「抗微生物薬適正使用の手引き」を踏まえたかぜ診療

■講師　山本舜悟 先生（京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター臨床研究教育・研修部　特定助教）
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【セミナー概要】
薬剤耐性菌の脅威は国際的な問題になっています。
2016年4月に薬剤耐性対策アクションプランが閣議決定され、国内でも対策がとられようとしています。国内の抗菌薬使用量の大半を外来での経口抗菌薬が占める現状を鑑みて、外来での抗菌薬適正使用の推進が急務になっています。
今年、厚生労働省により「抗微生物薬適正使用の手引き」が作成されています。手引きでは外来での頻度の高い急性気道感染症と急性下痢症をターゲットにしています。
今回の医療技術セミナーの前半では、この手引きを踏まえた、かぜ診療における抗菌薬適正使用について、後半では「かぜをひいた」と言って外来に来られる患者さんの中に紛れた重篤な疾患を見逃さないコツについてお話をしたいと思います。
皆さま、奮ってご参加ください。10:00〜12:00「気道症状のある“かぜ”のみかた」
・普通感冒
・急性鼻副鼻腔炎
・急性咽頭炎
・急性気管支炎
 
13:00〜15:00「気道症状が乏しい“かぜ”のみかた」
・高熱のみ型
・下痢型
・その他

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■10月22日(日)に開催しました第454回医療技術セミナー『”かぜ”とかぜのようにみえる重症疾患−「抗微生物薬適正使用の手引き」を踏まえた”かぜ”診療』は盛会裏に終了しました。
講師には、京都大学医学部付属病院総合臨床教育・研修センター臨床研究教育・研修部特定助教山本舜悟先生をお招きしました。神戸大学の岩田健太郎先生や、いつも感染症の領域で講師をお願いしております大路剛先生と同じ研究グループの研究者で、現在は京都大学附属病院で、若い医師の教育・研修にあたっておられる方です。スキルアップには初めてのお招きでした。また、テーマ的にはこれから冬に向かって寒くなる季節で、かぜに遭遇する可能性が高くなる時季に、時宜を得た企画になりました。折しも、超大型の台風21号が接近しつつあり大雨と暴風の中でも多くの受講者が駆けつけてくださいました。心より感謝申し上げます。
講義の組立は、午前の部は、タイトル『気道症状のある“かぜ”のみかた』として、かつその前提として『抗生剤』についての考えかたとその実際、で
１．“かぜ”に対する抗菌薬の使用について
２．気道症状のある“かぜ”のみかた
・普通感冒・急性鼻副腔炎・急性気管支炎
・急性咽頭炎・急性咽頭蓋炎でした。
また、午後の部は、タイトル『気道症状が乏しい“かぜ”のみかた』として、
３．気道症状が乏しい“かぜ”のみかた
・高熱のみかた・下痢型
・その他というものでした。
”かぜ”といえば古くから『かぜは万病のもと』といわれてきており、誰しもが年に１度や2度は罹るコモンな疾患であると考えます。ましてや具合が悪くクリニックに行くにあたり、患者の側も、診る医師の側も、「”かぜ”でしょう」と済ませてしまう、という疾患です。でも、実は「たかが”かぜ”」の裏側に、かぜのように見える重要な重症疾患が隠れている・・・となれば、ことは重大です。このテーマを取り上げる意義と価値が大いにあろうというものです。これまでは”喉頭蓋炎”は聞いたことがありましたが、他にもたくさん注意すべき疾患が挙げられ、解説が行われました。
それに、日常診療のうえでも、喫緊の課題になっているのは「抗生剤」の使い過ぎで、耐性化してしまった問題をどう考え、実際の日常の処方をどうするのか、というテーマについても取り上げていただきました。
質疑は、終始、大いに盛り上がり、受講者にとっては、たくさんの成果が出たのだと思います。ぜひ、オンデマンド配信や、ＤＶＤをお求めいただき、多くの方に学んでいただきたいと思います。

■講師　山本舜悟 先生（京都大学医学部附属病院総合臨床教育・研修センター臨床研究教育・研修部　特定助教）
<略歴>
2002年京都大学医学部卒業、麻生飯塚病院で初期研修、洛和会音羽病院で総合診療科後期研修、亀田総合病院で感染症専門研修、リヴァプール熱帯医学校でDTM&H修了、京都市立病院感染症科医長、京都大学大学院DrPHコース修了。神戸大学感染症内科を経て2017年4月より現職。
 
<資格>
総合内科専門医、感染症専門医・指導医、厚生科学審議会専門委員（抗微生物薬適正使用（AMS）等に関する作業部会）
 
＜著書＞
・かぜ診療マニュアル第2版、日本医事新報社、東京、2017
・侮れない肺炎に立ち向かう31の方法、日本医事新報社、東京、2013