中医学にもとづく鍼治療の理論とその実際(実技指導付;その2)
頚肩腕痛:患者さんの多様で幅広い要求に応える!
■講師 名倉仟 先生(元 国立北京中医醫薬大学日本臨床研究所(日本分校) 理事長)
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【セミナー概要】
一般に医療と呼ばれているものには、医師の診察や各種の検査を受け、その結果、注射や内服薬や、その他の治療を受けることを意味していますが、病気の治療にはこの他に、わが国で古くから行われている漢方薬や鍼灸による治療があります。前者は一般に西洋医学、後者は中国医学または東洋医学と呼ばれており、日本には5世紀の半ばごろに、中国から朝鮮を経て伝えられて今日に至っております。その後日本で鍼灸医学は独自の発展を遂げ、16世紀半ばに西洋医学が伝わるまで、1000年以上の間、漢方薬とともに日本の医療の主流として医療を支えてきたのです。しかし、明治新政府は西洋医学を正統医学として位置づけ、医事制度もまた西洋医学の線に沿って制定し、鍼灸医学は民間の徒弟制度による特殊な職業になり今日に至っておりますが、この間、西洋医学では不充分な部分を埋め、その有効性と安全性は認知され、徐々にではありますが、「統合医療」として着実に社会的な評価を回復してきました。また、各種の漢方薬の薬効の研究や処方法の発展とともに、鍼や灸のような極めてわずかな刺激が、なぜ病気の治療に有効なのかの研究も進み、鍼灸効果の原理についても科学的な解明がなされて参りました。今回の医療技術セミナーでは、鍼灸の中で、特に“鍼治療“についての理論と実技を学び、日常診療の上で、生かしていただこうと企画してみました。対象は、1回目が「腰痛」、2回目が「上肢と肩、腕痛」です。皆様、奮ってご参加下さい。
<中国医学の現代的意義>
近年、伝統医学の見直しが世界的な潮流となっています。現代医学は大いに発展しつつありますが、万能と呼ぶには程遠く、薬物の副作用などの問題点も抱えており、癌・肝臓病・アレルギー疾患・膠原病などの難病を抱え、生活習慣病と呼ばれる高血圧・高脂血症・狭心症・動脈硬化症・糖尿病などを長期にわたってコントロールするのは苦手としています。現代医学を補いながら、現代医学の欠点をも克服できるような、より安全で多様な治療技術が求められていることが、この潮流を大きなうねりとしています。
世界各地に生まれ育った伝統医学の中でも、中国医学は最も理論的な体系が整った医学であり、針灸・気功・薬物療法などのすぐれた治療技術を備えています。そのため、現代の医療に大いに役立つ実用性を備えています。中国医学は、東洋のさまざまな科学技術のなかにあって、現代でも実用性を失なわずに存続している希な例といえるでしょう。
中医学の治療のふたつの柱が、薬物療法と針灸療法です。中国医学の薬物療法は、漢方生薬を用います。いわゆる草根木皮を用いる薬物療法は、世界の各々の文明圏で発生していますが、中国医学の特徴は、数種類以上の薬物を配合していっしょに煎じ、その複合的な効果を引き出す点にあります。同じ種類、同じ病名の病気であっても、ひとりひとりの病人の体質や症状の特徴を詳細に分析し、ひとりひとりの患者さんに最も適した薬を処方します。このようなきめ細かな対応が可能なのは、複数の薬物を組み合わせて用いるためです。薬物の配合の妙が中国医学治療の真髄と言えるでしょう。
針灸療法の特徴は、人体の「気」の流れを重視する観点を発展させて、経絡という気のめぐるネットワークを発見し、経絡上の特殊な反応点である経穴(いわゆるツボのこと)を用いて治療することでしょう。ツボを操作することによって、いかに経絡をめぐる気を調整するかということが、針灸治療の核心と言えるでしょう。
「陰陽」や「五行」など古代の自然哲学思想を背景に、気血・五臓六腑・経絡を中心とする身体観で人体を観察し、気候風土などの環境因子を重視する立場で病気の原因を考えるのが、中医学の根本的な特徴です。薬物の配合の理論や経穴を選択する理論は、数千年の実践を経て、高度なものへと発展しました。もちろん中医学とて万能のものではなく、限界もありますが、よりどころとなる理論が現代医学とは異なるので、現代医学では、治療法を見いだすことができない種々の難病に、効果を発揮することがしばしばあるのです。このようなことから現代のさまざまな難病の治療に、中国医学が大きな期待を担っているのです。
