災害医療のABCとトリアージ(緊急度判定):現場、外来から災害対応まで
救急医から見た災害医療における今後のあり方と課題
■講師 太田祥一 先生(東京医科大学救急・災害医学分野兼任教授/恵泉クリニック 理事長・院長)
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【セミナー概要】
”トリアージ”というと災害現場で特殊なチームが行う特別なこと、と考えていらっしゃるかもしれません。もともとはそうかもしれませんが、最近では日本医師会でも災害医療チーム(JMAT)が誕生していますし、災害時に各区市町村で緊急医療所が立ち上げられ、そこで医療救護班として医師会の先生方がリーダーとなってトリアージ等の救護活動を行うことになっています。つまりとても身近になってきていると思います。また、総務省消防庁は社会で共有するトリアージ(緊急度判定)という概念を検討しています(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h23/shakai_triage_arikata/houkokusyo/houkokusyo.pdf、以下図)。
これは緊急性の高い傷病者に優先的に医療資源を投入するための具体的方策の1つで、これにより救急要請前の電話によるトリアージ(#7119)や救急外来でのトリアージ(JTAS:JapaneseTriageandAcuityScale)が行われるようになり、後者は保険収載されています。これらはいずれも一連の救急医療のなかで行われることですので同じ考えに基づいて策定されています。
本医療技術セミナーではトリアージ全般とそのもととなる考え方をご理解いただき、それを共通言語として日常臨床に活用していただくとともに、災害時のトリアージについても一次トリアージ(スタート法)だけでなく、外傷初期診療のガイドラインに基づいた二次トリアージ(PAT法)についても触れたいと思います。
奮ってご参加ください。
10:00-12:00
・ABCDEアプローチ
・電話トリアージ(#7119)
・救急外来トリアージ(JTAS)
・外傷初期診療ガイドライン
13:00-15:00
・災害時のトリアージ
・一次トリアージ(スタート法)
・二次トリアージ(PAT法)
セミナー要綱
セミナーNO. | 293 |
開催日 | 2015年3月29日 10:00〜15:00 |
講師 | ■太田祥一 先生(東京医科大学救急・災害医学分野兼任教授/恵泉クリニック 理事長・院長) |
診療科目 | |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■3月29日(日)に開催しました第293回医療技術セミナー『災害医療のABCとトリアージ(緊急度判定);現場、外来から災害対応まで−救急・災害医から見た災害医療における今後の在り方と課題』は盛会裏に終了しました。
講師には、東京医科大学救急・災害医学、地域医療指導兼任教授、医療法人社団親樹会恵泉クリニック理事長・院長であります大田祥一先生をお招きしました。太田先生には、前週の『高齢者の救急医療』に引き続いての登板です。なお、恵泉クリニックは”在宅医療”を中心としたクリニックだそうです。
近くは、東日本大震災や中越地震、広島の大豪雨による土石流災害等、異常気象により災害は後を絶ちませんが、それに加えていつ起きるとも分からない、いや今日起きても不思議ではないといわれる東海地震や首都直下型地震で、医療従事者として、中でも医師は、地域の医師会で編成されるJMAT(JapanMedicalAssosiationTeam;’95年の阪神淡路大震災から検討が始まって組織が進でいるという)に組織・参加され、医療面のリーダーとして、大混乱の中でも敢然と働いていただきたいとの主宰子の希望から、以前から是非とも開催したいテーマのセミナーであり、これまでは中越地震の救護所での「エコノミー症候群」については新潟大学の榛沢和彦先生に何回かお願いしてきましたが、加えて今回の太田祥一先生との出会いにより、”災害医療の中核部分”について実現したことをうれしく思います。
講義の組立は、午前が、?標準的救急対応(ABCDEアプローチ)、?トリアージ(電話、救急隊、救急外来)、?外傷初期対応、であり、午後は、?災害医学・医療概論、?トリアージケーススタディ、でした。
講義の中での圧巻は、?災害医学・医療概論でした。「災害医療は日常の救急医療とどう違うのか」「災害医療の特殊性」「災害医療の6R」「災害対策基本法と災害医療体制」「災害医療コーディネーター」等の解説に続き、特に大事だと思われる「CSCATTT」について詳しい解説がありました。災害現場の医療救護所のの医療チームの責任者になったと想定しての必要な知識ですが、情報伝達、安全、災害時に伝えるべき情報METHANEreportの項目・内容、救護所の状況評価、3つのTは、Triage評価、Treatment治療、Transport搬送であり、これまで大災害の折にテレビで伝えられていた状況を想定しながらお聞きしました。特に、そこでの医療は、個人が対象でなく、多くの患者・負傷者が対象であり、最大多数の最大幸福であり、そこでどういう考え方と視点で医療にあたるか・・・厳しいモノであり、考えさせられましたが、恐らく、災害医療の現場ではそうせざるを得ないことばかりだったのではないでしょうか日常の診療とは根本的に違うと思いました。
ある受講者は、これまで地域の医師会の説明会に参加してきたが、個別のことは理解できても、全体の体系だったことがよく分かっていなかった。また、診療の仕方が一人一人ではなくなり、患者全体を見て、自分で歩けるグループ等を除外していく・・・トリアージの考え方が、今日の講義で、よく理解できた・・・と思う、と嬉しそうに帰途に着かれました。
こうした知識や技術の一層の普及を今後も目指したいと思います。
■講師 太田祥一 先生(東京医科大学救急・災害医学分野兼任教授/恵泉クリニック 理事長・院長)
<略歴>
1960年生まれ
1988年東京医科大学卒業後、東京医科大学病院救命救急部、杏林大学医学部付属病院救急医学教室、東京医科大学救急医学講座、東京医科大学霞ヶ浦病院救急医療部、東京医科大学八王子医療センター救命救急センター長、東京医科大学救急医学講座教授を経て、2013年医療法人社団親樹会恵泉クリニック理事長・院長、東京医科大学救急医学講座(2014年4月救急・災害医学分野に名称変更)兼任教授、2014年東京医科大学地域医療指導教授、現在に至る。
<所属学会他>
日本救急医学会:評議員、指導医、専門医、広報委員会委員長、ER検討委員会委員長、学生・研修医部会設置運用特別委員会委員長、救急部門のあり方委員会委員
日本臨床救急医学会:理事、評議員
日本内科学会:認定内科医、総合内科専門医、救急委員会委員
日本集中治療医学会:専門医
日本プライマリ・ケア連合学会:認定医
日本消化器内視鏡学会:専門医
日本外傷学会:評議員、専門医
日本抗加齢医学会:専門医
日本蘇生学会:指導医
日本集団災害医学会:評議員
日本医師会:認定産業医、健康スポーツ医
日本体育協会:公認スポーツドクター
日本メディカルスキルアップは対面形式のセミナー(会場受講)を重視し、2009年4月より計800回以上医療技術セミナーを開催してまいりました。製薬企業とは無縁の独立系セミナーで、臨床現場、専門領域の第一線で活躍する講師の質と圧倒的な学習時間で医療業界に貢献してまいります。医療セミナーDVD・テキストの他、さまざまなジャンルのセミナーを開催しております。