しあわせになれる認知症の診方

■講師　藤本健一 先生（自治医科大学神経内科　准教授）
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【セミナー概要】
認知症は診断もつけにくいし、診断がついても手間ばかりかかるので、できれば避けたいと思っている先生は居ませんかそんな先生方に是非参加していただきたいのが、このセミナーです。認知症は決して悪い病気ではありません。痛いこともないし苦しいこともない。そして嫌なことだって全部忘れることができるのですから——–。良い環境で生活することができるなら、これほど良い病気はありません。その「良い環境」をどう整えるかが、主治医の腕の見せどころです。
残念ながら今のところ認知症は治療できません。アルツハイマー病の治療薬が発売されているですってコリンエステラーゼ阻害薬ですか確かにアルツハイマー病の早期に使えば途中経過を変えることはできるでしょう。しかし残念ながら最終的な予後には影響を与えないと思います。そういう意味で、今のところ認知症は「治療」ではなくて「マネージメント」どまり、「良い環境」を作ることが大切なのだと思います。良い環境を作るには、早めに準備を始めることが必要です。早めに準備するには早く診断して今後の変化を予想しそれに対応することが大切です。第１部「診断のためのスキルを磨こう」では早期診断のためのトレーニングをしたいと思います。そして第２部では、患者さんがしあわせになれるためのマネージメントの方法について学びます。患者さんや介護者がしあわせになれば、先生もしあわせになれる。それがこのセミナーのコンセプトです。
私の祖母は脳血管性の認知症でした。私が小学校に入る頃に発症して5年生の時に亡くなりましたが、その間徐々に進行していく祖母の姿と介護する母の苦労を見て、子供ながらに大変なことだと思いました。そして今、90歳を超えた父が認知症になりました。アルツハイマー病だと思います。今度は認知症患者の家族として、日々苦労を重ねているところです。長生きするといずれ私も認知症になる日が来るのかと思うと気が晴れませんが、今から「しあわせになれる良い環境」を整えておきたいものだと思います。その意味で、この医療セミナーが先生方の診療だけでなく、人生設計にもお役に立つことができれば幸いです。
 
10:00−12:00第１部診断のためのスキルを磨こう
12:00−13:00昼食
13:00−15:00第２部認知症はマネージメントでしあわせになれる
認知症と生理的健忘、認知症の早期診断、観察式と質問式、認知症と鑑別すべき病態、認知症の原因疾患、原因疾患の鑑別と治療可能な認知症、認知症の告知について、アルツハイマー病の経過、中心症状と周辺症状、周辺症状への対応、介護者への演技指導、社会資源の利用法、認知症の薬物療法

セミナー要綱

終了したセミナーの報告と開催の模様

■9月23日（祭・水）に開催いたしました第12回医療セミナー「認知症、とくにアルツハイマー病の診断と治療」は盛会裏に終了しました。大型連休中にも関わらず、ご参加いただきました受講者の皆様に心より感謝申し上げます。
今回のセミナーの講師をお願いしました藤本健一先生（自治医科大学神経内科准教授）は、「認知症」を、「いったん正常に発達した知的機能が器質的な脳障害によって持続的進行的に傷害された状態であり、記憶障害を含む多彩な知的機能の低下の結果、それまで可能であった職業や社会生活の遂行が傷害された状態である」と定義されるとともに、認知症患者の将来的な推計を明らかにされ、早期診断や早期治療の重要性を強調されました。さらに、認知症の鑑別で、?うつ状態、?失語症、?側頭葉てんかん、?せん妄等との違い、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症等の診断基準について解説されました。その後、診療者の側からの基本や会話例（動画）、介護者側からの注意や対応例（動画）と工夫、薬物療法の詳細と注意等についての説明が行われました。受講者の感想は、とっても適切な動画を見せていただき、具体的な対応や会話例が示されて大変勉強になった、帰って実践できると、喜んで帰られました。（第11回医療セミナー「結核」は11月22日に開催予定です）

■講師　藤本健一 先生（自治医科大学神経内科　准教授）
1980年自治医科大学卒業
1980年筑波大学レジデント
1984年僻地診療所勤務
1985年自治医大大学院入学
1989年自治医大神経内科助手／
米国テネシー大学留学
1993年自治医大神経内科講師
1997年国療足利病院内科医長
2000年自治医大神経内科准教授、現在に至る