もっとも予後不良な感染症にどう対峙するか！

■講師　泉川公一 先生（長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 臨床感染症学分野/長崎大学病院 感染制御教育センター）
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■講師　田代将人 先生（長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 臨床感染症学分野）
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【セミナー概要】
深在性真菌症は身近な感染症とは言い難い感染症です。昨今、医療技術は飛躍的な進歩を遂げておりますが、それに伴い、深在性真菌症患者も増加しております。すなわち、臓器移植、造血幹細胞移植の技術の向上、生物学的製剤、分子標的薬、化学療法剤の開発により、従来では考えられなかったレベルの免疫不全患者が多く見受けられるようになりました。これらの患者の予後を決定するのが、日和見感染症です。なかでも、真菌症はもっとも難治性で予後不良な感染症と言えると思います。
本医療技術セミナーでは、深在性真菌症の基礎から最新のトピックスまで、あまり馴染みのない先生方にも分かりやすく解説をしたいと思います。
皆様のご参加をお待ちしております。10:00〜12:00総論講師：田代将人
（総論1）真菌と真菌感染症について
（総論2）深在性真菌症とは
（総論3）深在性真菌症の診断方法と治療薬
（総論4）真菌症の薬剤耐性とトピックス
 
13:00〜15:00各論講師：泉川公一
（各論1）カンジダ症の診断と治療
（各論2）アスペルギルス症の診断と治療
（各論3）クリプトコックス症の診断と治療
（各論4）ニューモシスチス症の診断と治療
（各論5）その他の真菌症の診断と治療

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■11月19日(日)に開催しました第458回医療技術セミナー『実地医家のための深在性真菌症の診療とトピックス−もっとも予後不良な感染症にどう対峙するか』は盛会裏に終了しました。
講師には、長崎大学大学院医歯学総合研究科臨床感染症学分野/附属病院感染制御教育センター教授（内科医）であります泉川公一先生と、同所属の助教であります田代将人先生（内科医）をお招きしました。お二人とも初めての招聘です。
講義の組立ですが、午前の『総論』を担当された田代先生のコンテンツは以下の通りでした。
・真菌と真菌感染症について
・深在性真菌症とは
・深在性真菌症の診断方法と治療薬
・真菌症の薬剤耐性とトピックス
ご覧の通り、真菌の種類等、基礎的な事項から詳細に解説していただきました。
午後の講義『各論』を担当された泉川先生には、下記のコンテンツでお話をいただきました。
・午前の講義のポイント
・深在性真菌症全般におけるトピックス
・カンジダ症
・アスペルギルス症
・クリプトコックス症
・ニューモシスチス症（かつてはカリニ肺炎とされていた）
・ムーコル症
・その他の真菌症、というものでした。
そもそもこの医療技術セミナーは当初『呼吸器感染症−呼吸器真菌症を含めて』というタイトルで企画され依頼して、快くお引受けいただきました。が、実はその後、似たようなタイトルでのセミナーが成立し、しかもこのセミナーより前の9月に開催されました。そういう事情で、呼吸器に限らず少し範囲と対象を広げて、かつ講師陣のお得意の「呼吸器真菌症」の内容を損なわない内容で、企画を修正していただいて、今回の開催にこぎつけた次第でした。
この領域の疾患で、つい先日に視た沢口靖子さんの「科捜研の女」で、犯人を特定する決め手にハトが多数存在する環境に暮らす（ハトの糞に取り付き蔵書kする）クリプトコックス症の犯人の喉の炎症の話がありましたが、医療の世界ではカテーテルからの感染症、臓器や造血幹細胞移植にともなう感染症、原発事故と真菌症、あるいは長崎という地で診療されている講師は、近くの造船企業の従業員がメキシコの関連事業所から持ち込む（海外渡航による「輸入感染症」の）ヒストプラスマ症など、ある程度はじめから真菌症を想定していないとなかなか気が付きにくい、つまり診断できない疾患である・・・・との講義でした。それらの講義をお聞きしていて、かつて真菌による疾患であることがわからなかった以前は、「アレルギー性気管支炎」「喘息」等の診断で片づけられてきていた疾患であり、今月11/4開催の『新たな感染症−食中毒も含めて』のダニによる脳炎（SFTS）や、11/12開催の『血液疾患』とも密接に関係する内容でした。「表在性」という概念に対して『深在性』という意味と内容のうえで重要で、この領域の研究と臨床は意義深いものであることを実感しました。真菌により肺を含めた呼吸器や喉、副鼻腔、食道等の他の臓器や部位を侵されたら、菌の耐性化にともない抗菌剤やステロイド等の薬剤もそうそう効かなくなっている状況で、結局は難治で重篤な疾患になりかねず、悲惨な予後にならざるを得ない・・・ことのようです。
素晴らしいお話でした。
これまで皮膚科領域の「真菌症」や「爪の真菌症」等、いわゆる表在性の疾患は、医療技術セミナーでも幾度となく取り上げてまいりましたが、肺を含めて呼吸器や他の臓器や部位の「深在性真菌症」を取り上げるのは初めてでしたが、重要で開催意義のある医療技術セミナーとなりました。

