家庭医療シリーズ1 診療能力を広げる優しい婦人科診察法
女性の子宮がん検査法と内診術 + 乳房診察術
■講師 佐野潔 先生(静岡県森町家庭医療センター 長)
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【セミナー概要】
女性の下腹部痛の鑑別診断が病歴と診察だけでできますかあなたの診断力をあげること必至!
内科医、救急医、家庭医であるあなたの鑑別診断力を強化してくれる女性の内診、そして乳腺の悪性良性疾患の鑑別術を診察から学びましょう。米国家庭医療学専門医による指導で家庭医らしい診察を学ぶよいチャンスです。奮ってご参加ください。
■講演プログラムおよび要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断り申し上げます)
10:00-12:00子宮頸癌検査(PAPsmear)とPelvic
examination
12:00-13:00昼食・休憩
13:00-15:00乳房診察術
セミナー要綱
セミナーNO. | 125 |
開催日 | 2011年10月23日 10:00〜15:00 |
講師 | ■佐野潔 先生(静岡県森町家庭医療センター 長) |
診療科目 | 総合診療系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■10月23日に開催しました第125回セミナー「婦人科診察法−子宮がん検査法と内診術・乳房診察術」は盛会裏に終了しました。
講師には、静岡県森町家庭医療センター所長佐野潔先生をお招きしました。佐野先生は、’83年から米国に渡られ、”家庭医学”を学ばれ各地で実践されてこられた方です。
現在、静岡県では”家庭医”養成プログラムが推進され、県内の2カ所に”家庭医療センター”が開設され(この12月から)、家庭医の育成が始められようとしており、森町センターでは佐野先生が、あと一箇所の菊川市のセンターでは三重大学を退官されました津田司先生(総合診療学)が招聘され、教育と指導にあたっておられます。
日本では、ここ約10年、それまで個別の診療科に分かれて高い壁が存在していたという反省の上に立ち、「総合診療」が一時ブームになり、大学病院では次々に「総合診療科」が開設されましたが、その後’07年頃から、恐らく体制が組めないという理由や予算=売上が見合わないという理由により、閉鎖される動きになってきております。一方で、米国を始めとした世界的な医学の流れは、実質何でもできる、診れるというGeneralPractice=家庭医療であり、なぜか日本だけが違っているという現状だということです。佐野先生は、日本の「総合診療」は、ほぼ内科医が”+αの力を付ける的な発想であり(わが”スキルアップ”も似たような考え方です)、”総合診療”の呼称は間違っており、「全科医」的な表現の方が正しいと言えるかもしれない、と仰っております。
講義では、家庭医としての基本として、サイコソシアルアプローチや、コミュニケーションスキルとしての問診法を身につけるとともに、専門的知識と技能による全身の診察技法を体得する必要があることを強調されました。
特に、この日の課題でありました「婦人科診察法」の必要性では、婦人は家族の中心であり、家庭の家族全員の健康管理をしており、その婦人からの信頼を勝ち得ることは最重要!したがって、女性の医療は家庭医にとって欠かせない要素であること。また、女性のライフサイクルに沿った医療(生理、妊娠、分娩、育児、避妊、閉経・・・乳がん、子宮がん予防)のうえで、婦人の診察(内診、乳房診)技能は必須であるというわけで、人体モデルを使いながら、午前に「子宮がん」検査、内診法を、午後に「乳房診察」の技法について興味深いお話をしていただきました。特に婦人を診る環境作りや注意(例えば、下半身を区切るカーテン設置の害悪性や必ず女性アシストを付けること等)についても、細かい大事なお話がありました。
質疑では、具体的な診療技術についての他に、先の日本の診療科を隔てる高い壁の話とも絡んで、「普通の内科医が婦人の内診をしても大丈夫か」「やる上での注意点は」という根本的な質問も飛び出しまして、議論になりました。
この10月は、乳がん検診のキャンペーンが行われている最中でしたかアメリカでは女性の7、8名に1人が乳がんに罹っているという状況だそうですが、25名に1人・・・という現状のこの日本でも今後ますますこの分野の検診の重要性が高まりそうです。
■講師 佐野潔 先生(静岡県森町家庭医療センター 長)
所属静岡家庭医養成プログラム/森町家庭医療センター所長・指導医
米国家庭医学会認定医・シニアフェロー/ミシガン大学医学部家庭医学科関連教授/滋賀医科大学客員教授/兵庫医科大学臨床教授/日本家庭医療学研究所理事/野口医学研究所理事
略歴78:川崎医科大学卒業、78−79:米国横須賀海軍病院、79−83:八尾徳洲会病院、83−85:米国ミネソタ大学地域家庭医療科、85−99:米国ミネソタ州ロックフォード・バッファロー家庭医療センター開業、99−06:米国ミシガン大学家庭医学科臨床准教授、06−10:仏国パリアメリカ病院開業、10−:現職
著書:臨床の現場で教えるPhysicianasteacher