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【セミナー概要】 頭痛は大きく片頭痛や緊張型頭痛もしくは群発頭痛といった生命予後には支障はきたさないものの、会社や学校を休むなど日常生活に多大なる支障をきたしている患者の受診が後を絶たない。また頭痛患者のごく一部には、正確な診断を欠き、放置することで生命予後に重大な支障をきたしかねない、クモ膜下出血や椎骨動脈解離、更には近年、原因不明とされていた雷鳴頭痛の中に、可逆性脳血管攣縮症候群 (Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome: RCVS)といわれる脳血管障害が含まれているケースが散見される。国際頭痛分類第三版(2018年)に基づき、頭痛の診断が行われることは、言うまでもないが、近年欧米では緊張型頭痛に関して、その存在に関して疑問視する声もあり、一次性頭痛はすべて程度の差こそあれ、痛みの水面下では脳の過敏状態が引き起こされているという考え方も台頭し始めている。すなわち慢性の一次性頭痛に関しては、我慢したり、鎮痛剤で痛みのみに対しての誤った対処を繰り返すことで、経年性に脳の過敏性が残存し、これが頭痛が変容したともいえる難治性の浮動性眩暈や耳鳴り(頭鳴症状)として残存するものと考えられるようになった。大きな片頭痛、小さな片頭痛と表現される向きもあり、これは暗に緊張型頭痛は片頭痛の予兆症状の一環である肩こり症状や痛みに過敏になったことによる症状ではないかと考えられ始めている。近年、本邦でも承認認可されたCGRP (カルシトニン遺伝子関連ペプチド:Calcitonin Gene-related Peptide)関連抗体薬は、片頭痛の本体とされている三叉神経血管説に基づき、片頭痛発作の際に脳血管周囲に放出されるCGRPを抑制する、もしくはその受容体をブロックする新しい片頭痛予防薬として注目されており、現在3剤の注射剤が上市されている。高価な薬剤でもあり導入に際しての、細かな配慮と患者説明も要求されるため、その扱いにはある程度のコツが必要である。 今回の医療技術セミナーでは、受講者の明日からの日常診療に即座に役立つよう、診断基準や治療ガイドラインなどの頭痛専門の医師以外には、困難かつ厄介な壁を取り除いた、頭痛全般の診療ノウハウを伝授したいと考えている。
| | 10:00-12:00 頭痛と頭痛関連症状の全般について
12:30-14:30 診断と治療のコツ
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|  | ■講師 | 清水俊彦 先生 | | (東京女子医科大学脳神経外科 客員教授) |
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| | | | 専門分野:脳神経外科学
<略歴> 92年3月 東京女子医科大学大学院修了,医学博士号取得 94年7月 日本脳神経外科学会認定医 95年7月 米国National Headache Foundation 認定医となる 98年4月 東京女子医科大学脳神経外科 頭痛外来 講師 00年11月 日本頭痛学会評議員 04年 厚生省頭痛ガイドライン研究班研究員、獨協医科大学 脳神経内科 講師 就任 05年10月 国際頭痛学会(京都)専門医向けteaching course担当 07年11月 日本頭痛学会幹事(役員待遇) 09年11月 日本頭痛学会監事 11年4月 東京女子医科大学 脳神経外科頭痛客員教授 獨協医科大学脳神経内科臨床准教授(兼任)就任
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