消化器科系

実地医家のための本当は怖い腸閉塞と便秘の診断と治療

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■講師 西野徳之 先生(綜合南東北病院消化器センター 長)
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【セミナー概要】
今回の講義はcommondiseaseにおける腹部単純X線の有用性についてです。腹部症状を訴える患者に、とくに初診時には是非腹部単純X線を撮影して下さい。「便秘だと思う。おなかが痛い。毎日便が出ているがここ二日間は便が出ない」「4か月前から下痢が続いている。渋り腹。近くの医者にかかったがよくならない」
患者の訴えを額面通りに受け取るならば「便秘」と「下痢」ですが、それを鵜呑みにして診断的治療として下剤や止痢剤を出しますか賢明な臨床医は他に鑑別疾患として何を考え、何をすべきでしょうか
上記の症例は講義の中でご紹介致しますが、いずれも「進行結腸癌」で、腹部単純X線で診断した方です。実は「便秘」「結腸癌」「下痢」は非なるもののようで、ときに共通点がある病態です。
「便秘」は内科学会でも消化器病学会でも通常問診だけで診断されます。でも、問診だけで診断してはいけません。画像診断を用いて客観的に検証することが大切です。
裏を返すと「便秘」を自覚していない患者は「便秘」と診断されないということです。実際には腹部単純X線で宿便が多く、便の形から結腸の走行が理解できるような「鋳型便秘」(と僕は呼んでいます)の方でも、便秘と自覚していない方がいるのです。症状は腹部不快感や嘔気であったり、食思不振や早期飽満感、ときに腹痛や背部痛を訴える方もいます。患者に画像所見を供覧しながら「便秘」の可能性が高いことを説明し、処方すると便通の改善が得られ、症状も改善したということが多いのです。このような「便秘」を自覚していない方を「隠れ便秘」と僕は呼んでいます。もちろん、このような方々は内視鏡検査でも異常はありません。ですから、このような方々は「不定愁訴」「心気症」、ときに「FDFunctionaldyspepsia」と呼ばれることがあるかもしれません。腹部CTでももちろん「便秘」と診断できますが、宿便が多いことを「便秘」と診断する医師は多くありません。もちろん、表現型が「便秘」というだけで、その本態が「腸閉塞」や「結腸癌」のこともあるのです。
もちろんすべての患者にCTを撮影することはできませんし、内視鏡を受けてもらうこともできません。ですから、簡単で、費用もそれほどかからず、被爆も少ない検査として腹部単純X線は有用な検査なのです。
では、なぜ最近の臨床医が腹部単純X線を撮影しないのでしょうかその理由は、どうせ「niveau」や「freeair」ぐらいしかわからないと思い込んでいるためでしょう。しかし、腹部単純X線は意外に多くの情報を有しているのです。大切なことは如何にその情報を引き出すかということです。そのためにはもちろん経験が必要です。
そこで、今回の医療技術セミナーでは多くの症例を提示し、その読影方法をご教示致します。参加者の方々が一日で「心眼」を開眼できるようにcoaching致します。この講義を聞いていただいた方はきっと、明日からの診療に腹部単純X線を役立てていただけるはずです。
皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。■講演プログラムおよび要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断りします)
10:00-12:00『内科医が知っておくべき腹部単純X線診断』
13:00-15:00『意外と難しい腸閉塞の診断/本当は怖い便秘の診断/症例検討』

セミナー要綱

セミナーNO. 333
開催日 2015年11月1日 10:00〜15:00
講師 ■西野徳之 先生(綜合南東北病院消化器センター 長)
診療科目 消化器科系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■11月1日(日)に開催しました第333回医療技術セミナー『実地医家のための本当は怖い便秘と腸閉塞の診断と治療−腹部単純X線写真撮影と活用の薦め』は盛会裏に終了しました。
講師には、郡山市にあります財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院消化器センターセンター長西野徳之先生をお招きしました。福島県郡山市の病院で、原発事故被害の影響で医師定員9名のところ、現状4名という医師不足の状態で奮闘されており、かつ、10年前から「腹部単純X線写真撮影と活用の薦め」を声高く主張し続けておられる医師です。今回で約10回目くらいのご登場です。?スキルアップは応援し続けております。
講義の組立ですが、午前は『意外と難しい腸閉塞の診断−腹部単純X線写真撮影のススメ』というテーマのもとに、17の症例をご提示いただきながら、腹部単純X線写真で腸閉塞は診断できる!との主張と解説です。もちろん、単純な腸閉塞(イレウス)以外に、絞扼性イレウス、進行結腸癌、腸重積、癒着性イレウス、腹壁瘢痕ヘルニアの嵌頓、クーロン病、S状結腸憩室による大腸閉塞、鼠径ヘルニア回腸嵌頓等のいろいろな症例をご提示いただきました。
午後の講義は、『本当は怖い便秘の話−便秘を腹部単純X線写真で診断する』というテーマのもとに、21にもおよぶ症例をご提示いただきました。西野先生の主張は、X線写真ですべて診断しようとするのではなくて、「ここは変だな」という箇所を発見すればよい、とのお考えです。その後変な部分をきちんと検査したらよいわけです。
X線写真の読影の基本ですが、その内容はよく聞いていると写真を前に大腸の様子、つまり上向結腸から肝湾曲を経て、横行結腸、脾湾曲を経て下降結腸、S字結腸・・・と、流れをたどるのですが、特に横行結腸の線が、解剖図にあるように横にスッと伸びているわけではなくて、どなたも下の方にドデーンと下がっているようです。もちろん、時には胃や、もっと時には横隔膜を超えて心臓や肺の方まで上の方に遠足に来ているような症例もお見せいただきました。
講義の大部分は、まずX線写真を提示され、いくつかの背景説明をされた後は、受講者の方に「どう診断されますか」と聞かれますと、受講者がレーザーポインターで、大腸の線を追って行かれ、「ここの辺が変ですね!」とか言われた後、西野先生に謎解きをしていただくという手法でしたが、皆さん聞き入っておられました。
受講者の中には、つい数日前に「腸間膜動脈の破裂」という症例を経験され、「怖くなったので、この領域もきちんと勉強しようと思てっ来た・・・」とお見えになった医師もおられて、たくさん質問されておりました。
でも、2週間も便が出なくて、大腸等が破裂する・・・方って本当にあり、怖いことなんですね。気を付けないと。

■講師 西野徳之 先生(綜合南東北病院消化器センター 長)
講師略歴
87年自治医科大学卒業
87年5月−89年5月
旭川医科大学第3内科
研究生(旭川保健所勤務)
89年6月−92年5月
市立稚内病院内科―
利尻島国保中央病院内科
94年6月−96年9月
利尻島国保中央病院院長
96年10月−00年3月
新井病院―北成病院
00年4月−9月
市立根室病院内科医長
00年10月−
郡山市・総合南東北病院消化器センター内科消化器内科科長
07年4月−
消化器センター長(現職)
著書
「腹部単純?線写真の読影のしかた」
(10年、中外医学社)
認定医:日本消化器内視鏡学会認定医、日本消化器病学会認定医、認定産業医、日本消化器病学会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医。

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