めまいの診断から治療まで

■講師　城倉健 先生（横浜市立脳卒中・神経脊椎センター　副病院長）
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【セミナー概要】
めまいは頭痛やしびれとともに、よくわからない主訴の代表のように思われていますが、実はそうではありません．耳からくる末梢性めまいには眼振が伴うし、脳からくる中枢性めまいには、めまい以外の神経症候が伴っています．つまり大抵のめまいには、他覚的に捉えられる所見があるのです．問診以外には症状を知る由もない頭痛やしびれに対し、めまいは診察によっても症状が判断できるので、頭痛やしびれと違って実はとてもわかりやすい症状なのです．午前中のセミナーは、こうした特徴に基づいためまいの診断方法について解説します．
めまいの原因の約半分は良性発作性頭位めまい症(BPPV)です．良性発作性頭位めまい症は、専門的な器具を用いなくても、外来で「その場で直ぐ」治療することが可能です．良性発作性頭位めまい症を、初療の段階ですぐ治せるようになることは、めまい診療を行う上で不可欠です．良性発作性頭位めまい症以外の末梢性めまいや脳卒中による中枢性めまいにも、「その場で直ぐ」とまではいかないまでも、直す方法があります．午後のセミナーでは、こうしためまいの治療について解説します．
皆さま、奮ってご参加ください。午前（10:00〜12:00）
めまい以外の神経症候からのアプローチ
眼振からのアプローチ
 
午後(13:00〜15:00)
末梢性めまいの治療
中枢性めまいの治療
めまい治療に関する最新の話題

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■12月13日(日)に開催しました第341回医療技術セミナー『めまい診療を得意にしよう−めまいの診断から治療まで』は盛会裏に終了しました。
講師には、横浜市立脳卒中・神経脊椎センター附属病院副院長/神経内科部長、横浜市立大学客員教授であります城倉健先生をお招きしました。2011年1月（当時のご所属は平塚共済病院でした）にお招きして以来の約5年ぶりです。この5年で業績を上げられトップランナーのお一人になられたようです。
講義の組立は、午前が、?中枢性めまいと末梢性めまいの違い、?末梢性めまい、?中枢性めまい、?めまい鑑別のフローチャート、?フローチャートの例外と対処法、ということでした。
午後の講義は、?眼振からみためまい（末梢性めまいの眼振/中枢性めまいの特徴）、?特殊な中枢性めまい、?めまいの治療（耳石置換療法/薬物療法）、というものでした。
”めまい”という症状は、ちょっと視野を変えるとふらつく、立っていられない、あるいは寝ると天井や目がぐるぐる回るという自らの経験を思い出しますが、患者さんにとっては”めまい”は待ったなし！の症状だと思いますし、なによりも軽い症状を加えれば、案外多くの方が苦しんでおり、一方で、診る側の医師にとっては、診断や治療に難解な症状で、苦手な領域ではないか・・・と思います。たくさんの受講者においでいただきました。
講義は、冒頭、めまいの患者はどの科が診るのということと、めまいを主訴とした来院者の統計から始められました。患者さんは、めまいで日常生活に支障があり、かつ”めまい”の原因が、重い脳の病気でないかと心配して来られる・・・ことが多いようです。でも、めまい患者のほとんどは良性発作性頭位めまい症（ＢＰＰＶ）等の末梢性めまいが多いようですが、ある程度は、前庭神経炎、脳血管障害、メニエール病、偏頭痛、緊張型頭痛、低血圧、うつ状態・・・等があり、問題は、深刻な”中枢性めまい”をいち早く見分けること、なのだそうです。
講義では、その診断に重要な「神経症状」の他に「眼振」のたくさんの動画をお見せいただきまして、詳細な解説してくださいました。あと、めまいの多くの原因である良性発作性頭位めまい症の、外来のその場ですぐできる治療（耳石置換療法のいくつか）についても、お話しいただきました。
質疑も、会場でもネット受講者からも絶えず、大幅に時間を超えてしまうほどでした。

■講師　城倉健 先生（横浜市立脳卒中・神経脊椎センター　副病院長）
＜専門＞
めまい平衡医学、脳卒中医学
<略歴>
1990年に横浜市立大学医学部卒業．
横浜市立大学付属病院や松戸市立福祉医療センター東松戸病院、横浜市立大学付属市民総合医療センターなどに勤務し、臨床研究を行いつつ、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科と、動物を用いた脳幹の眼球運動中枢の神経解剖学的研究に携わる(この間に日本神経眼科学会学術賞などを受賞)．
2002年から平塚共済病院神経内科部長、2005年から同病院脳卒中センター長を兼任．
2014年4月1日から横浜市立脳卒中・神経脊椎センター副病院長、脳卒中・神経疾患センター長、神経内科部長
 
＜学会活動＞
神経内科専門医・代議員
脳卒中専門医・代議員
内科認定医・指導医
めまい平衡医学会専門会員・代議員・めまい相談医
神経眼科学会評議員・学会誌編集委員・神経眼科相談医
神経治療学会評議員
横浜市立大学客員教授
 
＜著書＞
「めまい診療シンプルアプローチ」医学書院（2013年）