■講師　和田浄史 先生（川崎協同病院外科　科長）
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【セミナー概要】
診療所の外来や在宅診療、介護福祉施設、病院の入院診療などにおいて、外科に紹介するほどではないけれども外科医の「目」あるいは「手」がちょっと借りたいなと思う場面にはしばしば遭遇します。この時、まず行うべき正しいファーストエイドが容易に行えることと、自分が手を離すべき境界・限界をきちんと知っておくことが、プライマリケアを担う全ての医療者に必要不可欠です。
今回の医療技術セミナーでは、外傷をはじめとする各種創傷、熱傷、褥瘡、日常目にする爪や皮膚疾患、終末期ケアにおける各種の外科的処置について、他科医でもぜひ身につけておきたいファーストエイドを中心に勉強していただき、さらに、実際の手順や手技については、実習参加型のデモンストレーションを行います。
今まで苦手だった小外科領域の処置や在宅での処置が、自信を持ってできるようになるための、理論と実際の手技を身につける絶好の機会です。日常の診療の幅が一気に広がるプログラムですので、プライマリケアや家庭医療を担う多くの医師・コメディカルの参加をお待ちしております。
皆様、奮ってご参加ください。
10:00〜10:30創傷管理理論編なぜ早く痛くなく治るのか
創傷治癒および創傷管理の理論を学び、さらに、自信を持って患者に説明し、安心感・満足感を
持ってもらうためのノウハウを示します。
 
10:30〜12:00各種皮膚疾患、終末期医療、在宅医療における小外科処置
創傷以外に日常診療でよく目にする各種の病態について、プライマリケア・家庭医療で行うべき
ファーストエイドをお示しします。
 
13:00〜15:00創傷管理の実際実技編
創傷管理や各種手技について、実際の医療材料の選択方法をはじめ、各種の医療材
料を使用しながら参加型のデモンストレーションを行います。

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■1月14日(月・祭)に開催しました第185回医療技術セミナー「新春記念セミナー３他科医のための創傷治療のＡＢＣ（実技指導付）」は盛会裏に終了しました。
講師には川崎協同病院外科科長和田浄史先生をお招きしました。和田先生には、「創傷治療」では’10年10月、’12年2月以来の3回目で、他に’11年1月に「終末期医療」をお願いしたこともありますので、合計4回目です。「創傷治療」の核心理論であります”開放性湿潤療法”については医療現場で、ここ約7、8年の間に革命的な変換が進んでおりますが、和田先生は夏井睦先生や鳥谷部俊一先生達とともに、第一線に立っておられる騎手のお一人です。新春記念セミナーにふさわしい盛り上がりとなりました。
受講者の中には、「他科医」の他に、外科や整形外科の医師もお出でいただき、熱心に勉強していただきました。
午前中の講義では、まず”創”と”傷”と”瘡”の違いと、この間ずうっと主張されてこられた?乾かさないこと、?消毒しないこと、?異物を残さないことの三原則について説明された後、?創傷が治るメカニズム−乾かさないこと、?消毒の呪縛を解く−イソジン神話は不滅か、?滅菌の呪縛を解く−滅菌レベルが本当に必要とされるのはの順番で話を進められようとされました。が、最初の項の途中で質問が出始めて、次から次へと出て、止まらなくなってしまいました。それでも何とかいろいろな傷が治っていくメカニズム等に関する解説やいろいろな傷の治し方の実例をお示しいただきました。
午後には、「皮膚剥離創」やいろいろな「熱傷」「膿瘍」「褥瘡」「皮膚潰瘍」「巻爪」といった実例について解説をしていただきました。他に、お話の中で出てきた創傷被覆材料等を示していただきながらモデルを使った使用法についても供覧していただきました。その後は、次から次へと質問が相次ぎ、これまた止まらなくなってしまいましたが、概観するに、その質問のレベルが応用編的に高く、現場での意識と治療革命が着実に進んでいることを実感した次第です。
会場からもネット受講者からも質問が相次いだところに、この日は折しも「爆弾低気圧」が南の海を通過しており会場の外は吹雪に近い降雪で、予定時間を超過したところで、さすがに質疑は打切らせていただきました。つきましては、積み残した質問を和田先生に持ち帰りいただき、改めて回答をまとめ直していただきましたので、公開させていただきます。和田先生ありがとうございました。
回答は、「講義こぼれ話」の項にも掲載させていただきましたので、ご興味がある方は、アクセスしてください。
受講者のお一人に感想をお聞きしましたところ、「実技指導付」とあったので参加させていただいたけれど、時間が無くなって「デモ付き」になったのは残念だった。また企画してくださいと、吹雪の中を急いで帰って行かれました。(スミマセン！)

■講師　和田浄史 先生（川崎協同病院外科　科長）
＜略歴＞
92年横浜市立大学医学部卒業後、同大学病院で初期研修
94年横浜市立大学第二外科学教室に入局、横浜市立市民病院外科
95年国立横浜病院外科
96年横須賀共済病院外科
97年横浜市立大学医学部附属浦舟病院第2外科
98年退局し、川崎医療生活協同組合川崎協同病院外科医長
08年同科長（現職）