■講師　上田剛士 先生（洛和会丸太町病院総合診療科　副部長）
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【セミナー概要】
高齢化社会において高齢者の診察は避けて通ることができません。高齢者では病歴が不十分となりやすいため、身体診察の役割が相対的に大きくなります。高齢者では検査に頼ると”異常所見”に振り回されやすいことも身体診察が重要となる理由です。
また、精神疾患患者においても身体診察は重要です。病歴と比較して身体診察は一般的に特異度が高いとされ、身体診察で心因性疾患が示唆されれば、器質的疾患を除外するための様々な検査が省略できる可能性があります。
このように高齢者や精神疾患患者においては身体診察が非常に重要であるにも関わらず、系統的に学ぶ機会が少ない領域かも知れません。そこで本医療技術セミナーでは高齢者と精神疾患患者における身体診察の役割を、エビデンスに基づいて解説していきます。高齢者の診療を行う機会が多い先生方や、心因性疾患/機能性疾患の診断に苦慮される事がある先生方にご参加いただければ幸いです。
皆さま、奮ってご参加下さい。
10:00-12:00高齢者の身体診察
著書『高齢者診療において身体診察を強力な武器にするためのエビデ
ンス』の内容に若干の修正を加え、気道感染症、尿路感染症、急性腹症、発熱、呼吸不全、脱水、意識障害、せん妄、頭痛、歩行障害、パーキンソン症候群、脳血管障害、骨折、失神、膠原病などについて、解説します。
 
13:00-15:00精神疾患の身体診察
精神疾患による意識障害、筋力低下、歩行障害、振戦、感覚障害、視力障害、痙攣発作、失神、めまい、呼吸困難、腹痛、体重減少、皮疹、腰痛、頸部痛の診察の仕方を解説します。

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■7月20日(月・祭)に開催しました第323回医療技術セミナー『高齢者診療と心因性疾患患者の診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』は盛会裏に終了しました。
講師には、京都の洛和会丸太町病院救急総合診療科医長上田剛士先生をお招きしました。上田先生は、エビデンスの可視化を目指しておられるようでありまして、文献検索を手法とする１つのテーマでのじっくりと研究したテーマでの講義で、『”めまい”を極める』（2013年9月）と『”浮腫”を極める』（2014年1月）にご登場いただいておりました。ちょっと間が空き、この間、執筆に取り組むんだと仰っておられましたが、恐らく、その間執筆されたのでしょう、今、『ジェネラリストのための内科診断リファレンス：エビデンスに基づく究極の診断学をめざして』(医学書院、2013年)と、『高齢者医療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』（シーニュ；2013年）が評判で大いに売れているとのことです。さらに、『身体から精神を診る−非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス』が今年中に発刊される予定である…とのことです。期待されるところです。
講義の組立ですが、午前の『高齢者において身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』では、?なぜあえて高齢者を取り上げるのか?加齢か病気か、?感染症総論、?気道感染症、?尿路感染、?急性腹症、?入院中の発熱、?肺音の聴診、?心雑音、?心不全、?ＣＯＰＤ、?脱水、?意識障害、?せん妄、?頭痛、?歩行障害、?パーキンソニズム、?脳血管障害、?骨折、?失神、21入浴中の急変、22膠原病、を取り上げられました。
また、午後からの講義では『身体から心を診る−目からうろこのエビデンス』というタイトルの下、?総論・全身外観、?心因性意識障害、?転換性障害、?筋力低下、?歩行障害、?眼瞼下垂、?運動障害疾患、?感覚障害、?視力障害、?痙攣発作、?心因性めまい、?呼吸困難、?非特異的腹痛、?体重減少、?皮疹、?腰痛、?頸部痛、を取り上げられました。要するに、各種の鑑別診断のいろいろを総合的にご提示いただいた・・・ということでしょうか。
質疑では、会場受講の方々からはたくさん出ましたが、ネット受講者からはなぜか届きませんでした。
実地医家の医師（せんせい）方にとっては、高齢者も、心因性疾患の患者さんも、案外、苦手にされておられるのではないか・・・と想像しますが、そうした医師方にとってこれらのこまごまとしたたくさんのエビデンスは有力な武器になるのではないか、と主宰子も考えます。

■講師　上田剛士 先生（洛和会丸太町病院総合診療科　副部長）
＜略歴＞
02年.名古屋大学医学部卒業
名古屋掖済会病院
04年名古屋掖済会病院救急専属医
05年京都医療センター総合内科レジデント
06年洛和会音羽病院総合診療科
12年洛和会丸太町病院救急総合診療科医長
16年同副部長
<著書>
『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』(医学書院2014年)
『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』(シーニュ2014年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断』(ケアネットDVD2015年)
『非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス』(シーニュ2015年)
『あなたも名医!夜間外来であわてない!―エビデンスに基づく診療の極意』(日本医事新報社2016年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2』(ケアネットDVD2016年)