”めまい”を極める
内科医から診た“めまい”の診断学
■講師 上田剛士 先生(洛和会丸太町病院総合診療科 副部長)
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【セミナー概要】
「めまい」は一般外来で頻繁に遭遇する症候でありますが、ここ5年間ほどで診断学が大きく進歩した領域でもあります。例えば良性発作性頭位性めまい症(BPPV)の診療に対してある程度標準化された眼振誘発と浮遊耳石置換法の実施は不可欠となってきています。また持続的眼振を呈する前庭神経炎と脳梗塞の鑑別が、Headimpulse試験を初めとする簡単な手技で可能なことが分かってきました。
今回の医療技術セミナーでは研修医の先生のみならずベテランの実地医家の先生方にとっても有意義な企画となるように、特別な器具を一切使用せずに「めまい」を系統的に分類・診断する方法を、最新エビデンスを集約して解説いたします。
一般外来・救急外来でめまい診療に携わる多くの先生方のご参加をお待ちしています。奮ってご参加ください。
10:00-12:00非前庭性めまい・BPPVについて
めまい」の臨床的な大きなカテゴリー分類について簡単に説明しま
す。その後、実際の症例を元にめまいの診断を学んでいきます。BPPVについては数多くの眼振誘発法・浮遊耳石置換法が知られていますが、これらの手技を実演すると共にいずれを行うべきかエビデンスに基づき解説します。またBPPVと誤診されうる”中枢性疾患による頭位性めまい症””一過性脳虚血発作による回転性めまい”の特徴について学ぶことで知識をさらに深くします。
13:00-15:00急性前庭症候群・その他の稀だが重要なめまい
急性前庭症候群(持続的な眼振を伴うめまい)の症例を紹介し、前庭神経炎と脳幹・小脳梗塞との鑑別方法について学びます。また近年新たな診断基準も提案されている”Vestibularmigraine”や特徴的なめまい発作である”Tumarkinfall”について解説します。
セミナー要綱
セミナーNO. | 221 |
開催日 | 2013年9月23日 10:00〜15:00 |
講師 | ■上田剛士 先生(洛和会丸太町病院総合診療科 副部長) |
診療科目 | 総合診療系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■9月23日(月・祭)に開催しました第221回医療技術セミナー「めまいを極める−内科医から診ためまいの診断学」は盛会裏に終了しました。
講師には、京都の洛和会丸太町病院救急・総合診療科の医長、上田剛士先生をお迎えしました。推薦者は広島市のネット会員の方で、「とにかく臨床力が違いますよ」とのお言葉でしたが、講義をお聞きしてその意味を実感しました。やはり、頭の良い方はおられるものだなあ・・・と心から感心した次第でした。
”めまい”は、患者さんの数ある訴えの中では案外多くて、逆に医師の側からすると苦手となれる方が多い疾患なんだそうですね。
講義の組立は、午前が、1めまいの疫学、2非前庭性非心因性めまい、3心因性めまい、4良性発作性頭位性めまい【実演】?後半規管型の診断・治療、?水平半規管型の診断・治療、おまけでBPPV。午後が、1中枢性頭位性めまい症【ADVANCED】、2一過性脳虚血発作によるめまい【ADVANCED】、3急性前庭症候群、4前庭神経炎と脳幹梗塞・小脳梗塞との鑑別、5頭痛を伴うめまい、6片頭痛に関連するめまい【ADVANCED】、7椎骨動脈解離、8特別なめまい:Tumarkinfall【ADVANCED】、おまけで?前庭神経炎に対する治療、?突発性難聴、というものでした。
今回のセミナーの講義の圧巻は、午前の終盤の実技でした。上田先生の手づくりの、耳の奥の3半器官を模した丸いループに、浮遊耳石を示す丸いカゴ状の円球が突き通っていて、ループのある部分には赤いテープが巻かれており、そこが通常の耳石の存在位置を示すようでしたが、頭の中の耳の奥の位置に、3次元の方向に張った3半(円状の)器官を当てられ、浮遊耳石がどの位置にあるとどうなる・・・と示され、患者に見立てたモデルさんの頭を両手で持って、どのような姿勢で診察し、基本的な診療や治療の姿勢や動きとともに、どのように急速に振ると浮遊耳石がどう動いて移動する・・・ということを示されました。その治療の仕方にいろいろな方法がこれまでに存在し、各々の方法のメリットやデメリット等をお示しになり、推奨される技法もまたお示しいただきました。Dix-Hallpike法、Brandt-Darroff法、Semont法、Epley法、そしてSupinerolltest、Barbecuerotation法、Gufoni法、頭痛ではなくて眼振があるかないか・・・、いろんな講義の風景が主宰者の頭の中を通り抜けましたが、ほんとに素晴らしい講義でした。
上田先生の講義は、時間が余ったときのことも考慮され、ちゃん〜とスライドのおまけも準備しておられ、素晴らしい時間運びで、ぴったりと時間通りに終わられるという・・・神業でした。
質問も、会場内からも、ネット視聴者からも多数出て、時間が足りないくらいで、終わった後も数人、講師を取り囲んで質問されておられました。受講者が珍しく多くて、会場が狭かった・・・とのお叱りがアンケートに書かれておりました。クスン。
■講師 上田剛士 先生(洛和会丸太町病院総合診療科 副部長)
<略歴>
02年.名古屋大学医学部卒業
名古屋掖済会病院
04年名古屋掖済会病院救急専属医
05年京都医療センター総合内科レジデント
06年洛和会音羽病院総合診療科
12年洛和会丸太町病院救急総合診療科医長
16年同副部長
<著書>
『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』(医学書院2014年)
『高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス』(シーニュ2014年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断』(ケアネットDVD2015年)
『非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス』(シーニュ2015年)
『あなたも名医!夜間外来であわてない!―エビデンスに基づく診療の極意』(日本医事新報社2016年)
『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2』(ケアネットDVD2016年)