プライマリケアに必要な高尿酸血症の診断・治療のコツ
メタボをベースに、高尿酸血症を中心に、高血圧、糖尿病、脂質と最近の進歩を含めて総合的なレクチャー
■講師 栗山哲 先生(東京慈恵会医科大学客員教授(大学直属)、医療法人優穂会・三穂クリニック院長補佐)
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【セミナー概要】
本医療技術セミナーに興味を持たれる実地医家の諸先生は、日常診療で健診結果の評価に携わることも多いと思います。昨今は、高血圧、糖尿病、脂質異常症など内臓肥満をベースにした、いわゆるメタボリック症候群(メタボ)が圧倒的に多いことは自明です。メタボは、近年の飽食の時代に明らかな臨床症状もなしに緩慢に進行し、様々な脳・心・腎障害を介して重篤な心血管疾患を発症させるsilentkillerとして知られる重大な国民病です。
さて、最近のトピックはメタボにしばしば併存する高尿酸血症です。高血圧・高血糖・脂質異常などは血管障害性が明らかで、高リスクの病態を生む事は比較的容易に理解できますが、高尿酸血症に関しては、「善玉説」と「悪玉説」があり、その病態生理学的意義は必ずしも明確ではありません。最近の尿酸研究の大御所RichardJohnsonの論説によると尿酸の心血管リスクとしての役割を、innocentbystander(罪なき傍観者)からcentralplayer(リスクの主役)へと、変わりつつとあります。
本医療技術セミナーでは、これらの新たな潮流も見据えて、メタボに関する最新の考えに加え高尿酸血症の新たな概念とその診断・治療を皆さんと一緒に考えていきたいと考えます。メタボや高尿酸血症は、早期発見・早期治療が極めて重要です。特に、プライマリーケアを担うかかりつけドクターにおいては、健診結果を受けステージの軽い時期に適切に対処すべき疾患群と考えます。
皆さん、奮ってご参加下さい。
10:00−12:00
1.メタボリック症候群を再考する
2.高尿酸血症を再考する
(ア)高尿酸血症の診断
(イ)沈着症としての高尿酸血症
(ウ)心血管系リスクとしての高尿酸血症
(エ)進化論に立脚した尿酸代謝の考え方
(オ)RichardJohnsonの総説から
(カ)治療の実際
3.高血圧の診断・治療の新たな進歩
13:00−15:00
4.糖尿病の診断・治療の新たな進歩
5.脂質異常症の診断・治療の新たな進歩
6.NNT(治療必要数)とRRR(相対的リスク減少率)の解釈
7.症例呈示
8.まとめ
セミナー要綱
セミナーNO. | 367 |
開催日 | 2016年5月29日 10:00〜15:00 |
講師 | ■栗山哲 先生(東京慈恵会医科大学客員教授(大学直属)、医療法人優穂会・三穂クリニック院長補佐) |
診療科目 | 循環器科系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■5月29日(日)に開催しました第367回医療技術セミナー『プライマリケアに必要な高尿酸血症・高血圧症の診断と治療−生活習慣病の最近の知見;高尿酸血症・高血圧症に注目して』は盛会裏に終了しました。
講師には東京慈恵会医科大学腎臓高血圧学教授/東京国税局診療所・健康管理センター所長であります栗山哲先生をお迎えしました。数えてみましたら5回目のご登場です。昨年の11月、前回の「水・電解質」のテーマといい、今回の「高尿酸血症」といい、ある面、こちらからご依頼したテーマと言えて、厄介なテーマばかりですが、栗山先生には積極的にご挑戦いただきました。
栗山先生は慈恵会医科大学という舞台だけでなく、特に3年前から東京国税局診療所の所長を兼任されるようになられて、約12、000名の職員とその家族の健康に責任を持たれるようになられて、ある面限定的な研究対象を得られてから活躍の場が広がった・・・というか、「高尿酸血症」といった新たな研究テーマに取り組んでおられます。素晴らしいですね!
講義の組立は、午前中が、「高尿酸血症の診断と治療」で、?メタボリックシンドローム、?高尿酸血症善玉説・悪玉説、?高尿酸血症を治療する、でした。午後は、「関連領域における最新の話題」で、?高血圧治療を再考する、?二次性高血圧、?食塩過剰摂取は血圧を上げるだけ、?遺伝における父親のメンタル面での遺伝、というものでした。
講義では、尿酸はプリン体の代謝経路の最後で尿中に出てくるもので、歴史的には果糖と協力して人類の飢餓を乗り切ってきたといえる、もの。これまで高尿酸値は、痛風の原因としての尿酸沈着としてのとらえ方がされてきたが、今後は全身疾患病として、高血圧、糖尿病、脂質異常症と並んで(同格の)”メタボ”の指標としてとらえられなければならない・・・、とのこと。尿酸のVA値は7。朝高く、夕方に向かって低くなっていく日内リズムがあり、早朝高血圧と関連した要素ではないかと考えられている、とのこと。というわけで高血圧や虚血性心疾患、糖尿病やCKD等にも関連しており、メタボの方では、「高尿酸血症」はなんとしても治療しなければいけない疾患である、ということでした。
会場での質疑も、ネット受講者からの質問もたくさんで盛り上がりました。
■講師 栗山哲 先生(東京慈恵会医科大学客員教授(大学直属)、医療法人優穂会・三穂クリニック院長補佐)
<略歴>
78年東京慈恵会医科大学卒業
同上第二内科大学院
82年同上修了
84〜86年米国ニュージャージー医科歯科大学・高血圧研究部門留学Dr.AbrahamAvivに師事
85年東京慈恵会医科大学より医学博士受領
91年同上第二内科講師
92年東京都済生会中央病院内科医長
93年同上内科部長
99年東京慈恵会医科大学腎臓高血圧内科助教授(准教授)
07年同上客員教授
13年東京国税局診療所・健康管理センター所長
18年東京慈恵会医科大学客員教授(大学直属)
医療法人優穂会・三穂クリニック院長補佐
現在に至る
<専門領域>
腎臓病学、高血圧、糖尿病腎症・痛風・核酸代謝領域
<学会活動と業績>
内科学会、腎臓学会、高血圧学会、痛風・核酸代謝学会、J-CLEAR研究会
筆頭著者論文102編、共著82編、総説108編、共同著書30編など
<指導医・評議員>
日本内科学会認定医・指導医
日本高血圧学会特別会員(FJSH)・専門医・評議員、日本腎臓学会元専門医・指導医・法人評議員・学会誌査読委員
J-CLEAR評議員
痛風・核酸代謝学会評議員
日本透析医学会元専門医・認定医・評議員