一般医学系

誰も教えてくれない疣贅(イボ)治療の実際と私の工夫、コツ

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局所療法と全身療法、私はこう治療している

■講師 江川清文 先生(東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科 非常勤講師、他)
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【セミナー概要】
疣贅(いぼ)は、ありふれた疾患です。皮膚科以外にも、小児科、内科、外科や整形外科、外陰部の疣贅である尖圭コンジローマは泌尿器科や産婦人科の先生方が診られることも多いと思います。
疣贅(いぼ)は、承知の如く、診断は容易ですが問題はその治療です。総ての患者さんに一様に優れて有効と言える疣贅治療法はありません。患者さん毎に治療法を選択しますが、3ヶ月以上続けて無効の場合、続行しても有効に転ずることは少ないことが知られています。一方、治療法を変更した途端に治癒することがあるのも疣贅治療の特徴です。なるべく多くの治療法を習得する必要があることが分かりますが、疣贅治療の多くは知識だけでなく実際的な技術(スキル)の要求される局所療法です。にも拘らず、習得機会の少ない昨今の医療事情は極めて問題と言えます。
また、冷凍療法における激しい疼痛や水疱形成など、治療法によっては必発とも言える副作用が、クレームの原因になることもあります。十分なインフォームドコンセントを得て行う必要があり、保険適応外治療法の多い疣贅治療では、特に留意すべき問題です。
本医療技術セミナーでは、冷凍療法、電気焼灼法やレーザー蒸散などの外科的治療法のほか、活性型ビタミンD3軟膏、グルタルアルデヒドやフェノール法などの外用療法やエトレチナート内服などの全身療法について詳述しますが、治療原理や手技だけでなく、適応や非適応、副作用やインフォームドコンセントの実際についても具体的に述べます。“痛くない疣贅治療法(非外科的治療法)”は、外科的治療に携わらない内科や小児科の先生方にも容易にできる有用な治療法です。
また、治療に当たり必要な、疣贅の病因・病態論、肉眼診断やダーモスコープを用いた診断、ウオノメ、タコや老人性疣贅などの鑑別疾患、“取る”“取らない”で論争の絶えない伝染性軟属腫(みずいぼ)の治療についても述べたいと考えています。
奮ってご参加ください。
[講演プログラムおよび要旨]
10:00−11:00I.疣贅の病因と病態、診断と鑑別診断
治療に当たり、「疾患の病因・病態を正しく理解しておくこと」と「正確な診断ができること」とは、何にもまして重要なことです。HPVのウイルス学的性状や分類、尋常性疣贅、ミルメシア、扁平疣贅、尖圭コンジローマやボーエン様丘疹症などの代表的病型について正しく診断できるようにします。病型により治療成績が異なることが分かって来ており重要です。具体的には、肉眼診断やダーマスコピー診断と共に、鶏眼(ウオノメ)、ベンチ腫(タコ)、老人性疣贅や有棘細胞癌等各種皮膚腫瘍との鑑別診断について述べます。
11:00−12:00II.治療総論
治療成績向上のためには、「疣贅治療とは何か〜治癒に導くためには、何がなされなければいけないのか」治療原理を正しく理解しておくことが大切です。最近のウイルス学的知見に照らし合わせながら解説します。また、各疣贅治療法のEBMの現状について、英国皮膚科学会ガイドライン、ClinicalEvidence、本邦における評価等を紹介しながら解説します。
13:00−14:30III.治療各論
冷凍療法、電気焼灼法、レーザー蒸散法、いぼ剥ぎ法等の物理的治療法、グルタルアルデヒド、フェノール、エタノール塗布法等の化学的治療法、レチノイド内服、活性型ビタミンD3、5FUやビダラビン軟膏の外用、ブレオマイシン局注等の薬理学的治療法、ヨクイニンエキスやシメチジン内服、接触免疫療法やイミキモド外用等の免疫学的治療法等について、メカニズムや実際的な治療手技、適応や非適応、副作用等治療に当たり注意すべきことやインフォームドコンセントの実際につき解説します。
14:30−15:00IV.みずいぼ(伝染性軟属腫)の治療
みずいぼの原因である伝染性軟属腫ウイルス(MCV)のウイルス学的事項、MCVが毛包を感染標的とするなどの病態、疫学や代表的治療法である「みずいぼ取り」の実際と痛みを少なくする工夫、「みずいぼ取り」以外の痛くない治療法などについて解説します。

