高齢者の皮膚掻痒症−診断と治療のポイントとその実際−
”かゆみ”を解明する
■講師 大塚藤男 先生(筑波大学大学院人間総合科学科疾患制御医学専攻 皮膚病態医学分野 教授)
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【セミナー概要】
近年、高齢者に皮膚掻痒症が増加し、全身あるいは局所の痒みが高齢者のQOLを著しく低下させている。皮膚掻痒症は皮脂欠乏に伴う乾皮症、同湿疹によることが多いが、しばしば種々の全身性疾患に、あるいは多くの皮膚疾患に伴って生ずる。思わぬ内臓疾患や悪性病変を発見する契機ともなりうる。痒みと皮疹をきちん評価し、掻痒症を診断するための基本的考え方を理解していただけるように、多数のスライドを使って解説する。また掻痒症の一般的な治療法、日常生活上の注意とともに、病態に応じた治療、注意についても解説を試みる予定である。皮膚掻痒症の診断・治療のスキルアップに十分役立つことを期待している。
皆様、奮ってご参加下さい。13:30-15:30高齢者の皮膚女雪y症
1.痒みの生理・病態
2.皮膚女雪y症とは
3.高齢者の特徴と病態
4.高齢者の皮膚女雪y症の診断と治療
1)老人性皮膚女雪y症
2)全身性女雪y症
3)限局性女雪y症
5.皮膚疾患に伴う皮膚女雪y症
1)鑑別
2)診断と治療、その実際
6.まとめ
※3日午前開催の医療セミナー「ちょっとした外傷の治療手技」
にもご出席いただける受講者には、お弁当を準備します。できるだけ事前にお申し込みください。
セミナー要綱
セミナーNO. | 71 |
開催日 | 2010年10月3日 13:30〜15:30 |
講師 | ■大塚藤男 先生(筑波大学大学院人間総合科学科疾患制御医学専攻 皮膚病態医学分野 教授) |
診療科目 | 皮膚科系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■10月3日午後に開催しました第71回医療技術セミナー「高齢者の皮膚掻痒症の診断と治療」は盛会裏に終了しました。
この日、新しい試みとして、午前のテーマと午後のテーマを分け(ただし2つの話に共通して貫く共通軸は”在宅医療”とし、コ・メディカルの方々の参加も期待!あと、”皮膚科”領域で無理やり関連付け)、受講料も半額ずつにしましたが、大勢の方に参加していただきました。ありがとうございました。
講師は、筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野教授大塚藤男先生にお願いしました。「メディカル朝日」7月号に、同じタイトルの論文が掲載されておりまして、快くお引受けいただいておりました。
また、筆者は、ずいぶん以前から「痒み」に関するセミナーの開催を企図していたこともあり、ようやく実現し、喜んでいるところです。
講義は、「痒みの生理・病態」「皮膚掻痒症とは」「高齢者の特徴と病態」と進み、「高齢者の皮膚掻痒症の診断と治療」ということで、「老人性」「全身性」「限局性」の3つの掻痒症の詳細な解説が行われました。「痒み」という病態と現象は結局、色んな疾患に伴って起きるもののようで、ある面で視野が開かれたような気がいたしました。掻痒症の原因・基礎疾患として、「光や紫外線」「外気」「衣類=肌触り」=接触性皮膚炎等の他に、「基礎疾患」として、糖尿病や甲状腺ホルモンの分泌異常、腎不全や腎透析、肝障害や肝硬変に伴うもの、鉄欠乏性の貧血や多血症・肥満細胞症、悪性リンパ腫や骨髄腫、内臓癌、自己免疫疾患、感染症、アレルギー性、薬剤性=薬疹、高齢であるが故の皮脂欠乏性の痒み、蕁麻疹や湿疹、疥癬や虫、寄生虫等、多岐な原因が指摘されました。また、最近、増えているのが噴水式の便器による過剰洗浄があるのだそうです。他には、原因が発見できないときには、結局「心因性」「神経性」の痒みとして処理され、「精神安定剤」等の処方で済まされることも多いのではないかと想像します。
治療とケアについても、詳細な解説が行われましたが、「抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬、ステロイド外用薬、マイナートランキライザー、κオピオイド、紫外線の照射、スキンケア、冷却など、多種・多彩な治療法が解説されました。
時間配分として「基礎」の方に重点をおいた講義になったのか、質疑においても、積み残しが生じたり、終わっても講師の周りに質問者の輪が出来たりで、なかなか意義ある医療セミナーとなりました。
■講師 大塚藤男 先生(筑波大学大学院人間総合科学科疾患制御医学専攻 皮膚病態医学分野 教授)
昭和49(1974)年東京大学医学部医学科卒業
昭和50(1975)年東京大学医学部助手(皮膚科)
昭和56(1981)年アメリカ合衆国国立衛生研究所(NIH)癌研究所皮膚科
昭和59(1984)年東京大学医学部講師
昭和61(1986)年東京大学助教授医学部附属病院皮膚科副科長
昭和63(1988)年東京大学医学部附属病院分院皮膚科科長に配置替
平成3(1991)年筑波大学教授(臨床医学系皮膚科)
平成15(2003)年筑波大学大学院教授(人間総合科学研究科(医学))
平成16(2004)年筑波大学医学専門学群医学類長(併任)
平成19(2007)年筑波大学医学群長(併任)
専門研究診療領域
神経皮膚症候群、高発癌性皮膚疾患、皮膚腫瘍、皮膚脂質
学会活動など
日本皮膚科学会理事、日本皮膚悪性腫瘍学会理事長、日本光医学生物学会理事長、日本乾癬学会理事、日本レックリングハウゼン病学会理事、太陽紫外線防御委員会理事、膠原病研究会・皮膚脈管懇話会世話人、角化症研究会世話人
日本皮膚科学会雑誌編集委員長
皮膚科の臨床編集員
厚生科学研究特定疾患調査研究神経皮膚症候群研究班主任研究者(2008〜)、班長(1997-2002)
厚生省がん助成金研究悪性黒色腫研究班班員
薬事・食品衛生審査機構専門委員