片頭痛治療 アメリカのオピオイド悲劇に陥るな!
■講師 寺本純 先生(寺本神経内科クリニック 院長)
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【セミナー概要】
最近アメリカのオピオイド中毒・死亡の問題が、トランプ大統領の非常事態宣言を契機に報道され始めた。欧州へも波及が始まっている。
片頭痛頓挫薬のトリプタンは、発売当初から薬物乱用に陥りやすいことが知られていた。頭痛頻度を低下させる経口予防薬はトリプタン乱用には無効なことが明記されており、現在開発中の抗CGRP剤も頻度の減少率が不十分である。
難治性頭痛に対して、最近ではオピオイド系薬剤の投与が増えつつある。弱オピオイド系だから安心とは言えない。連用に陥りやすいからである。このままでは中毒が多発する。それらの薬剤を全面否定はしないが、根本は頭痛頻度を減らし頓挫薬を減薬することである。乱用頭痛を長期的に脱却できるのは今はボツリヌス剤しかない。学会の関心の乏しさから国内での保険申請は不能になったが、背景事情からアメリカでは一層推奨されるようになってきた。実施時の技術で成績の差は出るが、経験を積むしかない。非保険用の薬剤価格も低下してきており自由診療で実施を推奨したい。
10:00-12:00講義
片頭痛の背景要因と臨床像
いままでの平均的な治療法
従来の治療で生じる問題点
アメリカの悲惨な現状
13:00-15:00動画による講義セッション
いくつかの今後の治療策
今後、必須となるボツリヌス治療
自由診療によるその実施法
セミナー要綱
セミナーNO. | 482 |
開催日 | 2018年4月29日 10:00〜15:00 |
講師 | ■寺本純 先生(寺本神経内科クリニック 院長) |
診療科目 | 神経内科系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■4月29日(日)に開催しました第482回医療技術セミナー『ボツリヌス剤を使った片頭痛治療−行き詰まってきた片頭痛治療;アメリカのオピオイド悲劇を繰り返すな』は盛会裏に終了しました。
講師には、名古屋駅の傍で診療を続けておられる寺本神経内科院長寺本純先生をお招きしました。メディカル・コアの時代から数えての登場回数はやはり10本の指では足りなくなりました。
講義の組み立てですが、以下の通りでした。
午前の、「講義のセッション」では、下記の通りでした。
・片頭痛の背景要因と臨床像
・いままでの平均的な治療法
・従来の治療で生じる問題点
・アメリカの悲惨な現状
午後の、「動画セッション」では、下記の通りでした。
・いくつかの今後の治療策
・今後、必須となるボツリヌス治療
・自由診療によるその実施法というものでした。
講義を聞いていて分かったことは、頭痛や片頭痛の治療薬が、ある面で製薬企業の役割が大きく、製薬企業の意向や事情で頭痛の解釈や治療ガイドラインの設定が左右される傾向が過去から繰り返されてきていることがあるようだ。また、トリプタンはじめとする薬物は常習性と中毒が問題点であることは知られているところです。
一方で、「米国では、慢性痛の治療に使われるオピオイド系の鎮痛剤が乱用されており、中毒状態になっている者は190万人。死亡者は1999年から2014年までで16万5、000人に上るとされる。オピオイド系と呼ばれる鎮痛剤には驚くほどの常習性がある。米国では鎮痛剤の使用および乱用が蔓延状態であり、米国政府の試算によれば、2013年にはおよそ190万人の米国人がこうした鎮痛剤の依存症だったという。そこでアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2016年3月中旬、医師が鎮痛剤の処方を管理するための新しいガイドライン(PDF)を公開した。」(ネットから引用)
トランプ大統領は就任早々に、この問題について非常事態宣言を宣した。米国では処方薬として購入できるオピオイド系鎮痛剤が、日本では違法薬剤であることも多い。日本でも、医療用大麻の解禁を、元女優や現首相夫人が(本当に分かっておられるのかは大いに疑問なのだが)発言してはばからないのも知られている通りです。
そこで登場するのがボツリヌス剤であり、それを使った片頭痛治療のようです。もともとボツリヌス剤は、別の目的で開発されてきたものが、効果から逆にいろいろと使われてきた。他の薬剤には似たような歴史があるようですね。
■講師 寺本純 先生(寺本神経内科クリニック 院長)
<略歴>
75年名古屋大学医学部卒業、
市立四日市病院、名古屋大学第一内科(現神経内科)、国立武蔵療養所神経センター(現国立精神神経センター武蔵病院)、奈良県立医科大学神経内科、名鉄病院神経内科部長を経て、96年寺本神経内科クリニック(名古屋)開設、10年八重洲痛みの診療室(東京)を併設(16年に再開発によるビルの改築のために閉院)。国内初の頭痛ボツリヌス治療を導入、17年前より実施。
<学会活動>
日本内科学会、日本神経学会、日本頭痛学会等認定医・専門医、多数