見直されてきた高尿酸血症の臨床的意義(高尿酸血症と慢性腎臓病)
CKD(慢性腎臓病)における進行因子か 治療はどうするか
■講師 内田俊也 先生(帝京大学医学部内科学 教授)
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【セミナー概要】
慢性腎臓病(CKD)が進行すると血清尿酸値は上昇します。
これまでは腎機能低下の結果なので当然のことと考えられてきました。ですので痛風でなければ積極的に治療介入することはされてきませんでした。しかし、ここ10年でその考えは大きく変貌しました。まず、尿酸が高いと将来CKDが発症する、あるいはCKDが進行して末期腎不全に至らしめることがわかってきたのです。このような観察研究は枚挙にいとまありません。しかし、薬剤介入により無作為割り付け臨床試験が確信的な結果でなかったために、いまだCKDに伴う高尿酸血症は介入すべきとのコンセンサスは得られていません。
今回の医療技術セミナーでは、最近急速に解明されてきた高尿酸血症の新しい考え方と治療方法を示したいと思います。根拠となった基礎研究の結果も紹介いたします。
皆さま、奮ってご参加ください。午前:高尿酸血症はCKDを発症・進行させるか。
介入試験の結果であきらかになったこと。
基礎研究で明らかになってきたこと。
午後:傾向スコアによる解析でわかったこと。
CKDに合併する高尿酸血症の治療はどうするか。
腎機能低下した痛風の治療はどうするか。
セミナー要綱
セミナーNO. | 378 |
開催日 | 2016年7月31日 10:00〜15:00 |
講師 | ■内田俊也 先生(帝京大学医学部内科学 教授) |
診療科目 | 消化器科系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■7月31日(日)に開催しました第378回医療技術セミナー『見直されてきた/CKDにおける高尿酸血症の臨床的意義−CKDにおける進行因子か治療はどうするのか』は盛会裏に終了しました。
講師には、帝京大学医学部内科学(腎臓内科)/公衆衛生学教授(兼担)の内田俊也先生をお迎えしました。スキルアップのセミナーの講師は初めてでしたが、温厚でとってもにこやかな先生でした。受講者との名刺交換や対話、そして終わりの集合写真の撮影なども心のこもったものでしたが、内田先生は、昭和天皇の侍医団のお一人であったことはつとに有名なお話です。
講義の組立は、午前が、?CKDの進行機序を復習する−糸球体過剰濾過・尿蛋白・貧血、?尿酸は悪玉か善玉か、?高尿酸血症は他の危険因子と関連する−メタボリックシンドロームと関連、?高尿酸血症はCKDを発症・進行させるか。観察研究から−発症因子進行因子、?介入試験の結果であきらかとなったこと、でした。
午後の講義は、?基礎研究で明らかになってきたこと−基礎研究の困難さがネックであった、オキソニン酸モデル、?CKDの新規エンドポイントの見直しについて−従来の血清クレアチニンの2倍化、透析導入と比べて、?時間変量危険因子の解析の重要性−腎機能低下とともに関連因子は変化する、上昇する(尿酸、リン、K)、下降する(ヘモグロビン、重炭酸イオン、Na)、?傾向スコアを用いた解析でわかったこと−高尿酸血症は危険因子である!、正常リン濃度でも危険因子となる!、?CKDに合併する高尿酸血症の治療はどうするか、?腎機能低下した痛風の治療はどうするか、でした。
講義では、「高尿酸」であることは、糖尿病やCKD(慢性腎臓病)に重要な役割を果たすとともに、メタボリックシンドロームや心疾患とも相関している、と力説されました。他にも、痛風、高P(リン)による疾患にも大きな影響をもつ、という最新の研究成果について披瀝していただきました。これまで、「高尿酸」に関する研究が興味を持たれず、進展もしなかった原因は、適切な実験動物が存在しなかったことである・・・ともお話になりました。
5月29日にも、『高尿酸血症』をタイトルに、慈恵会医科大学の栗山哲先生に、解説していただきましたが、この日のポイントは、高血圧やメタボリックとの関係でありました。内田先生には、また、新しい切り口で『高尿酸血症』を取り上げていただいたことになりました。ありがとうございました。
質疑は、受講者が少なかったこともあり、内田先生の質疑を交えた、双方向の講義形式とも合い、和気藹々と進みました。
内田先生は、来年2月に痛風・核酸代謝学会の総会を主宰されること、実地医家やコ・メディカルの方々が参加しやすいプログラムを企画中であるとのことで、参加を呼び掛けられました。
■講師 内田俊也 先生(帝京大学医学部内科学 教授)
<略歴>
78年3月東京大学医学部医学科卒業
80年6月東京大学医学部第四内科入局
84年11月〜87年10月米国国立衛生研究所(NIH)留学
88年3月〜89年3月併任総理府技官(昭和天皇侍医)
91年7月公立昭和病院腎臓内科医長
95年4月帝京大学医学部第一内科講師
98年4月帝京大学医学部第一内科助教授
04年4月帝京大学医学部内科教授(腎臓内科学)
11年4月帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授(兼担)
<役職>
2011年日本アフェレシス学会評議員
2012年日本臨床栄養学会評議員
2012年日本腎臓学会理事
2013年日本腎臓リハビリテーション学会代議員
2016年日本痛風・核酸代謝学会理事