■講師　池澤優子 先生（茅ヶ崎市立病院皮膚科 部長）
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【セミナー概要】
接触皮膚炎は、原因となるアレルゲンが直接接触した部位の皮膚におこる局所的なアレルギー反応（湿疹反応）であり、古くからは“うるしかぶれ”など植物によるもの、近年では染料や化粧品、薬剤に至るまで様々な原因がみられます。また、接触皮膚炎を誘因として、あるいは重症化することで全身性に皮疹が拡大し、いわゆる接触皮膚炎症候群や全身性接触皮膚炎といった病態を形成し、これらは、薬疹やアトピー性皮膚炎、難治性の痒疹などと鑑別が難しいこともしばしばで、皆さまの日常診療で接触する可能性も十分にあります。
本医療技術セミナーでは、これらの接触皮膚炎の病態を解説するとともに、具体的な臨床写真をお示しし、診断、原因確定に至った過程を含めてお話ししたいと思います。皆さまの日々の診療のお役に立てていただければと考えておりますので、奮ってご参加ください。
 
なお、当日の午前に開催します「骨粗しょう症」にも出席される方には昼食（お弁当）をご用意しますので、準備の都合上、早めにお申し込みください。■講演プログラムおよび概要（受講者各位の録画録音は固くお断り申し上げます）
13;00−1５:00
 
１接触皮膚炎症候群と全身性接触皮膚炎の病態
2接触皮膚炎症候群の具体例
3全身性接触皮膚炎の具体例
4特殊な接触皮膚炎症候群・全身性接触皮膚炎（全身型金属アレルギーを含む）の症例呈示

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■2月2日（日）午後に開催しました第245回医療技術セミナー「日常診療で遭遇する接触皮膚炎症候群と全身性接触皮膚炎の診断と治療」は盛会裏に終了しました。
講師には茅ヶ崎市立病院皮膚科部長池澤優子先生をお招きしました。今回のセミナーは、同テーマで医学情報誌に池澤先生が報文を掲載されていたのを、受講者が見つけてこられて、実現したものです。落ち着いた冷静な講義でした。
講義の組立は、１．接触皮膚炎とは（診断、治療、原因）、２．接触皮膚炎症候群と全身性接触皮膚炎の病態と発症機序、３．薬剤による接触皮膚炎症候群・全身性接触皮膚炎、４．職業性接触皮膚炎症候群・全身性接触皮膚炎、５．アトピー性皮膚炎(湿疹皮膚炎群）とまちがえやすい接触皮膚炎、というものでした。
接触皮膚炎の原因として池澤先生は、植物（うるし、銀杏、キク、ハゼ、サクラソウ）、食品（マンゴー、カシューナッツ）、医薬品（抗真菌薬・抗生剤含有軟膏：クロロマイセチン、フラジオマイシンなど、湿布：モーラステープ、点眼薬（塩化ベンザルコニウムなど）、金属（水銀、ニッケル、コバルト、クロム）、衣類（染料、絹）、手袋（ゴム・塩化ビニル）、化粧品（パラベンなど）、毛染め・パーマ液（パラフェニレンジアミンなど）を挙げられました。そして鑑別法（全身に掻痒をともなう皮疹として?中毒疹、?蕁麻疹、?薬疹、?自家感作性皮膚炎、?紅皮症、?皮脂欠乏性皮膚炎、?アトピー性皮膚炎、?乾癬、を挙げられました；急性から慢性の順です）、治療と対策として原因アレルゲンを精査し、再発を予防することが重要で、検査法（問診、原因物質の検索：パッチテストやプリックテスト）を示され、原因不明な時は「ジャパニーズスタンダードアレルゲン2008」と対照するようにと。接触皮膚炎と全身性皮膚炎の違いと見分け方や、各々の原因となる医薬品をまとめたリスト。抗菌薬、抗真菌薬、nSAIDsの外用薬・貼付薬、局所麻酔薬、その他の鎭痒外用薬の解説をしていただきました。痔疾薬に多いんですね。またアレルゲンは社会の発展とともに新たに増え続けて行ってるそうです。
深刻なのは、外科医や歯科医さんのゴム手袋を始めとして、美容師さんやネイリストさんの美容液等、職業とからんだ接触皮膚炎が多数存在することですね。どうすればいいのか質疑も集中しましたが、解決策はむつかしそうです。あとは、女性に多く見られる、皮膚をこすりすぎてのバリアー破壊の指摘。清潔にしすぎて逆に皮膚炎を起こしている・・・という結果にも陥っているんですね。
質問が時間が過ぎても止まりませんでした。

■講師　池澤優子 先生（茅ヶ崎市立病院皮膚科 部長）
＜専門医＞
皮膚科学会専門医、
アレルギー専門医
 
＜略歴＞
99年順天堂大学医学部卒業
横浜市立大学研修医
01年横浜市立大学皮膚科入局
05年横浜市立大学医学部大学院修了/横浜市立市民病院皮膚科
07年横浜市立大学皮膚科助教
09年横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科助教
11年茅ヶ崎市立病院皮膚科部長