中医学が苦手とする病気は、身体の免疫力の低下や、免疫システムの異常によるものも多く、このような痛気にも、中国医学の観点からの診断と治療が優っている場合もあります。
(インターネット「家庭の中医学」より)
15:00-18:00
頸・肩・腕痛の鍼治療の理論と実技
(実技は、受講者同士がモデルになり、その極意を伝授します。また、治療に使う各種の鍼は主催者側でご用意しますので、安心してご参加下さい)
セミナー要綱
セミナーNO. | 189 |
開催日 | 2013年3月2日 15:00〜18:00 |
講師 | ■名倉仟 先生(元 国立北京中医醫薬大学日本臨床研究所(日本分校) 理事長) |
診療科目 | |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■3月2日(土)に開催しました第189回医療技術セミナー「中医学における鍼治療の理論と実技2上肢:頚・肩・腕編;患者さんの多様で幅広い要求に応える」は盛会裏に終了しました。
講師には、福島市から名倉仟(おさむ)先生をお招きしました。名倉先生は、最初は漢方薬の会社で学ばれ、その後”鍼治療”に関する知識の必要線を痛感され、専門学校で学ばれ、中国の教育機関と連絡を取られ中国でも学ばれた後、東京の新宿で開業されました。現在は福島市内でクリニックを開業されながら、被災地であります飯館村の仮設住宅や、真岡市のパーキンソン病の方々の訪問医療を実践中です。また、東京都内や名古屋での教育活動も行っておられるとのことです。
今回のセミナーは、スキルアップの日常の医療セミナーのテーマとは、大分異なる『鍼治療』ですが、これまでまだ一度もやれていなかったテーマであり、ようやく実現の運びとなりましたが、主宰者としても喜んでおります。『中医学』と付くと、大分ややこしいのではないかというイメージを抱いておりましたが、名倉先生のお話を伺っていると、難しいことは言わないで、要するに、痛いあるいは障害で動かない箇所を患者さんから聞き出して、そこに鍼治療を実践することが基本であり、面倒ではないと分かり、取り上げさせていただきました。要するに、メディカル・コア時代の『鍼治療』は、西洋医学の知識に立脚して、交感神経と副交感神経という対立物の統一という弁証法にもとづく治療であったのですが、今回の中医学については、分厚い資料のコピーを手渡されたのですが、それらをお配りしても時間が無くて読まれないであろうし、『実践』『臨床』に絞れば、セミナーのテーマになると読んの開催でした。
講義は、講師と略歴の紹介の後、約50分程の実技紹介の録画を見ていただき、質問をお受けした後は早速、実技と指導に入っていただきモデルさんを相手の施術をまじかに視ていただきました。前回からの受講者も多く、施術指導はスームーズに進みました。
会場受講に来られた受講者の方々は、ある程度『鍼治療』に興味をもたれ、少し日常でも実践されておられる方がほとんどで、”初めて”という方はお一人だけでした。また、講師の名倉先生は、最初に漢方薬の世界から鍼治療に入られた方ですが、薬物治療についても語っていただけるという点も、受講者とお話が合っていたようにも思います。
初めての方は先生の励ましを受け、おっかなびっくりでおそるおそる鍼を刺したり、出し入れ(ジャクタク)されたり、時には先生のオチャラケも出て、にぎやかに実習は進みました。
で、名倉先生は、セミナーが終わった後も、質問にお答えいただけ指導を受けられるというありがたいお申し出をいただきました。皆さん、実践でお悩み、お分かりにならないことが出来ましたら、電話でご相談くださいね。、
■講師 名倉仟 先生(元 国立北京中医醫薬大学日本臨床研究所(日本分校) 理事長)
<略歴>
62年4月小太郎漢方製薬入社
年3月関西大学商学部2部卒業
81年4月呉竹学園鍼灸専科入学
83年11月鍼灸師資格取得
94年12月北京中医薬大学卒業