消化器科系

実地医家のための胃がん検診とピロリ菌対策|2024年7月28日(日)【第795回】

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■鈴木秀和 先生(東海大学病院本部 本部長補佐/東海大学医学部消化器内科学 教授)
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【セミナー概要】
世界の胃がん罹患ではトップクラスにある日本と韓国は、胃がん死亡では上位にランキングしません。これは、昭和時代から始まった胃がん検診が奏効していると考えられますが、最近、日本よりも20年以上もあとに検診を導入した韓国の方が、検診効率がよいとの解析がでてきました。これには、検診の受診率、検診の様式(バリウム造影検診と内視鏡検診の比率、日本では内視鏡検診の導入は韓国より遅くなった)の違いが考えられます。一方で、ピロリ菌の診断・治療については、日本は世界に先駆けて2013年にほぼ国民全体に認可したとも言え、胃がん死亡数は近年になって減少しております。いまだ、国民病ともいわれる胃がんを撲滅する先進国として、ピロリ菌対策も含めた効率のよい検診様式を採用するだけでなく、地域自治体での検診受診率を上昇させることも重要であります。コロナ禍であった検診控えは、漸く改善されてきたようですが、世界最大の感染症である、ピロリ菌感染の制御を含めた日本の胃がん検診を効率的に確立し、地域医療に浸透させることが、胃がん撲滅には重要であります。本セミナーでは、胃がん検診の現状と将来設計、ピロリ菌感染症の現状と最新情報について皆様と考察したいと思っております。
ぜひとも、奮ってご参加下さい。

10:00-14:30 がん予防:胃癌と大腸がんの予防
1.胃がんの疫学・病態(世界・日本)
2.ピロリ菌の疫学・病態機序・診断・治療
3.NHPH(Non-H. pylori Helicobacter)について
4.胃がんとピロリ菌・その他の腸内細菌
5.胃がん検診と予防

セミナー要綱

セミナーNO. 795
開催日 2024年7月28日(日) 10:00~15:00 ※開場 9:30
講師 鈴木秀和 先生(東海大学病院本部 本部長補佐/東海大学医学部消化器内科学 教授)
診療科目 消化器内科学、消化器内視鏡学、上部消化管学、神経消化器病学
価格 5500円(会員価格/税込)

開催実績報告

■ 7月28日(日)に開催しました第795回医療技術セミナー『実地医家のための 胃がん検診とピロリ菌対策』は盛会裏に終了しました。
講師には、東海大学病院本部 本部長補佐/東海大学医学部消化器内科学 教授であります鈴木秀和先生をお招きしました。今回で11回目のご出演になります。テーマは逆流性食道炎GERD関連:(#432;2017年4月、#631;2021年4月)、ピロリ菌関連(#470;2018年1月、#594;2020年1月)、慢性便秘関連(#498;2018年7月、#559;2019年6月、#663;2021年8月)、酸関連疾患(#534;2019年2月)、消化器がん予防-胃がんと大腸がん(#671;2022年2月)、膵胆がん(#707;2022年10月)となっておりました。
今回の講義の組立ては以下の通りでした。
1.胃がんの疫学・病態(世界・日本)
2.ピロリ菌の疫学・病態機序・診断・治療
3.NHPH(Non-H.pylori hericobacter)について
4.胃がんとピロリ菌・その他の腸内細菌
5.胃がん検診と予防

