実地医家にもできる緩和ケア・がん疼痛医療
在宅医療への導入の実際
■講師 服部政治 先生(財団法人癌研究会有明病院 麻酔科 医長 兼 がん治療支援緩和ケアチームリーダー)
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■講師 首藤真理子 先生(葛飾区・わたクリニック 医師)
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【セミナー概要】
がん患者は、がんの治療のためだけの入院ではなく、がん性疼痛のために退院できずに入院を余儀なくされることも少なくない。なるべく自宅で余生を過ごしたいという希望のある患者さんでは、痛みの治療を在宅で行えるようになればその希望を実現させることができる。
本医療技術セミナーでは、病院で行う疼痛治療の実際を癌研有明病院麻酔科医長の服部政治医師に、その治療法を含めて在宅で疼痛治療を継続するために必要な知識と問題点を、数多くの病院から在宅医療を依頼され実践している「わたクリニック」の首藤真理子医師に話していただく。皆様、奮ってご参加下さい。
●10:00-12:001.がん性疼痛管理の基本的治療方法と最新治療法
がん性疼痛の治療は、WHOが世界的に提唱した疼痛管理の指針によってその礎はできたといえるが、それだけでは軽減することのできないがん性疼痛も数多く存在する。治療困難な痛みに対してはペインクリニックの専門的技術を導入していくべきである。今回の講義では、最初に基本的な疼痛管理とオピオイド使用法について説明し、後半でペインクリニック技術を駆使した最前線の治療について説明する。
●12:00-13:00昼食・休憩
●13:00-15:002.在宅での疼痛管理の実際
日本は超高齢化社会を迎えているが、医療機関の病床は増加せず、“看取りの場所”としての在宅の役割は大きくなると思われる。わたクリニックは在宅療養支援診療所として約180人/年を在宅で看取り、その9割をがん患者が占める。がん終末期には、消化器症状や嚥下力の低下、傾眠によって経口摂取が困難となり、鎮痛薬の内服が難しくなる場合がある。また、がん患者では、疼痛が増強し、間欠的な激痛が出現することもある。そういった時に、PCA(patientcontrolledanalgesia)が有用で、持続注入ポンプを用いてオピオイドを静脈または皮下から投与する。在宅でも安全に行うことが可能であり、痛みに合わせてレスキューボタンを押すことで鎮痛薬を適宜投与できるので、患者や家族に疼痛時の対処として安心感を持ってもらえる。本医療技術セミナーでは、PCAも含めた在宅での疼痛管理のポイントを解説する。
セミナー要綱
セミナーNO. | 62 |
開催日 | 2010年8月1日 10:00〜15:00 |
講師 | ■服部政治 先生(財団法人癌研究会有明病院 麻酔科 医長 兼 がん治療支援緩和ケアチームリーダー) ■首藤真理子 先生(葛飾区・わたクリニック 医師) |
診療科目 | 一般医学系 |
DVD価格 | 5,500円(会員価格/税込) |
終了したセミナーの報告と開催の模様
■8月1日に開催しました第62回医療セミナー「緩和ケア・がん疼痛医療−在宅医療への導入の実際」は、盛会裏に終了しました。
この日のテーマは、癌の治療過程や、余命がいくらも無いと考えられる患者さんの尊厳を重視し、最後まで人間らしく生きていただこうと、癌の痛みのケアや疼痛を抑えて、かつ病院の他に自宅での療養を行おうとのQOLの向上にあると言えるかと思いますが、午前の講師は、癌研究会有明病院麻酔科医長兼がん治療支援緩和ケアチームリーダーの服部政治先生でした。服部先生は、病院で行う疼痛治療の実際について、解説していただきました。まず、がん性疼痛の鎮痛薬使用の基本から始まり、オピオイド使用時の基本と注射薬の使用の適応例、神経ブロック療法、脊髄鎮痛法(硬膜外・脊髄くも膜下)、その他の治療法まで。最後に、これからの治療法として、ZOMETA等についてもご紹介いただきました。
午後の講師は、葛飾区で手広く在宅医療事業を展開されております”わたクリニック”の医師であります首藤真理子先生にお願いしました。首藤先生は、数多くの病院・クリニックから在宅医療を依頼され実践されておられますし、わたクリニックでは、09年の一年間で約190名の在宅での”看取り”実績を持っておられます。お話は、わたクリニックの具体的な活動から始まり、医療チームや地域のネットワーク作り、在宅医療での疼痛コントロールとオピオイドの選択・ローテーション・モルヒネとフェンタニル換算の目安、副作用(眠気と吐気)対策、在宅で有用なモルヒネ持続皮下注射の紹介、患者自身が調節する鎮痛方法であるPCAの器械の紹介、持続皮下注射の手技の紹介、難治性がん性疼痛に対する展望等について詳しい解説が行われました。
■講師 服部政治 先生(財団法人癌研究会有明病院 麻酔科 医長 兼 がん治療支援緩和ケアチームリーダー)
92年大分医科大学卒業、麻酔科入局
99年米国メモリアルスローンケタリングキャンサーセンターにて麻酔科ペインクリニックにて術後鎮痛、癌性疼痛管理を学ぶ。
00年大分大学医学部緩和ケアチームリーダー
06年国立がんセンター中央病院麻酔科緩和ケアチームリーダー
08年癌研究会有明病院麻酔科
■講師 首藤真理子 先生(葛飾区・わたクリニック 医師)
00年宮崎医科大学卒業
02年大分医科大学第2外科入局
05年国立がんセンター中央病院麻酔緩和ケア科にて研修。ひたちなか市にて在宅緩和ケアに携わる。
07年医学博士の学位取得(広島大学)
08年葛飾区・わたクリニック勤務。在宅緩和ケアに取り組む。
日本メディカルスキルアップは対面形式のセミナー(会場受講)を重視し、2009年4月より計800回以上医療技術セミナーを開催してまいりました。製薬企業とは無縁の独立系セミナーで、臨床現場、専門領域の第一線で活躍する講師の質と圧倒的な学習時間で医療業界に貢献してまいります。一般医学系の他、さまざまなジャンルのセミナーを開催しております。