プライマリケアで用いる漢方3 〜「消化器疾患」と「さまざまな痛み」〜
「消化器領域疾患」と「さまざまな痛み」を漢方で治療する
■講師 野上達也 先生(富山大学医学薬学研究部和漢診療学講座 助教)
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【セミナー概要】
漢方医学は中国由来の我が国の伝統医学であり、多くの患者から根強い支持を得ています。我が国では質の高い医療用漢方エキス製剤が保険診療で用いることができ、医師の約80%が日常診療に漢方薬を用いているというデータもあります。漢方薬の著効例を経験し、漢方治療の魅力にお気づきになっている先生も少なくないのではないでしょうか。
しかしながら、多くの場合、いまだに漢方薬の使用は病名投与による限定的なものとなっており、あくまで日常診療の補助的な手段として用いられているのが実情ではないかと思います。漢方薬は病態によっては治療の中心的な手段となりうる治療薬です。もっと生かしていかなければもったいない。
今回の医療技術セミナーでは日常診療で出会うことの多い、「消化器疾患」および「さまざまな痛み」について診療の漢方薬を中心的な薬剤として用いてよいと考える病態について、漢方治療のコツをご紹介し、実際の症例を提示させていただきたいと思います。
皆さま、奮ってご参加ください。
0漢方薬を活かすための漢方理論
?.「消化器疾患」の漢方治療
1.食欲不振
2.胃痛・胸やけ、
3.腹部膨満感、
4.慢性便秘、
5.下痢症、
6.腹部疝痛
?.「さまざまな痛み」の漢方治療
1.慢性頭痛、
2.肩こり、
3.腰痛、
4.多関節痛、
5.舌痛症
セミナー要綱
セミナーNO. | 167 |
開催日 | 2012年8月4日(土) 15:00~19:15 |
講師 | ■野上達也 先生(富山大学医学薬学研究部和漢診療学講座 助教) |
診療科目 | |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■8月4日(土)の夜に開催しました第167回医療技術セミナー「プライマリケアで用いる漢方3−「消化器疾患」および「さまざまな痛み」の漢方治療」は盛会裏に終了しました。
「漢方」でのテーマによる第1回目は4月28日に開催しましたが、その後、多くの期待する声が届き、急遽7月7日に2回目の「「呼吸器疾患」新」しおよび「さまざまな不定愁訴」を開催しましたが、今回は、「消化器疾患」や、各種の「痛み」を取り上げた新しい企画による開催です。
講師には、もちろん富山大学医学薬学研究部和漢診療学助教の野上達也先生をお迎えしました。
野上先生は、もともと中国で発達した中国医学の一つである
”漢方”は大変に複雑で難解といわれるものの、日本的に解釈されたいくつかの流れの中で”千葉古法”と言われる大きな流れを作られた千葉大学の漢方学の寺沢捷年、三潴忠道先生のグループの流れを汲む方で、特に三潴先生のお弟子さんであります。また、富山(大学)は、古来から日本の薬学の流れを汲む土地柄でもあり、その地で”和漢診療”を精力的に続けておられる方です。
講義は、前回通り「漢方医学の基本」から始まり、急性疾患では陰陽・虚実、表裏、寒熱、六病位、慢性疾患では気血水、五臓といった概念とその考え方が紹介されました。診療にあたって確認されるべき要素として、脈診、腹診、そして舌診の取り方等と各々の原理、記載方法、舌に生じる舌苔の色の見本等、も示されました。次に「気」の異常・変調とその分類による主な症状・詳報する生薬、”気虚”気鬱”気逆”といった症状の捉え方の解説が行われました。
その後、前半部分の「消化器科という疾患の漢方治療」として、食欲不振、胃痛・胸やけ、腹部膨満感、慢性便秘、下痢症、腹部疝痛といった症状について、各々基本的な考え方・捉え方等の解説の後に、症例研究として応用問題をクイズ形式で呈示していただきました。
後半部分では、「様々な痛みの漢方治療」として、慢性頭痛、肩こり、腰痛、多関節痛、舌痛の5つの症状について、それぞれの基本的な考え方等の解説の後に、症例研究として応用問題をクイズ形式で呈示していただきました。特に強調された点は、野上先生が好きでお得意な薬として、呉茱萸湯(ごしゅうとう)についての解説と処方法について詳細に解説されました。
最後に、「附子・烏頭の使い方のコツと注意点」について、多くの時間を割かれて詳細に解説されました。附子・烏頭は猛毒を持っているのですが、激痛などの症状への使い方によっては、重要で便利な薬にもなるようです。「毒をもって毒を制す」るものの、典型的な例なのでしょうか!
質疑応答では、会場からもネット受講者からもたくさん出ました。最近は、複数の各科で漢方を処方し、薬がダブったり、相反する効果や副作用が出たりしているので注意を要することの他に、特に鹿児島県のある開業医さんから、「附子」1.5g処方で、保険審査で切られるとの状況報告があり、各都道府県により状況は違うものの、調査していただくことになりました。
■講師 野上達也 先生(富山大学医学薬学研究部和漢診療学講座 助教)
<略歴>
98年富山医科薬科大学医学部卒業
98年富山医科薬科大学附属病院和漢診療学部医員
99年鹿島労災病院医員
02年富山医科薬科大学附属病院和漢診療部医員
03年株式会社麻生飯塚病院漢方診療科医師
10年富山医科薬科大学大学院医学系研究科(博士課程)修了
10年富山大学附属病院和漢診療科助教
12年富山大学医学薬学研究部和漢診
療学講座助教現在に至る
<学会活動など>
日本内科学会総合内科専門医、
日本リウマチ学会リウマチ専門医、
日本東洋医学会指導医