お話の中で興味深いことは、疫学的な視点ですが、胃がんは世界的な視野で見れば、アジアの北の方(中国、モンゴル、韓国、日本、ロシア)、中央アジア(イラン、アフガン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン)、南米(チリ、ブラジル)、欧州(バルト三国、ウクライナ)、という具合に、世界にまんべんなくあるのではなく、局在していることです。
次に、本邦における発症率と死亡率についてですが、2020年のデータでは、男性での発症は前立腺、大腸、肺、胃、肝臓がんの順で、死亡率は肺、大腸、胃、膵臓、肝臓がん。女性での発症率は乳房、大腸、肺、胃、子宮がん。死亡率は大腸、肺、膵臓、乳房、胃がんとなっているとのこと。そもそも胃がんは国民病とされていた処に、検診が1960年以降行われるようになり、死亡率で順位を下げているのは、検診の成果であるところ大であろうということです。考えてみれば、女性の乳がん検診も成果が出ているというのでしょうね。そして、検診が成果を上げているのはお隣の韓国でも同様である・・・とのことです。そのために胃の前がん病変について慢性萎縮性胃炎(CAG)と腸上皮化生(IM)について調査が進み、韓国と日本の他に、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、インド、イラン等で発症率が上がっている(検査が行われるようになった結果)とのことでした。

実は、鈴木先生は、アジア太平洋消化器病学会(APAGE)胃 前がん病変サーベイランス・ワーキンググループで日本からの委員として活動されておられます。また、主宰子が以前から注視している鈴木先生のあと1つの活動として、ローマ委員会(機能性消化管障害の国際的ガイドライン委員会)の委員も果されておられます。この委員は日本から4名が選出されており、その中で重要な役割を果されておられるとのことです。「機能性消化管障害」についてですが、主宰子の若かりし時代は、胃・十二指腸潰瘍、胃下垂等の疾患が挙げられ、半年に一度くらいは通院して治療したものでしたが、ピロリ菌がすっかりこうした疾患の原因として解明された後は、検査も治療もすっかり様変わりしたようです。

第二の“実は”ですが、DVDの記録に残らない昼休み時間中の講師と受講者さんとのディスカッションで、以下の興味深い質疑が行われました。
① ピロリ菌の感染ルートは? 「ヒト→ヒト感染」であろう。
② ピロリ菌除菌後の再感染率は? 1% と思われる。
③ PPIが ?   マクロファージ 血小板
④ 皮膚科領域の疾患である“蕁麻疹”の患者さんにピロリ菌の保菌者が多い・・という印象を持っているのですが、いかがでしょうか? 
⑤ ピロリ菌は胃にしか存在しないのですか? 大腸にはいないですか?(居るのではないでしょうか?)

質疑のコーナーでは以下の質疑が行われましたが、ここでは一部の質問のみを記し、回答を希望される方、興味ある方はDVDないし動画をお買い求めいただきまして、ご確認下さい。
Q1.未分化がんとピロリ菌の存在や関連について解説してください。 Q2.腸上皮化生を含む組織を生検しても、ピロリ菌の有無の診断、病理的診断が出来ません。腸上皮化生組織を避ける生検のコツを教えてください。 Q3.PCRによってクラリスロマイシンの感受性の結果は、除菌療法にどのように応用するのですか? Q4.正常の胃の細胞ががん幹細胞になるのはhp感染が原因と考えていいですか? Q5.前庭部のみの萎縮粘膜C1様所見がhp感染以外で起こることはありますか? Q6.HPの有無の診断も除菌判定も呼気テストもしくは便検査のみでしていますが、問題ありますか?

■鈴木秀和 先生(東海大学病院本部 本部長補佐/東海大学医学部消化器内科学 教授)
  <略歴>
89年 慶應義塾大学医学部 卒業
93年 カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員
05年 北里研究所病院消化器科医長
06年 慶應義塾大学内科学(消化器)専任講師
11年 慶應義塾大学内科学(消化器)准教授
15年 慶應義塾大学医学教育統轄センター教授
16年 東京歯科大学内科学講座客員教授
17年 慶應義塾大学医学部専修医研修センター長
18年 日本専門医機構運営委員・共通講習委員長
19年 東海大学医学部内科学系消化器内科学教授
19年 北京大学医学部客員教授
21年 慶應義塾大学医学部内科学客員教授
24年 東海大学病院本部 本部長補佐

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