プライマリケアでの認知症の診断と治療
薬剤の使い分け
■講師 小山主夫 先生(藤沢市民病院神経内科 部長)
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【セミナー概要】
日本は高齢者の急速な増加とともに認知症患者が急増していて、かかりつけ医など非専門医でも認知症診療は避けられないことになっています。2011年にアルツハイマー病治療薬3剤が認可され、今年の4月から長期処方も可能になりました。また、既存薬のドネペジル(アリセプト)も後発薬が発売され、アルツハイマー病の薬物治療の選択枝が世界標準になりました。本医療技術セミナーではそれらの薬剤の特徴とそれに応じた使い分けを中心にお伝えします。それに加え認知症診療、診断について教科書的なことではなく、実践的ですぐに役立つコツをお話しします。さらに認知症患者の在宅介護でもっとも問題となるBPSDの治療についてもお話しすることで、認知症診療全体を網羅する実臨床に役立つ医療セミナーとします。
皆さま、奮ってご参加ください。
■講演プログラム・要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断り申し上げます)
10:00-12:00認知症の診療のコツと診断の進め方
外来診察の進め方については教科書的なことばかりでなく、患者さんを観察する
ポイントや家族からの情報聴取の方法について解説します。また、臨床症状、
検査所見(血液検査、画像検査など)から確定診断への手順を実際の症例提示
しながらお話します。
12:00-13:00昼食・休憩
13:00-15:00認知症の治療
?アルツハイマー病治療薬の特徴と使い分けについて?認知症周辺症状(BPSD)の治療と対処法
アルツハイマー病治療薬4剤それぞれの特徴とそこから考えられる実際的な使い
分けについて解説します。また、非専門医がどうしても避けてしまうBPSDについて
は、薬物療法ばかりでなく非薬物療法についてもお話しし、認知症患者さんだけではなく家族への対応、指導について講義します。
セミナー要綱
セミナーNO. | 158 |
開催日 | 2012年7月8日 10:00〜15:00 |
講師 | ■小山主夫 先生(藤沢市民病院神経内科 部長) |
診療科目 | 総合診療系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■7月8日(日)に開催しました第158回医療技術セミナー「プライマリケアでの認知症の診断と治療−薬剤の使い分け」は盛会裏に終了しました。認知症治療の領域では、昨年にアルツハイマー病の治療薬3剤が新たに認可されるとともに、今年の4月から長期処方も可能になり、かつ既存薬のドネペジル(アリセプト)もジェネックが発売され、アルツハイマー病の薬物治療の選択肢が世界標準になり、今回の医療技術セミナーでは、それらの薬剤の特徴と使い分けを勉強していただこうというもので、実践的ですぐに役立つコツをお話していただこうとするものです。
講師には、藤沢市民病院神経内科部長小山主夫先生をお招きしました。小山先生は、横浜市立大学医学部神経内科で黒岩義之先生の直接のご薫陶を受けられたお弟子さんだそうです。
講義は、午前の部では、?認知症とは、?認知症の診察の進め方、?認知症をきたす疾患、?各疾患について、ということでアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症、脳血管性認知症とその他の認知症についての解説が行われました。具体的には、認知症の年齢区分別出現率、患者数の経年変化、認知症による物忘れと加齢による物忘れの違い、認知症の中核症状としての記憶障害、見当識障害、判断力の低下等についての解説、周囲の気付きのポイント、診察の進め方、問診時のキーワード、家族からの事情聴取・・・、と続きました。ここらで特に記憶に残ったのは、お金、財布、預金通帳、印鑑、家や金庫の鍵等の”物盗られ妄想”は女性に多く、男性に多いのは”嫉妬性妄想”であるとのこと。
午後の部では、?アルツハイマー病治療薬の特徴と使い分け、?認知症周辺症状(BPSD)の治療と対処法、?アルツハイマー病の睡眠障害、?その他の治療薬について、の解説が行われました。ここでは、世界で販売されている抗認知症薬としてドネぺゼル(アリセプト)、リバスチグミン(りバスタッチパッチ)、ガランタミン(レミニール)、メマンチン(メマリー)の4剤についての詳細な解説が行われました。自発性が無くなる、怒りっぽくなる、吐き気など消化器症状・・・といったいろいろな副作用や、速効性や効果の持続時間による一日の服用回数、あるいは水薬であったり貼り薬であったりするのでその特徴やメリット・デメリット等の詳細な解説が行われました。他には、その他の治療薬として”イチョウ葉エキス”が、漢方ではなくて、ドイツからの治療薬として紹介され、ちょっとびっくりでした。
質問は会場からもネット受講者からもたくさん出て、繰り返し
の確認もあり、充実した時間となりました。
■講師 小山主夫 先生(藤沢市民病院神経内科 部長)
<略歴>
95年:横浜市立大学医学部卒業
97年:横浜市大医学部神経内科(1998年〜助手)
99年:七沢リハビリテーション病院脳血管センター神経内科医員
00年:横須賀市立市民病院神経内科医員
05年:学位(医学博士)取得
05年:藤沢市民病院神経内科医長(2012年〜部長)
現在に至る
<所属学会と活動>
日本内科学会(内科認定医)、日本神経学会(神経内科専門医・指導医)、日本脳卒中学会(脳卒中専門医)、日本神経治療学会、日本脳循環代謝学会
(その他)藤沢脳卒中ネットワークセミナー代表世話人、神奈川シームレス研究会世話人