糖質制限、今はじめなかったらやばいです

■講師　山田悟 先生（北里研究所病院糖尿病センター　センター長）
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【セミナー概要】
かつて、糖質制限食には批判の意見がありました。しかし、昨今の無作為比較試験はすべからく糖質制限食の血糖、体重、脂質、血圧に対する有効性を示しており、かつての批判の意見の根拠とされた観察研究についても東アジア人のデータはすべからく糖質摂取の少なさとアウトカム（医学的利益）との関連を示しています。
本医療技術セミナーでは、糖尿病の現状と糖尿病患者さんの全般的な診療の仕方をお伝えしたうえで、食事療法としての糖質制限の有効性とその根拠、簡便な糖質制限食の指導法についてお伝えします。これから糖尿病患者さんの診療をしたいと考えている実地医家の先生方にぜひお聞きいただきたく思います。
皆さま、奮ってご参加ください！
10:00-12:00『糖尿病の現状と糖尿病患者の診療法』
・糖尿病の疫学的データ
・糖尿病の診断基準
・糖尿病の合併症
・糖尿病の治療法
・糖尿病患者の診療における心構え
 
13:00-15:00『糖質制限食の有効性』
・糖質制限食の必要性
・現在推奨される三大栄養素比率の問題点
・糖質制限食の医学的根拠
・糖質制限食の簡便な指導法
・糖質制限食で広がる未来

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■11月30日(日)に開催しました第284回医療技術セミナー『糖質制限による糖尿病をはじめとした代謝性疾患の治療−糖質制限、今はじめなかったらやばいです』は盛会裏に終了しました。
講師には、北里研究所附属病院糖尿病センターセンター長(部長)の山田悟先生をお招きしました。今年の5月に、設立5周年記念企画として、夏井睦先生に、”糖質制限”について、ご自分の体験を交えてお話をいただき、大好評でしたが、「糖質制限についてきちんとしたお話をしていただくのなら北里研究所の山田先生に！」というご推薦があり、今回の企画となったものです。山田先生は、現在の『糖質制限』ブームを巻き起こされている方のお一人というべきでしょう。
講義の組立としては、前半が「糖質制限食のエビデンス」、後半が「糖質制限食の指導法と内容」でした。具体的には、午前が、?糖質制限に百利があります、?糖質制限が悪く言われた理由とは、?私たちが抱えるべき課題とは、であり、?の組立は、1)幽霊の正体見たり枯れ尾花、2)脂質を食べると動脈硬化仮説、3)たんぱくを食べると腎臓悪化仮説、4)たんぱくが不足して筋肉減少仮説、5)極端な制限だと問題あるので全部だめ、でした。で、結論めいたまとめとしては、1)糖質制限に百利があります（→エビデンスはそろっています）、2)糖質制限が悪く言われた理由とは（→仮説から検証される問題は何もありませんでした）、3)私たちが抱えるべき課題とは（→?仮説を検証するという姿勢です、?患者さん中心主義という姿勢です、?“絵に描いたきれいな餅”を食べろではなく、 “焦げがあっても餅”をともに探す姿勢です）ということでした。
次に、午後では、?糖質制限の百利は糖尿病だけではない、?栄養成分表示について、?糖質制限食の組み立て方、?糖質制限食の楽しみ方、で、特に?の内容が楽しくてとっても豊富な内容でした。ちなみに1)難しく考えなくて大丈夫！、2)どんな調理法でも大丈夫！、3)大好物が一工夫でヘルシーに！、4)外食も一工夫でヘルシーに！、5)お酒も楽しめます！、という興味深いものでした。
日本では、2000万人以上に血糖異常者がおられるとのことでしたが、これまでの盲目的な、あるいは、治療ガイドラインや食品交換表の真髄がおざなりになった治療は間違っており、早急に正されないといけないと痛感したところです。
あと、素晴らしいのは、六本木ボタニカ等をはじめとする糖質制限を実践してくださるレストランや、ローソンをはじめとするコンビニエンスさんも、食品表示、たとえば、エネルギーと炭水化物と糖類の概念が整理させ、食物にきちんとした表示がなされるような動きが広がっていることもすごいことだと実感しました。
主宰者としても極端な糖質制限の主張だったら困るなあ・・・と思っておりましたが、とんでもない、しごく常識的な、かつ理に叶ったお話で、納得がいきました。患者さんに手に取れる指導法も素晴らしかったです。何とか世に広まって欲しいと、願っております。
受講には管理栄養士さんをはじめコ・メディカルの方々が数人おいででしたが、皆さん、目からうろこが何枚も落ちたような、絵顔を残して帰って行かれました。

■講師　山田悟 先生（北里研究所病院糖尿病センター　センター長）
＜略歴＞
94年慶應義塾大學醫學部卒業
慶應義塾大學内科入局
96年慶應義塾大學内科研修医修了
東京都済生会中央病院内科・救急部
97年東京都国保南多摩病院
98年慶應義塾大學内科内分泌代謝00年東京都済生会中央病院
01年慶應義塾大學内科腎臓内分泌代謝科
02年北里研究所病院
04年北里研究所病院総合内科医長
07年北里研究所病院腎臓内分泌代謝科副部長
北里研究所病院糖尿病センター長（副部長）
11年北里研究所病院糖尿病センター長（部長）
13年食・楽・健康協会設立(代表理事）
 
<著作>
幻冬舎「糖質制限の真実」
幻冬舎「ロカボで食べるとやせていく」
幻冬舎「ロカボバイブル」
主婦と生活社「北里研究所病院Dr.山田流糖質制限料理教室レシピ」