セミナー要綱

セミナーNO. 119
開催日 2011年10月16日 10:00〜15:00
講師 ■江川清文 先生(東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科 非常勤講師、他)
診療科目 一般医学系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■10月16日(日)に開催しました第119回医療技術セミナー「誰も教えてくれない疣贅(イボ)治療の実際と私の工夫、コツ−局所療法と全身療法、私はこう治療している」は盛会裏に終了しました。
よく、これまでに、せっかくの美人なんだけど、顔の大事な部分にイボがあり、もったいない・・・と思ったことがたくさんありましたが、特に分かりやすい興味深い講義でありまして、久しぶりに大勢の受講者をお迎えすることができました。
講師は、東京慈恵会医科大学皮膚科非常勤講師、北里大学客員教授、福井大学非常勤講師の江川清文先生にお願いしました。
江川先生によりますと、疣贅(ゆうぜい)の意味は、疣:イボーふくれる(丘)ということで、?皮膚にできる小さなかたまり、?よけいなもので、贅:むだー財貨を手放す、?こぶ、?むだ、?婿殿(むこどの)ということで、特に?は言い得ておりまして、なかなか意味深いものがあります。先生が私にくださるメールアドレスの呼称は黒疣大王(|Kイボ大王)であり、すぐに江川先生であると分かります。それほどの、”イボ”に関してオーソリティなんです。
講義は4部に分けられ、午前中に?疣贅(イボ)の病因と病態、診断と鑑別診断、?治療総論を、午後に?治療各論、?みずいぼ(伝染性軟属腫)の治療について解説していただきました。素晴らしい講義であり、復習用のDVDも貴重なものになりました。
病因については、人に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト乳頭ウイルスであり、小さな外傷を通じて接触感染でうつる。潜伏期間は数週から数年と一致しない。平均3か月。うつっても現れてこないこともありうる。病態には多様性があり、感染部位の違いにより臨床像や悪性度が異なってくる。発癌に対してもハイリスク型やローリスク型がある、とのこと。病態としては、尋常性疣贅、ミルメシア、色素性疣贅(俗称;くろいぼ)、点状疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマ、ボーエン様丘疹症等があり、その違いは、ウイルスの型の違いによるようです。出る部位は、手掌、足底、外陰部、頚部・体幹、顔面・頭部等すべてに。疣贅の診断における特徴は、削ると点状出血が診られるところに、鶏眼(魚の目)等との違いがある。特に顔面・頭部の疣贅は、指(糸)状疣贅扁平疣贅等で、脂漏性角化症(老人性)になってくる。以上が私にも分かったこと。それ以上はとても理解できませんでしたが。
質疑も、白熱し、先生も驚かれる程、たくさん出ておりました。特筆なのは、小さいころから「イボはなすびの蔕でこすると取れる・・・とおばあちゃん等に実際にこすってもらった経験がある方が多いかと思いますが、そうした民間療法にも一理あり、決してバカにはできない・・・ということまで出ました。

■講師 江川清文 先生(東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科 非常勤講師、他)
73長崎大学薬学部卒業
80熊本大学医学部卒業、熊本大学医学部皮膚科研修医
85熊本大学医学部皮膚科助手
89ドイツ癌研究センター腫瘍ウイルス研究所客員研究員
93熊本大学医学部皮膚科講師
02文部科学省在外研究員(ドイツ癌研究センター)
06熊本大学大学院医学薬学研究部皮膚機能病態学分野助教授
07同准教授(名称変更により)
08国立ハンセン療養所•奄美和光園副園長
10東京慈恵会医科大学非常勤講師、北里大学客員教授(併任)、福井大学医学部非常勤講師(併任)、現在に至る
 
<著書・共著>
疣贅治療考(医歯薬出版)、今日の治療指針(医学書院)、皮膚疾患診療実践ガイド第2版(文光堂)、今日の皮膚疾患治療指針第3版(医学書院)、皮膚感染症のすべて−私の治療のコツ(南江堂)、すぐに役立つ日常診療における私の工夫(全日本出版会)、ウイルス性皮膚疾患ハンドブック(中山書店)、EBM皮膚疾患の治療2008−2009(中外医学社)、現場の疑問に答える皮膚病治療薬Q&A(中外医学社)、最新皮膚科学大系(中山書店)、皮膚科診療カラーアトラス大系(講談社)、皮膚科サブスペシャリティ−シリーズ一冊でわかる性感染症(文光堂)、皮膚疾患最新の治療2011−2012(南江堂)、皮膚科診療最前線シリーズうつる皮膚病(メディカルレビュー社)、臨床診断に苦渋する100の外来皮膚疾患−達人が伝授する臨床診断への次の一手は
(メディカルレビュー社)、患者さんから浴びせられる皮膚疾患100の質問−達人はどう答え、どう対応するか(メディカルレビュー社)、てこずる外来皮膚疾患100の対処法−達人に聞く究極の処方と治療のコツ(メディカルレビュー社)
あたらしい学校保健皮膚科マニュアル(診断と治療社)

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