『最新 外傷の湿潤治療』 (“スキルアップ”創立5周年記念セミナー1)
痛くなく,速くきれいに傷を治そう
■講師 夏井睦 先生(練馬光が丘病院傷の治療センター センター長)
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【セミナー概要】
日本における創傷治療のやり方を根底から変えた”湿潤療法”−提唱し始めて約15年、日本の創傷治療を根底から変え、ますます磨きがかかる“湿潤療法”−
従来、傷の治療といえば消毒してガーゼを当てることが常識とされ、それが一般家庭でも病院でも行われてきた。しかし、創傷治癒のメカニズムからすればこれは全く間違っている。
創面では欠損した組織の細胞の増殖で組織修復が得られるが、細胞培養と同じメカニズムである。培養液がなければ培養細胞が死滅するように、創面を乾かせば創修復のために必要な細胞も死滅する。また、創面からは細胞の増殖に最適のサイトカインを豊富に含んだ浸出液が分泌されており、創面を被覆材で覆えば、創は自動的に湿潤になり早期の治癒が得られる。一方、消毒薬は蛋白質変性作用で殺菌するが、消毒薬には人体由来の蛋白質と細菌由来の蛋白質の区別がつかず、どちらも変性させるが、人体細胞と細菌では細胞壁に守られている細菌の方が消毒薬に強い抵抗力を持っている。このため、創面を消毒しても細菌は死なず、創傷治癒に必要な人体細胞のみ選択的に死ぬことになる。
このような原理から、擦過創から熱傷、深い組織欠損創にいたる様々な外傷の最新の治療法を詳しく説明する。
皆さん、奮ってご参加下さい。
■講演プログラム・要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断り申し上げます)
10:00-12:30創傷治癒の基礎、様々な外傷の最新の治療
●どのようにして傷は治るのか
●湿潤治療の原理
●創傷被覆材、その他の治療材料
●具体的な治療法
◇擦過創、挫創◇熱傷◇縫合しない裂創の治療
◇指尖部損傷
◇広範皮膚軟部組織欠損◇乾燥肌、アトピー、
手荒れの治療
この日、午後13時から14時30分まで、同会場にて、夏井睦先生によります出版記念セミナー「糖質制限による生活習慣病の治療(体験を中心に)」を開催します。受講料は、3、000円です(午前のこのセミナーに出席された方の受講料は1、000円です(昼食をご用意しますので、できるだけ事前にご登録下さい)
セミナー要綱
セミナーNO. | 258 |
開催日 | 2014年5月18日 10:00〜12:30 |
講師 | ■夏井睦 先生(練馬光が丘病院傷の治療センター センター長) |
診療科目 | |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■5月18日(日)午前に開催しました第258回医療技術セミナー『外傷・熱傷の湿潤療法−痛くなく速くきれいに傷を治そう』は盛会裏に終了しました。このセミナーは、スキルアップの創立5周年記念セミナー1として開催させていただきました。
講師には、練馬光が丘病院傷の治療センターセンター長の夏井睦先生をお招きしました。夏井先生は、日本における創傷治療の考え方・方法を根底から変えられた方であり、文化功労者とも言える方であります。夏井先生は、約15年ほど前から「湿潤療法」を提唱され、いまや外科領域の医療現場にはほとんど普及し、ますます磨きがかかる理論と手法です。夏井先生のご登場は、2010年1月以来、4年ぶりでした。
講義の組立は、?湿潤治療とは、?創面は乾かしてはいけない、?
創傷被覆材について、?創感染とは何か、なぜ傷は化膿するのか、?消毒薬について、?皮膚と皮膚常在菌−常在菌が宿主の健康を守っている!、?皮膚の傷と細菌の関係−環境が生物を選択する、でした。テキストも講義もいつの間にかすっかり洗練され、よくまとめられておりましたが、講義の一等最初に出された小児の顔面の傷の治療のbiforeとafterの写真を見せられ、”オーッ”という歓声を求められるなど、ユーモアと笑いに満ち満ちた楽しい講義は相変わらずでした。
ただし、この理論がいろんな現場に普及していく過程で、手法や保護材料の使い方等、具体的で実際のやり方での考え方や問題点等、少し高度化した疑問や問題意識が出てきている域に来ているように感じました。
会場には医師以外にも、歯医者さん、看護師さん、管理栄養士さん、そして一般の方も参加されており、質疑でも、”湿潤療法”が大きな視野では普及していく中で、旧来のやり方に関するコダワリや残渣があり、転換がうまくいかない・・・というより、具体的なやり方がまだ浸透していないのか、あるいは途中なのか、各現場からの細かなやり方の質問等が続くとともに、ネット受講者からもたくさんの質問が寄せられました。日頃、内科的なテーマのセミナーが多いからなのか、こうした外科的な領域のテーマも、まだまだ課題が多いのだと考えさせられました。
珍しくたくさんの受講者をお迎えし、お陰さまで、創立5周年の企画にふさわしい、素晴らしいセミナーとなりました。
■講師 夏井睦 先生(練馬光が丘病院傷の治療センター センター長)
専門:形成外科
<略暦>1957年秋田県生まれ/1984年東北大学医学部卒業/1992年日本形成外科学会認定医/2001年10月1日インターネット・サイト「新しい創傷治療」を開設/2012年4月練馬光が丘病院傷の治療センターセンター長として赴任
<著書リスト>
【これからの創傷治療】(医学書院):2003年7月
【創傷治療の常識非常識】(三輪書店):2003年12月
【創傷治療の常識非常識2−熱傷と創感染−】(三輪書店):2006年1月
【ドクター夏井の外傷治療「裏」マニュアルすぐに役立つHints&Tips】(三輪書店、2007年5月)
【ドクター夏井の熱傷治療裏マニュアル】(三輪書店、2011年3月)
【傷はぜったい消毒してはいけない】(光文社新書、2009年6月)
【炭水化物が人類を滅ぼす糖質制限からみた生命の科学】(光文社新書、2013年10月)
日本メディカルスキルアップは対面形式のセミナー(会場受講)を重視し、2009年4月より計800回以上医療技術セミナーを開催してまいりました。製薬企業とは無縁の独立系セミナーで、臨床現場、専門領域の第一線で活躍する講師の質と圧倒的な学習時間で医療業界に貢献してまいります。医療セミナーDVD・テキストの他、さまざまなジャンルのセミナーを開催しております。