■講師　泉川公一 先生（長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 臨床感染症学分野/長崎大学病院 感染制御教育センター）
＜専門＞
感染症、真菌学、呼吸器病学、感染制御学
 
＜職歴と研究＞
1994年3月長崎大学医学部卒業
6月長崎大学医学部附属病院第二内科入局後、研修
1996年4月長崎大学医学部大学院臨床検査医学
（出血性大腸菌、緑膿菌、レジオネラ症、βラクタマーゼ産生菌の基礎研究）
2000年4月長崎大学医学部附属病院医員
5月米国国立衛生研究所（NIH）留学（カンジダの薬剤耐性の基礎研究）
2003年8月地方職員共済組合長崎県診療所勤務
2004年7月国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター勤務
2005年4月長崎大学医学部・歯学部附属病院第二内科助教
2009年4月米国国立衛生研究所（NIH）留学（アスペルギルスの耐性・病原因子に関する基礎研究）
2009年10月長崎大学大学院医歯薬学総合研究展開医療科学講座（第二内科）助教
2011年4月長崎大学大学院医歯薬学総合研究展開医療科学講座（第二内科）講師
2013年4月〜現在 長崎大学病院感染制御教育センターセンター長
2014年3月長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座臨床感染症学分野教授
2017年4月〜現在長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学分野教授（組織再編による名称変更による）
 
＜加入学会と社会活動＞
日本内科学会
日本呼吸器学会（代議員・広報委員会委員・感染症・結核学術部会ウェブ委員）
日本呼吸器内視鏡学会（評議員）
日本感染症学会（評議員・感染症専門医制度試験問題作成委員・専門医審議委員・院内感染対策講習会講師）
日本化学療法学会（評議員・JournalofInfectionandChemotherapy編集委員）
日本医真菌学会（理事・代議員・ガイドライン検討委員会委員長・将来計画委員・支部・関連学会委員長）
日本結核病学会（代議員・治療委員）
日本マイコプラズマ学会（理事）
日本臨床微生物学会（幹事・評議員、学術奨励賞委員会委員、地区制度委員会委員、認定医制度委員会委員）
日本環境感染学会（理事・評議員、ICD制度協議会委員、災害時感染制御検討委員会委員）
日本DDS学会
日本肺癌学会
日本呼吸器内視鏡学会
日本臨床生理学会
AmericanSocietyofMicrobiology
InternationalSocietyofHumanandAnimalMycology
長崎県感染症対策委員会委員
長崎市感染症診査協議会委員
長崎市人権教育・啓発審議会委員
長崎市医師会広報委員会委員
長崎大学における感染症研究拠点整備に関する地域連絡協議会委員
東北大学大学院非常勤講師、富山大学非常勤講師
国際緊急援助隊感染症対策チーム作業部会部会員
科学研究費委員会専門委員
 
＜受賞歴＞
2010年 日本抗生物質学術協議会奨励賞
2010年 長崎県医学同窓会助成金
2013年 長崎県医師会医学研究助成金
2014年 上田記念感染症・化学療法研究奨励基金
2014年 日本医真菌学会研究奨励賞

■講師　田代将人 先生（長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座 臨床感染症学分野）
＜専門＞呼吸器内科学、感染症学、医真菌学、感染制御学
 
＜略歴＞
2004年3月大分大学医学部医学科卒業
2004年5月長崎医療センター研修医
2006年5月長崎大学病院第二内科（呼内／感内／腎内／循内）修練医
2007年4月長崎原爆諫早病院呼吸器内科
2008年4月長崎大学大学院入学（第二内科臨床大学院）、同時に東邦大学微生物学・感染症学講座に国内留学Candidaの研究に従事
2010年4月長崎大学大学院に戻り、Aspergillusの研究に従事
2012年3月長崎大学大学院卒業
2012年4月長崎大学病院第二内科（呼内／感内）医員
2012年10月富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座/感染症科助教
2013年9月長崎県島原病院呼吸器内科
2014年4月長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学分野助教
長崎大学病院感染制御教育センター助教
 
＜資格＞
医学博士
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会専門医
日本感染症学会専門医
日本医真菌学会専門医
日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター
日本医師会認定産業医