内科医から診た”浮腫”の診断学

■講師　上田剛士 先生（洛和会丸太町病院総合診療科　副部長）
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【セミナー概要】
「浮腫」は一般外来で頻繁に遭遇する症候でありますが、鑑別疾患が多岐にわたることから系統的に学ぶ機会が乏しい症候でもあります。
今回の医療技術セミナーでは、心疾患、腎疾患、肝疾患、甲状腺疾患、薬剤、深部静脈血栓、静脈不全、リンパ浮腫といった頻度の高い疾患を鑑別する簡単な手順について解説します。また研修医の先生のみならずベテランの実地医家の先生方にも有意義な企画となるように、500件近い文献を参考に、頻度の高い疾患のみならず、稀であるが注目に値する疾患まで幅広くご紹介する予定です。また病的意義は乏しいけれど遭遇頻度が高い「女性のむくみ」、「高齢者のdependentedema」に関しても対処方法を含め深く掘り下げて解説致します。
浮腫の診療に携わる多くの先生方のご参加をお待ちしています。奮ってご参加ください。
10:00-12:00浮腫の分類・鑑別手順
圧痕性・非圧痕性、局所性・全身性、急性・慢性、機序による浮腫の分類と鑑別手順の例/慢性片側下肢浮腫の二大原因である静脈不全とリンパ浮腫の診断/急性片側下肢浮腫を来す深部静脈血栓と鑑別を要する疾患（DVTmimic）/全身性浮腫の一般的な鑑別についてエビデンスに基づいて解説
 
13:00-15:00遭遇頻度が高い浮腫/稀であるが注目に値する浮腫
病的とは言い切れない浮腫である脂肪浮腫、月経前症候群、妊娠に伴う浮腫、特発性浮腫、職業性浮腫、就下性浮腫など/浮腫に対する運動療法や弾性ストッキングのエビデンス/全身性浮腫を来す稀な疾患において、注目に値するもの

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■1月13日(日)に開催しました第237回医療技術セミナー「浮腫を極める−内科医から診た”浮腫”の診断学」は盛会裏に終了しました。
講師は、京都・洛和会丸太町病院救急・総合診療科医長上田剛士先生にお願いしました。上田先生は、昨年9月23日にセミナー”めまい”をお願いして以来の2回目です。”めまい”も大好評でしたが、今回もまたたくさんの受講者をお迎えすることができました。
講義の組立は、午前が、１．浮腫へのアプローチ総論（?浮腫の分類方法、?慢性片側下肢浮腫（静脈不全とリンパ浮腫）、?全身性浮腫の一般的な鑑別、２．症例集：深部静脈血栓と鑑別を要する疾患（DVTmimic）、午後が、３．“非病的”な浮腫（?脂肪浮腫、月経前症候群、妊娠に伴う浮腫、特発性浮腫、職業性浮腫、就下性浮腫、?浮腫に対する運動療法や弾性ストッキング着用のエビデンス）、４．症例集：全身性浮腫を来す稀な疾患において、注目に値するもの、でありました。
浮腫は、一般には”むくみ”と言われているかと思いますが、浮腫によっても、慢性か急性か、全身性か局所性か、押すと減っ込むかどうか、リンパ性か血管性か、その機序は・・・・、と突っ込んだ解説が続きました。他に、女性特有のものがタ・ク・サ・ン、あるんですね。あと、下肢に影響が出て歩くのに障害が出る事例。他に、浮腫は柔らかいものと思っておりましたら、リンパ性の浮腫には、結節（イボイボ）が出てきて、固くなる・・・ということもある、との症例写真もお見せいただきました。他には、血管炎と似たような、血管内やリンパ管内にも浮腫ができ、全身に影響が出て、結局、”命取り”にもなりかねない事例も紹介されました。
一般に、むくみの解決には、寝るときに脚を体の高さより上にしなさい・・・と聞きますが、時と場合によっては、脚上げ、要するにキックですが、これらも効果があることを言仰っておられました。
上田先生は、前回、質問が多くて、結局時間を大きくオーバーされたことを覚えておられ、今回は各コマとも、30分を残して講義をきっちり終えられたのですが、質問は途切れることなく、会場からもネットからも続きました。

■講師　上田剛士 先生（洛和会丸太町病院総合診療科　副部長）
＜略歴＞
02年.名古屋大学医学部卒業
名古屋掖済会病院
04年名古屋掖済会病院救急専属医
05年京都医療センター総合内科レジデント
06年洛和会音羽病院総合診療科
12年洛和会丸太町病院救急総合診療科医長
16年同副部長
<著書>
『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』(医学書院2014年)
『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』(シーニュ2014年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断』(ケアネットDVD2015年)
『非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス』(シーニュ2015年)
『あなたも名医!夜間外来であわてない!―エビデンスに基づく診療の極意』(日本医事新報社2016年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2』(ケアネットDVD2016年)