出血させずに血液サラサラにできるのか　その極意

■講師　長尾毅彦 先生（日本医科大学多摩永山病院脳神経内科　教授）
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【セミナー概要】
日本人の国民病ともいわれてきた脳卒中．死因としては順位を下げていますが、脳梗塞の発症はむしろ増加傾向にあります．脳梗塞の予防には抗血栓薬、いわゆる「血液サラサラの薬」の投与が欠かせません．しかしながらどんな抗血栓薬でも出血合併症が起こりますので、「諸刃の剣」であることは皆さんご存知の通りです．特に抗血栓療法内服中の頭蓋内出血は極めて予後が悪いことが知られています．
では実際に出血させずに有効な抗血栓効果は得られるのでしょうか投与量を少なめにすれば大丈夫なのでしょうか
本セミナーでは、脳梗塞に関する最新知識を包括的に勉強した後、実際に抗血栓薬を投与するにあたっての注意事項、薬剤選択のポイントなどをエビデンスと演者の経験も踏まえて、実戦的に考えてみたいと思います．
皆さま、奮ってご参加ください。講演プログラム
 
午前の部：脳卒中の最新情報とその理解
・脳卒中の疫学
・脳梗塞の病態と病型分類
・脳梗塞の最新の診断・画像情報
 
午後の部：抗血栓療法の秘訣
・抗血栓療法の分類と各薬剤の特徴
・脳梗塞病型と抗血栓療法の選択
・出血合併症回避のための症例評価
・抗血栓療法の実際

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■12月4日(日)に開催しました第399回医療技術セミナー『実地医家のための脳梗塞予防の最新知識−出血させずに血液サラサラにできるのかその極意』は盛会裏に終了しました。
講師には、日本医科大学多摩永山病院脳神経内科部長/教授長尾毅彦先生をお招きしました。昨年、女子医科大学から母校の教授で戻られ、現在引っ張りだこの先生です。会場に現れられた際の印象でも、背が高い、精悍そうなお顔で、油が乗り切った、力が漲っているお姿でした。テンションの高いお話が4時間いっぱいに続き、受講者に息もつかせぬ名講義でありました。テキストというか、スライドも450枚に及ぶ膨大な資料で、最新の研究成果やジャーナルのタイトルやアブストラクツを紹介されつつ、最新の知見についてたくさんたくさんご紹介いただきました。
講義の組立ですが、午前の講義のタイトルは『脳卒中の最新情報とその理解』ということで、１．脳卒中の疫学、２．脳梗塞の病態と病型分類、３．脳梗塞の危険因子（高血圧/心房細動/糖尿病/脂質異常症/慢性腎臓病）、４．最新の診断と画像情報、というものでした。
午後の講義のタイトルは『脳血栓療法の秘訣』というもので、
１．抗血栓療法の分類と各薬剤の特徴、２．脳梗塞の病型と抗血栓療法の選択、３．出血合併症回避のための症例評価、４．抗血栓療法の実際、ということでした。
脳卒中という疾患には、脳内出血と脳梗塞があり、「脳血管疾患」という言葉でまとめられています。もともと日本では、塩辛いものを多く摂取してきた北の国では発症率が高く、死亡原因の高位をしめてきた疾患ですが（その統計から外れる南の方の県に高知県と鹿児島県があり、長尾先生は”呑兵衛県”と表現されました）、最近では医学の進歩により死に直結しなくなった反面、その陰では命は助かったものの寝たきりに直結しやすい、まだまだ重要で身近に存在感のある疾患です。日本では、年に30万人が発症し、有病者数310万人、要介護者数185万人という状況だそうです。原因はメタボや高血圧、高脂血症、慢性腎臓病等の背景にある基礎疾患が非常に問題である、とのことです。
午前は、疫学ということで、心房細動の結果起こる血栓等による心原性脳梗塞、糖尿病や高脂血症による動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞、高血圧の進行によるラクナ梗塞等の詳細な解説から、午後には抗血栓療法と各種薬剤の詳細な解説が続き、会場では熱心な質問が時間を超えていつまでも続きました。素晴らしかった。

■講師　長尾毅彦 先生（日本医科大学多摩永山病院脳神経内科　教授）
＜略歴＞
1988年３月：日本医科大学卒業
1988年５月：日本赤十字社医療センター内科研修医
1990年５月：日本医科大学第二内科入局
1990年９月：東京都多摩老人医療センター神経内科医員
1994年３月：日本医科大学大学院卒業
1994年９月：都立荏原病院神経内科医員その後医長、総合脳卒中センター兼務
2010年９月：東京女子医科大学神経内科臨床准教授
2015年６月：日本医科大学多摩永山病院脳神経内科部長（現職）
 
＜所属学会・資格・役職＞
日本内科学会認定医
日本神経学会専門医指導医代議員
日本脳卒中学会専門医指導医評議員
日本神経治療学会評議員
日本血栓止血学会代議員編集委員
日本脳循環代謝学会評議員
WorldStrokeOrganization
InternationalSocietyonThrombosisandHaemostasis
AmericanAcademyofNeurology
EuropeanAcademyofNeurology
AmericanHeartAssociationStrokeCouncil
EuropeanStrokeOrganization
など
 
＜主な著書＞
必修脳卒中ハンドブック（最新医学社）
脳梗塞診療読本（中外医学社）
脳卒中診療のコツ（中山書店）
脳卒中診療こんなときどうするＱ＆Ａ（中外医学社）
脳血管障害治療最前線（中山書店）、など