一般医学系

サイエンス漢方処方Ⅱ-1 循環器領域と腎臓/整形外科と痛み

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漢方薬の作用機序を数理工学で解明− 東洋医学とは本質的に異なる斬新な運用法

■講師 井齊偉矢 先生(サイエンス漢方処方研究会 理事長/日高徳洲会病院 院長)
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【セミナー概要】
漢方薬を診療に使いたい医師は多いのであるが、実際に使おうとしたときには、サイエンスに基づかない理解しにくい古典的運用法がネックとなる。歴史的にみると試行錯誤で出来上がった漢方薬が先で、古典的運用法は後付けに過ぎない。
古典的運用法によらないで漢方薬を処方することを邪道と非難し認めない漢方の専門家も多い。しかし漢方薬は最近の研究で、薬理学が従来想定していなかった、超多成分の全く新しいタイプの薬剤であると考えないと、漢方薬を服用したあとに患者の中で起こることを説明できないことが明らかになりつつある。これを踏まえて、今回の医療技術セミナー(?)では、サイエンス漢方処方という新しい切り口で漢方薬を認識し、新しい運用法によって全ての医師が漢方薬を的確に処方できるようにしたい。
皆さま、奮ってご参加ください。
 
今回のセミナー「サイエンス漢方」シリーズは、?シリーズと呼ばせていただきます。この後、5月24日に?−2を、7月19日に?−3を開催予定です。
なお、昨年にセミナー「サイエンス漢方?シリーズ」として、4月24日に「漢方処方概論」「速効性の漢方」「多愁訴の漢方」(#551)と、8月25日に「かぜ・インフル」「老年症候群」「commondisease」(#663)を、2回開催しております。
 
■講演プログラムおよび要旨(受講者各位の録画・録音は固くお断りします)
 
10:00-10:55循環器系疾患の漢方処方
現代医療における循環器内科と心臓血管外科は、その目的が動脈系を円滑に通すことにあるが、循環系は微小循環がきちんと流れないと回らない。しかし、現代医学の手法では微小循環を円滑に流せない。漢方薬はNOとH2O2を効率よく微量産生させることで、微小血管の平滑筋を弛緩させるように働く。今回は循環器系疾患を漢方薬が第一選択になるもの、併用が効果的なもの、適応にならないものに分けて、前二者について具体的に述べる。
 
11:00-11:55腎疾患の漢方治療・透析と漢方
腎疾患では、糸球体・尿細管間質・細小血管の炎症と微小循環障害により悪化すると最終的には腎不全に至る。慢性腎臓病の治療に必要な薬剤は、エリスロポエチン産生細胞等に対する抗炎症薬と、腎臓の微小循環改善薬である。ここで抗炎症作用と微小循環改善作用を持つ漢方薬の必要性がクローズアップされる。
今回は、慢性腎炎症候群(特にIgA腎症)、ネフローゼ症候群、腎硬化症および硬化進行型慢性腎炎、透析療法中の随伴症状を取り上げる。
 
12:30-13:25整形外科領域で役立つサイエンス漢方処方
整形外科領域では、構造的に壊れてしまったものは、置換などの現代医学的治療法が奏効する。これに対して、サルコペニア・フレイル、急性・慢性腰背部痛、手足のしびれ・神経痛、打撲・骨挫傷、術後の浮腫・炎症、CPPD結晶沈着症、筋・腱・靭帯の痛み、関節の痛みは漢方治療が有用である。ここで漢方薬の働きは、炎症を抑え、浮腫を軽減し、微小循環を改善することがメインになり、これらは新薬では代行できないことである。
 
13:30-14:25痛みの漢方治療
痛みを炎症性疼痛・傷害受容性疼痛の急性疼痛と、傷害受容性慢性疼痛・神経障害性慢性疼痛・心因性慢性疼痛の慢性疼痛に分類し、それぞれに対する漢方の有用性を論じる。痛いから痛み止めという単純な図式が、現代のリリカ・トラムセットの乱用を招いているし、疼痛治療そのものがそれらで少しも改善していないのも現実である。痛みの治療には、痛みを起こしている病態の理解が欠かせない。漢方を使った今までとは違うアプローチを提案する。

