■講師　渡辺晋一 先生（帝京大学 名誉 教授）
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【セミナー概要】
皮膚真菌症は皮膚科新患患者の12％以上を占める頻度の高い疾患で、そのうち足・爪白癬の頻度は高く、足に生ずる白癬は皮膚科新患患者の1割を占める。実際JapanFootWeekという疫学調査では、我が国には爪白癬は10人に１人、足白癬は5人に１人存在すると推定されている。このように足・爪白癬は頻度が高い疾患でありながら、誤診されていることが多く、最近は大学病院の皮膚科でも誤診例がみられる。
そこで、今回の医療技術セミナーでは、皮膚真菌症の基礎から足白癬、爪白癬の診断と治療のコツをすべてお話する。また水虫に関して、様々な都市伝説が流布しているが、その真偽のほどを科学的根拠に基づいて解説する。このセミナーに参加することにより患者さんから発せられる様々な質問・疑問に的確に答えることができるようになると思われる。
皆さま、奮ってご参加下さい
講演プログラム
10:00皮膚真菌症の概説
・皮膚真菌症とは（ 白癬／カンジダ／癜風）
・発症メカニズム
・足・爪白癬以外の皮膚真菌症を誤診しないコツ
11:00足白癬
・診断 検査材料の採取部位／直接鏡検の読み方
・治療 外用薬の使い方／浸軟部位の治療法／
接触皮膚炎を起こした場合の対処方
 感染症を合併している場合の対処方
12:00休憩
13:00爪白癬
・爪白癬の分類
・爪白癬と紛らわしい爪病変
・診断 検査材料の採取部位／直接鏡検の読み方
・治療 経口抗真菌薬の使い方（イトリゾール／ラミシール）
今年認可される新規外用抗真菌薬レーザー治療
14：00足・爪白癬に関する都市伝説
・水虫の治療はいつまで行えば良いか
・足は洗った方がよいか
・洗濯物は別にした方がよいか
・どのような経路で水虫はうつるのか
・水虫の予防法は
・女性は水虫にかかりにくいのか
・何が水虫発症に関与するのか
・その他の都市伝説
15：00終了
 

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■5月11日（日）に開催しました第257回医療技術セミナー『プライマリケアのための誰も教えてくれない爪白癬と足白癬の診断と治療』は盛会裏に終了しました。
講師には、帝京大学医学部皮膚科学教授渡辺晋一先生をお招きしました。一般的な皮膚科に加えて美容領域やレーザー治療等のカバーがおできになる斯界の第一人者です。
講義の組立としては、午前が、?皮膚真菌症の概説と?皮膚糸状菌症、?カンジダ症、?マラセチア属真菌感染症、?スポロトリコーシス、?足白癬の診断と治療。午後は、?爪白癬の診断と治療、?難治性爪疾患の要因、特に薬物療法の詳細と薬物選択に関する考え方、?白癬菌は内臓を侵すかを始めとするいくたの都市伝説を解明する、?爪白癬の発症要因、でした。また、テキストは、多くの症例写真（もちろんすべてがカラー写真）がたくさん掲載された210頁にも及ぶ充実したものが配布されました。午後の、爪白癬の治療の箇所で、テルビナフィンとイトラコナゾール（イトリゾールR）、ラシミールの使用法、併用禁忌薬、併用注意薬、ゼネリック薬についての評価、等につき詳細な解説が行われました。
圧巻だったのは、いくたの都市伝説の項です。具体的には、先の「白癬菌は内臓を侵すか」「水虫で死亡することはあるか」「自称水虫患者は本当に水虫か」「足を洗うことは、消毒は水虫の予防に役立つか」「日本には水虫患者はどのくらいいるのか」「糖尿病の患者は本当に水虫になりやすいのか」「薬剤耐性皮膚糸状菌は存在するのか」「水虫は痒いのか」「水虫は自然に治るのか」「水虫は本当に治るのか」と、日常疑問に感ずるテーマ、題材について明快にお答えいただきました。
あと、近年、柔道やレスリング等の”相手に体や頭を擦り付けて戦う格闘技”の領域で、海外遠征時の試合等で試合相手の外国人からもらってくるTonsurannsという疾患があり、それらが日本の大学等の柔道部やレスリング部で集団発生している事情があり、注意の喚起が行われました。
特に気になるのは、真菌症、足白癬、爪白癬の患者数です。主宰者も夏になると気になりだしますが、日本では銭湯やサウナ、家庭でも風呂場の足ふきマット等から感染する危険はいっぱいなのだそうです。また感染していることを意識しない潜在的な患者がたくさん居られ、それらへの特別の対策が必要である、とのこと。
質疑でも、医師のバイオハザード対策としての、疾患部の扱い方、検査の仕方、検鏡の取り方、薬物療法等について質問がたくさん出て、時間を大幅に超過してしまいました。

■講師　渡辺晋一 先生（帝京大学 名誉 教授）
＜専門＞
医真菌学、レーザー医学、皮膚の組織病理学、
化学療法、アトピー性皮膚炎
 

＜略歴＞
78年東京大学医学部医学科卒業
東京大学医学部皮膚科研修医
79年東京大学医学部文部教官助手
83年東京大学医学部皮膚科医局長
84年三楽病院皮膚科部長
85年米国ハーバード医科大学マサチューセッ
ツ総合病院皮膚科researchfellow
88年帝京大学医学部皮膚科助教授
94年帝京大学医学部皮膚科教授
98年帝京帝京大学医学部皮膚科主任教授
17年帝京大学名誉教授