セミナー要綱

セミナーNO. 609
開催日 2020年7月19日 10:00〜15:00
講師 ■井齊偉矢 先生(サイエンス漢方処方研究会 理事長/日高徳洲会病院 院長)
診療科目 一般医学系
DVD価格 5,500円(会員価格/税込)

終了したセミナーの報告と開催の模様

■7月19日(日)に開催しました第609回医療技術セミナー『サイエンス漢方処方?-1循環器科、腎疾患、整形外科、痛み−漢方薬の作用機序を数理で解明;東洋医学とは本質的に異なる斬新な運用法』は盛会裏に終了しました。
講師は、遠く北海道の日高徳洲会病院院長であり、サイエンス漢方処方研究会理事長の井齋偉矢先生をお招きしました。今回は3回目のお招きです。実は昨年の4月28日と8月25日の2回で、別の切口からある程度の領域をカバーするお話をしていただきましたが(漢方処方概論/速効性の漢方/多愁訴の漢方、かぜ・インフル/老年症候群/commondisease)、「やはりもう少し時間を取って領域ごとにきちんと聞きたい」との要望がありましたので、昨年分の6コマを「サイエンス漢方処方?」とし、今年の企画を「サイエンス漢方処方?」とさせていただき、3回・4コマのシリーズで12コマで主要な領域をカバーしていただこうという企画です。
今回の講義の組立ですが以下の通りでした。
午前中の講義は、下記の2項目でした
◆循環器疾患と漢方
漢方薬の基本:微小循環と静脈系に働き円滑にする
心臓神経症、(起立性)低血圧症、高血圧症、心不全、
下肢深部静脈血栓症(DVT)
◆腎疾患の漢方治療・透析と漢方
腎疾患の基礎病変:慢性腎炎症候群、ネフローゼ症候群、
腎硬化症、硬化進行型慢性腎炎
慢性腎炎症候群、特にIgA腎症
ネフローゼ症候群
腎硬化症および硬化進行型慢性腎炎、
透析療法中の随伴症状
午後の講義は、下記の項目でした。
◆整形外科領域で役立つサイエンス漢方処方
サルコペニア・フレイル、腰背部痛、手足のしびれ・神経痛、
打撲・骨座礁、術後の浮腫・炎症、CPPD結晶沈着症、
筋・腱・靭帯の痛み、関節の痛み
◆痛みの漢方治療
痛みとは痛みの分類(急性/慢性)
急性疼痛(炎症性疼痛・傷害受容性疼痛)
慢性疼痛(障害受容性慢性疼痛−関節地ウマチ等など)
(神経障害性慢性疼痛−帯状疱疹後神経痛など)
(心因性慢性疼痛−繊維筋痛症など)
当日は、会場受講者を始めとして、ネット受講者からも質問がたくさん寄せられ、盛り上がりました。

■講師 井齊偉矢 先生(サイエンス漢方処方研究会 理事長/日高徳洲会病院 院長)
<略歴>
75年北海道大学医学部卒業。同年北海道大学第一外科に入局し現在同門。医学博士。専門は消化器・一般外科、肝臓移植外科。
88年から3年間、オーストラリア・シドニー大学オーストラリア肝移植ユニットで肝臓移植の臨床および実験に従事。帰国後、独学で漢方治療を本格的に開始。12年にサイエンス漢方処方研究会を設立し、現代医学にのみ立脚した「サイエンス漢方処方」の普及に努めている。
07年より北海道日高郡・医療法人静仁会静仁会静内病院院長。
18年9月1日病院名を医療法人徳洲会日高徳洲会病院に変更。
 
最新刊として『新型コロナと速攻!漢方』(青春出版社;2021.9)が、あります。

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